石狩沼田幌新事件!人食い羆が起こした日本史上二番目の獣害事件

石狩沼田幌新事件は三毛別羆事件に次ぐ2番目に被害が大きかった獣害事件です。現在は三毛別の知名度が上ですが、かつては丘珠事件と並ぶ北海道の羆による獣害事件として知られていました。今回は「ゴールデンカムイ」でも触れられた石狩沼田幌新事件について紹介していきます。

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石狩沼田幌新事件は史上二番目の獣害事件

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羆の獣害事件と言えば、北海道が真っ先に出てくるほどに北海道は羆による獣害事件が非常に多いです。こんなにも有名なのは三毛別羆事件のような悲惨な獣害事件が二度と起きないようにテレビやネットで度々取り上げられているからです。三毛別羆事件の他にも北海道では今回ご紹介する石狩沼田幌羆事件という獣害事件が起きています。

この獣害事件でもかなりの被害が出てしまい八名の人が死亡する、重症を負うなどの多大な被害を受けました。今回はこちらの石狩沼田幌羆事件の内容と被害が出てしまった背景と羆の怖さについて説明していきます。なお、羆はヒグマと読み、熊とは違う漢字ですのでご注意下さい。

石狩沼田幌新事件①現場は雨竜郡沼田町幌新地区

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日本史上最悪の獣害事件の次に被害が大きくなってしまった石狩沼田幌羆事件です。地元の方以外はイマイチ地名が分からないと思いますのでまずこちらの地域の情報と現在のこちらの地域について説明致します。

事件当時は原生林が広がる羆の生息地

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三毛別羆事件が起こってしまった苫前町が海沿いだったのを比べると沼田町は比較的に北海道の内陸の方にあります。大正12年頃の沼田町はまだそこまで開拓されておらず人が伐採をしていない森林が多くありました。環境破壊で原生林は減ってしまっていますが土地が大きいこともあってやはり北海道には多く原生林があります。

羆は松の木や杉の木のような針葉樹林の多い森林地帯を好み、寒い地域の方が住みやすいので羆にとって北海道は好みにぴったりの住みやすい地域なのでしょう。羆は北海道のみに生息しており、本州にはツキノワグマしか居ません。

事件後炭鉱開発で栄える

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悲しい羆事件が起きてしまいましたが約7年後昭和炭鉱というとても大きな炭鉱が開業しました。沼田町の付近三つの町を跨ぐ留萌炭田(るもい)という大きな炭田の中でも昭和炭鉱は存在感のあるものでした。こんなにも資源豊かな北海道の開発がなかなか進まなかったのは北海道という場所柄、輸送手段に困ってしまっていたからでした。

幌新地区の現在

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こんなにも栄えた昭和炭鉱でしたが維持するのが難しく40年後には閉業し、幌新ダムの建設に伴い埋め立てられてしまいました。現在の沼田町はふるさと納税の返礼品に雪中米というお米が選ばれるほどにお米作りに力を入れています。

獣害という悲惨な事件に見舞われてしまった地域ですが、住みたい田舎ランキングでは一位を獲得したこともある素敵な町です。NHKのすずらんという朝ドラのロケ地にも選ばれたほどです。田舎特有の閉鎖感がなく移住者への対策や施設なども豊富に作られて住民みんなが暮らしやすい町へとなる工夫を頑張っています。

石狩沼田幌新事件②事件の始まり

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田舎ですがとても自然豊かな様々な魅力のある町を襲った羆によるどうしようもない悲しい事件。この石狩沼田幌羆事件が起きる前や当日、その背景には何があったのか事の始まりの全てを説明致します。

事件の前から羆による事件は相次いでいた

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この石狩沼田幌羆事件が起こる前から実はこの地域は羆による被害に悩まされていました。内蔵を全て食べられて殺された小学生や田んぼ作業の最中に羆に出会い亡くなった女性など羆に襲われた人が死亡してしまう事件が前からたびたび起きている危険地域でした。被害は人間だけではなく出荷予定だったトウモロコシを全て食べられるなど農業を営む方には致命的な被害も受けていました。

当日は太子講の祭り

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恐怖の事件が始まってしまった大正12年8月21日は運が悪いことに普段地元の人しか集まらない地域にたくさんの人が集まってしまっていました。この日は太子講という聖徳太子を崇めるお祭りが開催されていたのです。昔の田舎暮らしの開拓地民にとってはお祭りとは非常に心躍る行事でそれ故に色々なところから人が集まっていました。

羆の生態や特徴については後で詳しく説明致しますが羆は自分の餌に対し非常に執着心が強い生き物です。最初の被害者が祭り帰りに襲われた場所には羆が食べようとしていた馬が埋められていて、いきなりたくさんの人が現れてしまったことで餌を取られると思い食糧を守るために襲いかかったという見方が強いです。

羆による襲撃

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たまの娯楽であるお祭りも日付が変わる前に終わり、羽を伸ばした者達がみな楽しい気分で帰っているところに悲劇は起こりました。帰宅のために8人の人たちが一時間ほど歩き山道に辿り着き暗さも相俟って何かが出そうなところ道路脇の林から羆が現れたのです。最後尾を歩いていた19歳の少年は真っ暗闇からいきなり現れた羆に気付くことなく背後から爪で切り付けられました。

羆の爪の攻撃とはかなり強いと言われていて即死してもおかしくないですが重症を負いながらもどうにか逃げ果せた少年は先を歩いていた仲間に事態を知らせねばと急ぎます。しかし、羆は一撃を負わせたが逃げられた少年のことは諦めて先を歩いていた兄弟へとターゲットを変更していました。弟を一撃で殴り殺したあと、兄にも怪我を負わせ後で食べるためにと土の中へ埋めてしまいました。

石狩沼田幌新事件③暗闇から聞こえる念仏

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悲劇の幕が開けられ三人もの人が被害に遭い死者も出てしまいましたがまだ悲劇は始まったばかりです。そして羆の恐怖は続き人々が怯えている中、夜は明けて更に犠牲者が出てしまいます。ここでは夜が更けてからの羆の行動と被害について説明致します。

逃げ込んだ持地乙松宅の悲劇

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どうにか羆から身を隠したいと思った祭り帰りの一行は近くにあった家に逃げ込みました。そして羆を遠ざけるべく動物が火を怖がるという習性を利用しようとありったけの資源を使い暖炉の火を強める、屋根裏、押入れに隠れるなどしてどうにかやり過ごそうと思っていました。

奇しくもこの家の持ち主は先ほど羆に襲われてしまった兄弟の両親でした。昔の家は現代の家ほど頑丈でなく羆は簡単に侵入出来てしまうのです。

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どうにか羆がこのままどこか行ってくれないかという願いも虚しく羆は家の周りをウロウロし続けやがて玄関のドアを壊し家の中へと入ってきました。家の家主である夫は羆に対抗し必死に抵抗しますがドアこと押し倒されてしまいました。昔の家は現代の家ほど頑丈でなく羆は簡単に侵入出来てしまうのです。

母親のウメが羆にさらわれ…

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夫の抵抗も虚しく羆は家の中に入ってきてしまいましたが、この時羆は先ほど襲った兄弟の内臓を咥えたままのまさに獣のような姿でした。羆の姿を見ても夫は怯むことなくスコップで羆に対抗しようとしますが叶うはずもなく重傷の怪我を負ってしまいました。

そして、部屋の隅の方に隠れていた妻の姿を見つけると暖炉の火など微塵も気にせず踏み消して、妻の方へと近づいて行き妻を咥えて山へ帰ろうとしました。自身も怪我をしていましたが妻を守るために羆に立ち向かいますが羆は気にすることなくそのまま闇の中へと去って行きました。

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