では実際に乳袋が登場する作品とはどのような作品があるのでしょうか。具体的な作品と、その中に登場する魅力的なキャラクター達に視点を当てながら、イラストとしての乳袋を紹介していきたいと思います。
グランブルーファンタジー
ソーシャルゲームの中でも有名で、数多くのユーザーからプレイされているMMORPG「グランブルーファンタジー」です。キャラクターもそうですが、騎空艇(分かりやすく言えば飛行船)で空の果てへと旅立つという広大な世界観が魅力ですね。
FGO
こちらも人気のソーシャルゲーム、FGOこと「Fate/Grand Order」です。こちらは歴史上の様々な人物や神を英霊として召喚し、使役して戦うというゲームです。元々の「Fateコンテンツ」の人気が高かっただけあって、ソーシャルゲームの中では若い方ですが、根強くファンから支援されています。
アイドルマスター
家庭用ゲーム機、アニメ、ソーシャルゲームと幅広く展開し、アイドル育成ゲームの金字塔ともなっているコンテンツ「アイドルマスター」です。初出は2005年のアーケードゲームなのですが、2019年と14年経った今でも人気は全く衰えていません。
ソーシャルゲームのイラストは乳袋が多い?
FGOのようなソーシャルゲームでは、一人ではなく複数人のイラストレーターがキャラクターを手掛けるため、乳袋を持つキャラクターが増えてしまいがちです。キャラクターごとにイラストレーターの特徴が表れる、という見方もできますね。
Contents
乳袋以外にもある漫画的な胸の表現
乳袋だけが胸の大きさを表現する技法ではありません。技法としてみれば乳袋に近いのですが、より現実的な胸を表す技法がいくつかあります。乳袋から連鎖的に名付けられていった2つの技法をご紹介します。
乳カーテン
服を着た時に胸が袋状になっているのが乳袋なら、そのまま乳頭部分から布が垂れ下がり、身体と衣類の間に空間ができているものを乳カーテンと呼びます。服で言えばセーラー服等がこの状態を作りやすい衣類です。
乳テント
乳カーテンの状態から真下に垂れ下がった布をスカートやズボンに差し込み、身体との間にできた空間を閉じたものを乳テントと呼びます。こちらは乳袋や乳カーテンよりもかなり現実的で、実際に学校等で目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
衣類だけじゃない!胸に関する表現技法
ここまで紹介してきた乳袋や、その類似した表現は胸の強調を表していますが、いずれも胸部の服の描き方の技法になります。ではここで、分かりやすく服だけでないアイテムを用いた胸の表現技法を見てみましょう。
π/
ショルダーバッグをたすき掛けにして、胸を強調することを「π/」、通称パイスラと呼びます。これはウェブブログ「dual pony」の管理人であるひなき氏が、あるバラエティ番組で「絶対領域」の呼称が一般に広がったことを受け、自分の好きな「肩掛けカバンで胸が強調された状態」の呼び名を付けたことが始まりです。
ネクパイ
胸の谷間、またはその位置のへこみの部分にネクタイが挟まれている状態のことをネクパイ、と呼びます。こちらもまた胸を強調する技法で、さらに「胸に物を挟み込む」という状態が想像を掻き立てるイラストに仕上げます。
乳袋は古代ギリシアにもあった?
「乳袋」という言葉が誕生したのは近年ですが、乳袋を表現する服装は遡るとなんと古代ギリシヤまでたどり着きます。古代ギリシアの当時を生きる人々はどうしてこの様な服装を考え付いたのでしょうか。
古代ギリシアの彫像は胸が強調されている
古代ギリシアの彫像では、胸の下の服の部分がどういう訳か引っ込んでいたり、胸の部分が透けていて肌に張り付いて形が分かるような形状を取っていたりと、まさに現代でいうところの乳袋を形成しています。
正しいかどうかは重要じゃない?
他にも古代ギリシアの彫刻では、足のラインがはっきり見えたり、ドレープの部分が妙に細かくなっていたりと、現実的にはありえない表現がされています。にも拘わらず古代ギリシアの彫刻が高く評価されているのは、表現技法として人を魅了するからではないでしょうか。
現実ではありえないけれど美しさを強調するから評価される、というのは乳袋以外でも現代のイラストや漫画における表現でいくつか見られます。正しいかどうかではなく、いかに絵を美しく見せるのか、ということです。
ドイツの民族衣装にも存在している
こちらは豆知識ですが、古代ギリシアだけでなくドイツの民族衣装にも乳袋のように胸を強調する衣装があります。「ディアンドル」と呼ばれる衣装で、「お嬢さん」という意味のドイツ南部の方言でもあります。オクトーバーフェス等の祭事に着られる、日本で言えば着物に当たる衣装ですね。
このように、昔から胸を強調する技法や衣装は存在していました。現代になってそれがいざ衆目に晒されると、また別の側面も出てきます。次の項目では、現代に現れた「乳袋」はどういう目で見られているのかを解説してきます。
乳袋は性的な表現として批判されることも
現実ではありえないからこそ批判される、という点は先述しましたが、中には「現実的ではない」という意見以外の批判も存在しています。一体どういうことなのか、実際にあったことも交えて見ていきましょう。
乳袋を不快に思う人も多い
乳袋はイラストや被写体をより美しく見せる、という表現技法のうちの一つである、ということはお話しましたが、逆にその「美しく見せるための不自然な表現」に不快感を覚える人も一定数存在します。批判的な意見は、大きく分けて二つあります。
不自然すぎる表現が嫌い
こちらは何度か述べていますが、現実的ではないその不自然さこそが不快感の元である、という意見です。具体的には「下着のサポートが行方不明」「生地の素材感が台無し」といった現実感を重視する人からの声が多いです。
性的な特徴の強調
胸部の異常な強調によって、女性の性的搾取に繋がるのではないか、という意見です。非常に長くなるので簡潔に説明しますと、「性表現が強調されることによって女性を客体化、つまり性的な道具として表現してしまうのではないか」ということですね。
人気バーチャルYouTuber「キズナアイ」も性的な表現?
バーチャルユーチューバーのキズナアイがノーベル賞の解説としてNHKの「ノーベル賞 まるわかり授業」という特別サイトに登場したことがインターネットで話題となりました。しかし、この事は後日まったく別の方向でもう一度話題となりました。
女性弁護士の方がTwitter上で、性的に強調されているイラストのキズナアイをNHKのノーベル賞サイトで使用することに苦言を呈し、そのことが引き金となって「キズナアイのイラストを利用した性的搾取ではないのか」と議論になりました。
性的な表現の線引きは難しい
実際のところ、「乳袋が性的な表現を強調する」という見方は正しいものです。技法としての意図がまさしくそれに当たります。しかし、「乳袋が描かれている全てのイラストが性的搾取を促すか」と問われればそうではありません。
古代ギリシヤの彫像の解説でも述べましたが、技法を使用する目的はあくまでも「美しく見せる事」にあります。技法によって被写体の性的な表現が強調されていたとしても、それは基本的に画家や彫刻家達による「美しく見せるための努力」なのです。
乳袋がついた服が現実になった!HEART CLOSETが開発
アパレルメーカーの「HEART CLOSET」が乳袋が付いたシャツを販売する、として話題になりました。ここまで「現実にこんな服が存在するわけない」と言われていましたが、ついに現実に登場することとなった訳です。
クラウドファンディングから始まった
元々「HEART CLOSET」はファッションに悩む胸の大きな女性のための服を作るために、クラウドファンディングで資金の募集を始めました。その結果、目標金額の30万円に対してなんと270万円もの募金が集まりました。同じことで悩む女性は多かったようです。
メーカーは乳袋という言い方はしていない
コスプレイヤーの方の中にも、「乳袋シャツ」を愛用している方は多いようですが、「HEART CLOSET」は乳袋という呼称は用いていません。あくまでも、乳袋という呼び方はインターネット発祥の用語である、ということをお忘れなく。
批判されながらも愛され続ける乳袋
「乳袋」という言葉が世の中に登場してから約8年、インターネットのイラスト界隈で親しまれる一方で、批判する意見もありました。しかし、技法としての乳袋は古代ギリシアの時代から存在する「美しく見せるための努力」です。「綺麗に見られたい」という二次元と現実の変わらない想いを叶えるために「乳袋」という技法は存在しているのです。
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