8050問題とは?今現代社会が直面している社会問題の原因と対策

「ワンタッチ」では、ひきこもりの当事者の相談にのったりきめ細かで長期に渡るサポートをしています。それだけでなく、本人を支える家族にも皆で集まる場が必要であるという声があがり、2018年8月に「ひきこもり家族会」が発足したことも、総社市のシステムの成果のひとつといえます。

個人でできる8050問題対策?「引きこもりも家庭でできる対策」

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現在はインターネットの時代です。ひきこもってしまったからといって、社会との接点や生計を立てる手段を100%失ってしまうとは限りません。当事者にパソコンを操作する技術がある場合には、たとえばインターネット上の職業紹介サイトを通じて在宅ワークの仕事を受注し、ひきこもり状態のままで生計を立てることも、ある程度まで可能です。

「8050問題」と年金

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「8050問題」は年金と切っても切れない関係にあります。「8050問題」の当事者が収入源として頼っているのは親の年金だからです。また親が亡くなった後、残された子が新しい収入源として頼らないといけないのは、自分自身の年金です。

生活に不十分な子世代の年金額

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少子高齢化のおかげで、年金には世代間でかなりの差があります。現在の高齢者の年金は、息子(娘)ひとりを養うことがかろうじて可能な金額ですが、子ども世代の年金は、自分だけがかろうじて生活できるだけの金額しか支給されないでしょう。年齢が若ければ若いほど、年金の面では損をすると、いわれています。

引きこもりには特に厳しい年金事情

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しかもひきこもりを続けていて働いた経験がない場合、年金保険料を真面目に払い続けたとしても、支給されるのは満額で年間780,100円(2019年の場合)しかない老齢基礎年金だけです。月額に換算すると65,008円なので、とてもそれだけで生活できる金額ではありません。

幸いに会社に勤務した経験があって、厚生年金を受ける資格があった場合でも、40歳以前に退職してひきこもったとしたら、得られる年金の金額は、定年まで勤め上げた人に比べてはるかに少ないです。そのためひきこもりの当事者が老後の生活資金を得るためには、何かの工夫が必要でしょう。

事前対策?「8050問題」にならないように親が気をつけるべきこととは

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8050問題で親子が深刻な状況に陥らないためには、子が一定の収入を得て、それなりに自立した生活できるようにすることです。子のための老齢基礎年金は生活に十分な額ではないかもしれませんが、それでも満期まで掛け続けることをすすめます。その上で次の手として、以下のことを考えてみましょう。

資産整理は生前に行う

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8050問題で最大のポイントとなるのは、親が亡くなってしまった後、ひとり残されたひきこもりの子がどのように生計を立てて行ったらよいか、ということです。そのためにも親は生前に資産の整理を行って、自分の死後子がひとりで生活をすることが可能なめどを、あらかじめ立てておくと、親も多少は気が楽になるはずです。

最終的には心を鬼にすることも必要

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ひきこもりの原因にはいろいろあるので、決して無理するべきはありません。しかし親が世を去った後、残された子がひとりで生活ができずに、兄弟や姉妹などのお荷物になってしまう可能性も考えてみるべきです。

いちど心を鬼にして子を追い出し、ひとり暮らしを半強制的に送らせてみることも良いでしょう。子は成長したら親元から独立するのが当然という考えが広まっているアメリカでは、35歳になっても実家を出ようとしない息子を追い出すため、両親が裁判を起こした事例があるほどです。

収入だけでは解決しない「8050問題」

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ここまでひきこもっている人がひとりになったとしても、それなりの生活を営むことができるように、金銭の面からの対策を考えてきました。しかしひきこもり当事者が社会から孤立したままで生活しないで済むためには、別の方面からの対策も必要です。

それは、社会の一員としての「居場所づくり」です。ひきこもり当事者が自分の部屋を出て、再び社会の一員として活動するためには、同じような経験のある仲間と気がねなく語り合える場所や、無償ボランティアであっても「世の中の役に立つ」経験を積み重ねる場所が必要です。

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