「働いたら負け」とは?テレビ番組から生まれた名言?
「働いたら負け」とはテレビ番組のニート特集で取材をされたある男性が発した言葉で、その衝撃的な発言や男性の独特な風貌からネット掲示板で瞬く間に話題となり、現在では有名なネットスラング(用語)の1つとして知られています。発祥元となったテレビ番組やネット上での使われ方を見ていきましょう。
「働いたら負け」とはどんなセリフ?元ネタについて詳しく紹介
この台詞が発されたのは、テレビの情報番組内でのニート特集でのことです。取材の中で1日の生活を密着されていた3人のニートの男性のうちの1人が、「働かなくていいんですか?」というリポーターからの質問に対してこの台詞で返答をしました。
2004年に放送された『とくダネ!』内のニート特集で登場
ニート特集が行われたテレビ番組とはフジテレビ系で平日朝に放送している「とくダネ!」のことです。2004年の9月にニートの特集が組まれました。番組内では台詞を発したのは24歳男性の石川さん(仮名)ということになっています。
レポーターを務めていたのは立川談笑師匠
この時、レポーターとして取材を行っていたのは立川流の落語家、6代目立川談笑師匠です。他の特集でも度々レポーターを務めており、2008年には「ザ☆ネットスター!」という番組の司会も務めました。
正確には「働いたら負けかなと思ってる」と発言していた
この台詞の全文は「働いたら負けかなと思ってる」です。しかしネット上では基本的に省略して「働いたら負け」の部分のみが使われます。石川さん(仮)は他にも「今の自分は勝ってると思います」や「遊んで暮らしてます」などの印象的な発言を残しています。
24才男性が発言した「働いたら負け」!その主張の内容は?
彼のこの発言にはどのような主張が含まれているのでしょうか。今日の日本は労働環境の悪さが問題とされています。自由の少なく辛い社会人は、ニートたちから見れば「負け」なのかもしれません。社会の一般的な常識に反抗の態度を示すという意思がこの台詞には込められています。
「働いたら負け」発言に対するネットや世間の反応とは?
番組が放送された直後から、発言者の男および彼の発言はインターネット上でネット掲示板を中心に大きな話題を呼び、この発言に賛成する人や反対する人など、さまざまな意見が飛び交いました。ネット上での反響や意見を紹介します。
2chを中心に火が付いた!ネットではニート祭りが開催?
この発言が最初に注目されたのは、テレビ番組を見ながら実況の書き込みをする実況系のネット掲示板でした。その後に他の掲示板へと伝播していき、ネット掲示板の中でも大規模な2chで専用のスレッドが立ったことでネット全体へと広く認知されていきました。
番組の中で「石川さん」と呼ばれていた男はネット上では「ニート君」と名付けられ、アスキーアートやコラージュ画像が大量に製作されて「ニート祭り」になりました。その結果かもしれませんが、「働いたら負け」が2004年のネット流行語大賞を受賞しました。
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「働いたら負け」はおかしい?批判も多数存在
現代日本の労働環境は全体的にあまり良いとは言えず、労働のせいで心も体も健康を損なうことが多くなっています。そのような社会の状況であるから「働いたら負け」なのには賛成である、という意見が存在します。
しかしながら、本来労働は国民の三大義務の1つと日本国憲法で定められています。さらに日本は「働かざるもの食うべからず」という風潮も強いですから、「働いたら負け」という発言はニートの戯言と反対の意見も見受けられます。
「働いたら負け」発言をした人物の現在とは?その後は何をしている?
番組では「石川さん」と呼ばれていた台詞の発言者である男性は、番組の放送から10年以上が経った今どうしているのでしょうか。ネット上では「石川さん」の正体はこの人では?と言われている人物が何人もいます。彼の現在の姿として言われている3つの説を見ていきましょう。
働いたら負けのその後①ZOZOTOWNの田端信太郎さん説?
男のその後と言われている人物の1人目は、livedoorのメディア事業部長やLINEの執行役員を務め、現在はZOZOTOWNの運営を行っている田端信太郎さんです。その経歴を見る限りではあのニートの男とは思えませんが、なんとTwitter上で彼自身が「本人です」と言っていたのです。
田端さんは英語でスピーチもできるほどの才能の持ち主
田端さんは慶應義塾大学を卒業しており、英語のスピーチをもこなす程の才能の持ち主です。しかもニート特集が組まれた当時の彼はリクルートで働いていました。本人が「自分です」と認めていますが、経歴と照らし合わせると少々おかしい部分が存在しています。
結論を言うと、田端さんの本人発言は嘘でした。田端さんのFacebookで2004年当時に彼がリクルートで働いていたことが証明された上に、Twitter上でも「あの発言は嘘だった」と告白しています。
働いたら負けのその後②自衛隊のパイロット説?
男のその後と言われている人物の2人目は、自衛隊のパイロットです。しかも階級は大佐。テレビで映った自衛隊員の中に彼とそっくりな外見をしている人物が映っていたためこの噂が立ちました。およそ14年の間に自衛隊へ入隊して大佐にまでのし上がったのでしょうか。しかしその後、これよりもさらに有力な説が提唱されました。
働いたら負けのその後③自称有名ニート“D-chan”説?
2011年、自称有名ニートの「D-chan」と名乗る人物がニコニコ生放送において本人であると発言しました。ニートはいつまで経ってもニートのままだったということでしょうか。ただし2004年の頃から髪の毛が伸びており、劣悪だった歯並びも治療したようです。現在ネット上では彼がニートの男本人であるということで定着しています。
「働いたら負け」と発言したものの今は働く意思が出てきたらしく、一応仕事を探してはいるようですが、希望年収がボーナスなしで500万円だということでネット上では「世間知らず」「働く気ないだろ」と辛辣なコメントをされています。
「働いたら負け」の使い方とは?派生ネタ「~したら負け」も紹介
この発言は「主流となっている流れに反対の意思を示す」という意味合いを持ったネットスラング(用語)として人気になりました。さらにそこから派生して「○○したら負け」という形でも多く使われています。どのような使い方をされているかを紹介します。
働いたら負けの使い方①常識的な考えを否定する時に使う
1つ目の使い方は「こうするべきだ」「これが良い」と勧められている事柄や、社会の一般的な常識に対して否定的な意思を示す際に使います。原文のニュアンスと近い使い方であり、普通に否定するよりもより確固たる意志で否定をしているようなイメージを持たせることができます。
働いたら負けの使い方②釣りやネタとして使うことも
2つ目は、「押すなと言われると押したくなる」心理を利用して、釣りやネタとして利用する使い方です。こちらの使い方は主にニコニコ動画などで用いられることが多いです。例としては、動画に煽情的なサムネイルを付けた上で「見たら負け」というタイトルを付ける、といった具合です。
アニメや漫画にも影響?「働いたら負け」発言をしたキャラクターを紹介
アニメや漫画といったサブカルチャーはネット上のネタと親和性が高いことが多く、この発言も色々なアニメ、ゲームで用いられることがあります。「働いたら負け」と発言をしたことのあるアニメキャラクターたちを紹介します。
ニート兼アイドル!?『アイドルマスター』に登場する双葉杏
一番有名なのが、アイドル育成ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」の双葉杏というアイドルです。もしかしたら本家より彼女のほうが認知度が高いかもしれません。彼女はアイドルでありながら働くのが嫌というニート系アイドルであり、「働いたら負け」と書かれたTシャツを着ています。
双葉杏の働いたら負けTシャツが実際に販売
彼女が着ている「働いたら負け」Tシャツは実際に商品化されており、同じ台詞が印刷されたバッグなどのグッズまで作られています。彼女が着る文字入りTシャツにはこの台詞以外にも「だが断る」などネットスラングが書かれたものが多いです。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』主人公!比企谷八幡
比企谷八幡は人気ライトノベル「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」、通称俺ガイルの主人公です。彼は物事を常に斜に構えて偏見的に見る傾向があるひねくれ者で、学校行事の職場見学に対してこの発言を引用した考えを抱きました。
古人曰く、働いたら負けである。労働とはリスクを払い、リターンを得る行為である。よって俺の『働かずに家庭に入る』という選択肢は妥当であり、かつまったくもって正当なものである。従って、今回の職場見学においては専業主夫にとって職場である、自宅を希望する。
(引用:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第2巻)
『めだかボックス』の大刀洗斬子も似た発言をしている
漫画「めだかボックス」の登場キャラクター、大刀洗斬子は「働いたら負け」という台詞そのものを言ったわけではありませんが、「はたらかない」と書かれたアイマスクを付けて1日に22時間も寝る怠け者なキャラクターです。