トックリバチとは?特殊な形の巣を作るハチ!
トックリバチとは、ドロバチの仲間でカリウドバチのひとつです。光沢のある黒い体色を持ち、胸に1対の黄色い紋を持っています。
いちばんの特色は何と言っても巣の外見。まるでとっくりのような姿はその名の由来でもあります。
トックリバチの生態とは?
蜂と聞いて思い浮かぶ有名なものといえばミツバチやスズメバチですが、彼らのことを知っている人は少ないのではないのでしょうか。彼らの基本的な生態や特殊な姿の巣を説明します。
トックリバチの生態
彼らの正式名はミカドトックリバチといい、日本の全国各地に生息しています。成虫は6月~9月にかけて見かけることが多く、主に花の蜜を食べて生活します。
スズバチに似ていますが大きさはスズバチよりも小さくおよそ10~18mmほどで、黒い体に黄色の斑点模様の体を有します。
トックリバチはとっくり型の巣が特徴!
彼らのいちばんの特色と言えば名称の由来でもある、とっくりに似た唯一無二の外見をした巣です。
蜂の巣といえばスズメバチやミツバチのような大きくて集団で生活するためのものがイメージされるかもしれませんが、彼らは独りで巣を運営します。
集団ではなく個別に営巣をし子を育てるというのは、ドロバチの仲間が持つ共通の性質です。
トックリバチは幼虫のために獲物を巣に貯蔵する!
巣の内部には、捕らえたイモムシなどの獲物が貯蔵されています。天井には卵が括り付けられていて、孵化した子供は貯められている餌を食べて成長します。
貯め込まれている獲物たちは毒針によって仮死状態にされているため、腐りにくく工夫されています。
トックリバチの巣の作り方とは?
この奇妙な姿の巣は泥や土と自らの唾液を原料にして製作されます。どのようにして巣が作られていくのかを説明します。
トックリバチの巣の作り方
彼らは採ってきた土に唾液を混ぜ合わせて巣を製作します。唾液が漆のような役割をしており、それによって強度を高くしているのです。
卵は1箇所の巣に対し1個だけ生み落とし、大きさは個体の体長に合わせて製作されます。
トックリバチの巣の中身は?
巣の内部には子供の餌となるイモムシやシャクトリムシなどがぎっしりと詰め込まれます。とっくりの下側に餌を詰め、天井に卵を括り付けます。
いっぱいになるまで餌を詰め込んだら、親は巣に蓋をして塞いでしまいます。それから後に親が巣に入ってくることはありません。
トックリバチの巣とスズメバチの巣が間違われやすい?巣の対処法は?
トックリバチの巣はたまにスズメバチのものと間違われる時があります。他にはない独特の姿をしているのになぜ間違われるのでしょうか。その訳を解説します。
トックリバチの名前からスズメバチの巣と間違える人が多い!
スズメバチの1種であるコガタスズメバチは巣を作り始めた初期の時点では天井からぶら下がる下向きのとっくりのような外見の巣を製作します。
この外見から、名称だけを知っている人は「とっくりの姿をしているからこれはトックリバチの巣だ」と間違えてしまうのです。
トックリバチの作る巣はコガタスズメバチのものよりはるかに小さく、形状も全く違います。
トックリバチの巣なら放っておいても比較的安全
トックリバチは人に危害を加えるような虫ではなく、親は巣が完成した後その場を離れていなくなってしまうため、放っておいても危険は少ないです。
しかし、コガタスズメバチはスズメバチの1種だけあって攻撃性が高く危険な存在です。下向きのとっくり型のものは初期巣なのでしばらく時間が経つと別の所へ移動しますが、注意しなくてはいけません。
トックリバチは毒がある?刺された時の対処は?
危険度が低いとはいえ彼らも蜂の1種。メスは尻尾に毒針を持っているのです。毒針は獲物を麻痺させるために用いられますが、万が一刺された場合の対処法を説明します。
トックリバチは毒性は弱いものの毒を持っている
彼らが持つ毒針は獲物となる虫を麻痺させるためのものであり、そこまで毒は強くはありません。しかしアレルギー反応によっては重症になる場合があります。
トックリバチに刺された時の正しい対処法
彼らは滅多に人間を襲うことはありませんが、万が一刺されてしまった場合、痛み、腫れ、アレルギー反応などが生じます。
刺されてしまったらまず刺された箇所を洗い流して、刺さっている針を抜きます。それから毒吸引器などを使って傷口から毒を抜き取ります。
刺された所を冷やすと腫れを抑えられます。抗ヒスタミン剤、ステロイド外用薬の塗り薬も有効です。自分でできる処置を行ったら、早めに皮膚科を受診しましょう。
トックリバチは益虫?その理由とは?
彼らは危険どころか、人間の生活に良い影響をもたらす益虫のひとつと言われています。その理由を説明します。同じく益虫のひとつであるアダンソンハエトリの記事も合わせてご覧ください。