マリアナ海溝は世界一深い海!その深さは?海溝に住む不思議な生き物もご紹介!

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プレートの動きによって10000mをゆうに超える深い地形となったマリアナ海溝。地震に関して言えばこれからも注視していく不安な存在かもしれませんが、雄大な地球の歴史の中で生まれた「地球最深」の世界にロマンを感じる方も多くいらっしゃるでしょう。ここではそんなマリアナ海溝に広がる底の世界を少しお伝えします。

マリアナ海溝の底は真っ暗!

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マリアナ海溝の底にはどんな世界が広がっているのでしょうか。もし行くことができたとしてもそこはまさに漆黒の暗闇の世界となるでしょう。太陽から降り注ぐ光が届くのは深海100m付近まで。まったく光の届かない世界が私たちが暮らす地球そのものに存在しているのです。一寸先は闇の世界は私たちの想像をはるかに超える世界といえるでしょう。まさにもう一つの宇宙です。

マリアナ海溝の底は水圧がものすごい!

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マリアナ海溝の最深部でかかる水圧は計算上約15.750psi、1100気圧となります。地上で暮らす私たちにかかる圧力の実に1000倍です。万が一、何も装備のない生身の人間がそこに行けばたちまち押しつぶされさらには液状化してしまうほどの圧力です。さらには水温は凍るか凍らないかの0℃。たった1気圧の環境で暮らしている私たち人がこの深海で生存することは不可能です。

マリアナ海溝には山や崖、峠などがある

プレートによって形成された海の谷には大陸プレートによって形成された地上の谷や山脈の様に凹凸が存在していると想像されています。マリアナ海溝そのものの形は大きな三日月形をしており、全長約2,550km、幅約69kmと広範囲です。ここに私たちが日頃見るような山脈や崖、峠なども存在しているのです。

マリアナ海溝の底にも生物はいる!

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一瞬の光さえ届かず、水温は0℃で私たち人間が生身で行けば液状化してしまうような「死の世界」を思わせるマリアナ海溝ですが、なんとそこにもひそやかに生物は息づいていることが発見されています。そんな生物たちについては次の見出しでご紹介していきましょう。

水深6000mから下は「冥王の領域」

ギリシャ神話では地球で命を終えたすべての死者たちが冥界にたどり着き、そこで冥王であるハデス王によって生前の行いをもとに天国へ行くのか地獄へ行くのか裁判されると語り継がれています。

命を持つものは決してだどりつけない場所である冥界と深海域に昔の人々はつながりを感じたのでしょう。「ハデス」の名前から、水深6000mから下を「ヘイダルゾーン」と呼ぶようになりました。ちなみに日本語では「超深海帯」と訳されます。超深海はまさに人が生きて踏み込むことのできない「冥王の領域」だったのです。

マリアナ海溝に棲む生き物①解明されている奇妙な生物たち

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数々の探検や調査のたびに新たな深海生物たちが発見されてきました。私たちの暮らす世界とは全く違う環境ですから見た目や特徴も実に興味深く奇妙な生物たちを簡単にご紹介しましょう。

マリアナ海溝に棲む生物①デメニギス

水深400~800m付近に生息するデメニギスの最大の特徴は頭部とそこにある目です。液体で満たされた透明な頭部を持ち、緑色をした目はなんと頭の上についています。衝撃的な姿をしていますがとても理にかなっている深海魚なのです。

上からのわずかな光を集めるために真上を向き、上から落ちてくるエサを見つけやすい構造をとっています。日本近海にも生息しています。

デメニギスに関して詳しく知りたい方はこちらもどうぞ

マリアナ海溝に棲む生物②ミツクリザメ

水深1000m以下で発見されることが多いこちらの生物は吻(フン)と呼ばれる尖った頭部先端を持つことが大きな特徴で古代サメの姿を色濃く残していることから生きる化石と呼ばれています。

マリアナ海溝に棲む生物③クモヒトデ

クモヒトデは総称で約1500種も存在しているとされています。同じクモヒトデながら種によって様々な特徴を持っており、中には深海6000m以上の深い世界で暮らすものも発見されています。タコやクモのようにその腕を動かして行動します。

マリアナ海溝に棲む生物④ワニトカゲギス

こちらもクモヒトデ同様、いくつかの生物の総称がワニトカゲギスです。いずれも受け口の様に下あごが上あごよりも飛び出ており、鋭い歯を持ちます。中には発光器を持つ種も存在しています。推進200~1000m付近で発見されることが多い種となります。

マリアナ海溝に棲む生物⑤アンコウ

こちらはほとんどの方がご存知の深海魚でしょう。アンコウ鍋で用いられるアンコウは種によりますが浅いところでは推進200mほど、深いところにすむ種では推進1000m付近で発見されています。有名なチョウチンアンコウはさらに深く推進2500m付近でも目撃されます。ぬるぬるとした茶色く平べったい体をしています。

チョウチンアンコウについて詳しく知りたい方はこちらをどうぞ

マリアナ海溝に棲む生物⑥ダンボオクトパス

深海魚が好きな人たちの中では有名な「かわいい」深海魚の1種でしょう。まるで耳の様に見えるヒレを映画「ダンボ」のダンボの様にひらひらとしながら深海を揺蕩うタコの仲間です。

水深1000~4800mの深海に生息しており、一部の種は7000mという深い世界で暮らしています。現在発見されている中では最も深い場所で生きていけるタコです。

マリアナ海溝に棲む生物⑦クラゲダコ

まさにクラゲとタコが一つになったような姿をしているクラゲダコはタコの一種です。透明な体に細長い望遠鏡のような眼を持っています。500~2000mの水深に生息しており日本近海でも目撃例があります。

マリアナ海溝に棲む生物⑧ベンソコドンクラゲ

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水深800m以上の深海で暮らすこちらの生物は直径2~3㎝と小さな赤茶色の体を持ち、UFOのようなお椀型の形をしています。普通のクラゲの様に透明ではなく赤茶色をしていることで他の生物から見つかりにくく捕食を免れていると考えられています。

マリアナ海溝に棲む生物⑨ムネエソ

平べったい体と細長い尻尾のような尾びれが特徴となります。水深300~500mで暮らしていながら、2000mの深海でも目撃例があります。多くの深海魚同様、発光期間を持ちますが獲物を引き寄せるために発行するのではなく、カモフラージュの目的で発光すると考えられています。

マリアナ海溝に棲む生物⑩オセダックス

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最後は水深4000mに暮らすオセダックスです。ミミズのような見た目をしており、岩や骨などに張り付いてゆらゆらと揺れる姿が特徴的です。ラテン語で「骨を貪り食うもの」という意味の言葉が由来になっている通り、死んで深海に沈んできたクジラの骨などを餌にしています。酸を分泌し、骨を溶かして吸収しています。

マリアナ海溝に棲む生き物②新種?まだ解明されていない生き物たち

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続いてはマリアナ海溝で発見されたもののまだまだ謎に満ちていてその生態が解明されていない生き物たちをご紹介します。新種の可能性も高く名前がついていないものも数多く存在しています。

マリアナ海溝深部の生物①ソコダラ科の深海魚(5040m)

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タラの仲間に分類されるソコダラ科の深海魚が水深5040mで発見されました。水圧に耐えうるようなゼリー状の目玉が見て取れます。この魚の頭部の下あたり、画像の左下に確認できるものが尾ひれになります。通常の魚のような形とは違い、ウナギのようにひらひらと細長くなった尾ひれが特徴的です。

マリアナ海溝深部の生物②キングクリップ(4998m)

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南半球の方では食用ともされているアシロ科の魚であるキングクリップの仲間と考えられる種は深海4998mで発見されました。ゼラチン質を想像させるぼってり、ずんぐりした体は深海の水圧でも耐えうるためでしょう。

マリアナ海溝深部の生物③エビ(6010m)

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続いて発見された場所は深海6010m。画像の通りエビの中だと思われます。通常、生きている状態で赤い色をしているエビは珍しいでしょう。エビ以外の映像との比較から考えてもかなり大きなサイズであることが想像されます。

マリアナ海溝深部の生物④キングクリップ(5050m)

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今まさに餌を捕食している瞬間をとらえられているこちらの魚もキングクリップの仲間と考えられています。大きなガマグチのような口を開けて獲物に食らいついています。食べるものが少ない深海で餌を失うことなく確実にとらえている様子がよくわかります。

マリアナ海溝深部の生物⑤ソコダラ、キングクリップ、ゲンゲ科の魚(5040m)

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先ほどのキングクリップが目撃されたのと同じ5040mの地点では別の深海魚も目撃されました。画像左側はキングクリップの仲間。右はゲンゲの仲間と考えられます。ゲンゲはスズキの仲間でウナギをさらに太くしたような細長い体をしています。

マリアナ海溝深部の生物⑥端脚類エビ(6141m)

出典:youtube

ダイオウグソクムシを連想しそうな見た目のこちらは深海6141mで発見されたヨコエビの仲間と考えられています。体が白いのは光が届かない世界に暮らすため、色をもたないからでしょう。通常の世界で見かけるヨコエビよりはるかに大きな体をしています。たくさんある足をクシのようにうごめかして泳いでいます。

マリアナ海溝深部の生物⑦ソコダラ、エビ、クサウオ科(7012m)

出典:youtube

続いては深海7012m地点で発見された3種です。左のひらひらとした尾を持つソコダラ科の仲間、餌に群がる大量のヨコエビの仲間、そして画像上わかりにくいですがクサウオ科の仲間が見られました。先ほどの赤い色をしたエビの仲間も見えますね。

マリアナ海溝深部の生物⑧新種のクサウオ科(7485m)

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最後は深海7485m地点で発見されたクサウオの仲間です。マリアナスネイルフィッシュの仲間ではないかといわれていますがこちらは新種の可能性が特に高いとされています。透明な体で内臓が透けているのが確認できます。平べったい体にオタマジャクシのようなひらひらとした尾ひれを動かして泳いでいるのが見て取れます。

マリアナ海溝に棲む生き物③想像を超える新種のクラゲを発見!

アメリカ海洋太洋庁(NOAA)による海洋調査において、マリアナ海溝に存在するエニグマ海山と呼ばれる地点で新種のクラゲが発見されました。まるでCGのような空想上の生き物にすら思えるその美しく不思議な姿をぜひこちらの動画でご覧ください。

マリアナ海溝の新種クラゲは姿はまるで地球外生命体?

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まるで電球のような傘と細長い美しい触手が見て取れます。UFOのようも見えますね。本当にこんな生物が存在するのだろうかと思ってしまうような美しい姿をしています。

マリアナ海溝の深海3700mの場所で発見!

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発見されたマリアナ海溝のエニグマ海山は水深3700m。日本一高い山である富士山が十分収まる深さです。2016年4月の出来事でした。発光器官を有しており深海の漆黒の世界でまるでランプようにゆらゆらと揺蕩いながら光っている姿は神秘的でしょう。

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