朝倉病院で40名の患者が不審死?違法治療の実態や幽霊の噂など紹介

ほとんどの患者が体を拘束されており、「腰と壁を紐などで繋がれている人」から「腰・両手足・肩の七か所を紐などで縛られている人」までいました。元職員の話によると、紐を外そうとする人は、さらに強く縛りつけられたといいます。本来、身体の拘束は「治療に支障がある」「事故の危険がある」など限られた場合にのみ行われます。

身体の拘束は、精神保健指定医が認めた場合に行われるものです。医師の資格とは別に、精神保健指定医という国家資格があります。朝倉病院は、指定医の前院長が2000年5月末で退職して以降、非常勤の指定医が週1回程度来る状況だったため、違法に行動を制限していたとされています。

他の患者もいる一般病室で手術を行っていた

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精神病棟の病室内で、手術を行っており、手術を受けた3名の患者全てが手術後に亡くなっています。病室内には他にも、症状が重い精神病の患者が数人いましたが、間仕切りやカーテンを設置するなどの配慮はせずに手術を行っていました。大腸がんや乳がんなど、行われた手術に緊急性はありませんでした。

「病院内のどの部屋で手術を行うか」に対し、法的な規定はありません。1名の患者が手術の数日後に亡くなっていますが、死亡原因に手術が関係しているかは不明とされ、「衛生上好ましくないため、2度と病室での手術は行わないように」との県からの指導があっただけで、法的な罰則はありまでんでした。

朝倉病院ではIVH(中心静脈栄養)の不正投与を行っていた

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IVHとは本来、食事ができない状態の人などに対し、高カロリーの栄養剤が入った点滴を使用し、静脈から栄養を補給する医療行為です。カテーテルを鎖骨などから挿入し、継続的に補給を行います。朝倉病院では、食事ができる状態の人にもIVHを不正投与していました。看護師はカルテに「食欲がある」などと書かないように言われていました。

正確な診察も行わず患者に説明もしないまま拘束し、安定剤を打ちIVHを投与していました。「カテーテルを抜かないように」という名目を得て、身体の拘束は益々酷くなり、最初は元気に食事を要求していた人も、「食べられない」「動けない」状況で心身ともに弱っていきました。

患者をわざと病気にして治療報酬を受け取っていた

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食事ができる状態の人にIVHを投与し続けると、栄養など体内のバランスが崩れてしまい、腎機能の低下や感染症などを起こします。特に清潔を保つのが難しい精神科では、感染症を起こす確率は高くなります。「腎臓が悪くなると腎臓の薬」「発熱すると抗生剤」など、わざと病気にさせて不当な治療報酬を受け取っていました。

IVHの挿入は生活保護者を優先させるのが暗黙の了解となっていました。「身内の居ない人が多い」「身内に文句を言われる心配が少ない」「治療報酬が高額でも国が支払うため回収がしやすい」などの理由から、病状や食欲とは関係なくIVHの挿入が行われていたのです。

朝倉病院に入院した患者40名が不審死した

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食欲があった人の中には、1週間程で感染症を起こしてしまい、1か月程で亡くなってしまった人もいましたが、食欲があった記録はなく、死亡した原因の特定ができないまま、不審死として扱われました。無茶な治療を繰り返した朝倉病院では、40名もの患者が不審死を遂げています。

朝倉病院の不正が発覚した経緯とその結末とは

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2000年の4月から8月頃に、元院長などの元職員から内部告発や情報提供が相次ぎました。11月に県の立ち入り検査が行われ、2001年1月に治療報酬の不正受給が発覚します。3月には改善命令(3回目)が出され、全国初の入院制限命令も出されました。

2001年5月に保険医療機関と生活保護指定医療機関の指定の取り消しが決定し、転院の手続きなどを配慮した期間を経て7月に保険医療機関と生活保護指定医療機関の指定が取り消され、朝倉病院からも廃止届が提出されました。不当に報酬を受け取った金額は、確認済の約1年間で2600万円、5年間分は1億円を越えると予測されています。

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