バリソーゴンとは?映画のポスターに騙される人続出の反原発映画を紹介!

バリソーゴンは2019年現在も未解決である福島女性教員宅便槽内怪死事件をモデルにした映画であり、ショッキングなポスターが話題を集めました。この記事では、映画「バリゾーゴン」についての解説や映画の反響はもちろん、福島女性教員宅便槽内怪死事件についても解説します。

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バリゾーゴンとは?福島女性教員宅便槽内怪死事件がモデル!

「バリゾーゴン」とは渡辺文樹監督によって1994年に撮られた映画です。原発問題を取り上げた作品で『原発のある村。女教員は便槽の若い青年の腐乱死体を愛していた』というキャッチコピーと共に発表されました。

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刺激的なポスターと見る人を煽るようなキャッチフレーズだったため、反原発の映画とは思わずに勘違いして見に行った人も大勢おり、上映後には怒り出す人もいました。また「バリゾーゴン」は実際の事件をモデルにしたドキュメンタリー映画ですが、事実とはかけ離れた内容で、批判の声もあります。

バリゾーゴンの概要と反響

映画パンフレット バリゾーゴン 渡邊文樹・監督

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本来とはずれた方向へ期待を煽り、実際に見た後は茫然としたり混乱して怒らせることもある「バリゾーゴン」ですが、どんな内容で、反響はどうだったのでしょうか。

バリゾーゴンのあらすじは一言でまとめきれない

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原発のある村で、小学校の女性教諭の自宅便槽から青年の遺体が発見されました。当初事故として処理されましたが納得できない遺族から依頼された監督が調べると、複雑な背景が明らかになっていく、という話です。

背景には原発で頻繁に発生する事故、それによる操業停止や、村長選挙に絡んだ金銭の授受、さらには遺体発見の女性への嫌がらせ電話の存在など、とても複雑でした。

警察での再調査も却下され、実際のところ何が本当で原因は何なのか、今でもはっきりしていないのです。

監督は福島県出身の渡辺文樹

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渡辺文樹監督は、1953年に福島県いわき市で生まれました。福島大学教育学部を卒業しましたが、学生時代から自主製作で映画を撮り始めています。

デビュー作は「家庭教師」という複雑な家庭環境を扱っていましたが、それ以外は社会派の作品を多く扱っています。

「バリゾーゴン」での反原発問題以外にも、爆弾事件や飛行機墜落事故なども取り上げています。

バリゾーゴンのモデルは福島女性教員宅便槽内死事件

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「バリゾーゴン」のモデルとなった事件があります。福島県で1989年2月28日におきた、女性教諭宅の便槽内から若い男性の遺体が発見されたもので、数々の謎があったにもかかわらず未解決事件となっています。

また単なる怪死事件というだけでなく、背景には原発での故障と操業停止、村長選挙に絡んだお金のやり取り、女性への嫌がらせ電話など複雑に絡み合った事情がありました。

センセーショナルな事件として有名ですが、実際のところは何もわかっていないのです。

バリゾーゴンは「金返せ!」という声まで出た問題作

原発問題にからんだドキュメンタリー映画に分類される「バリゾーゴン」ですが、『女性教師は便槽内にある腐乱死体を溺愛していた』というミスリードがされていたため、上映後には罵声が飛んでいました。

見た人の中には、いつ死体を溺愛する場面が来るのか待っていたら監督のインタビューや再現ドラマが始まり、気が付いたら映画が終わっていた、呆気にとられた後,怒りが込み上げてきた、という人もいました。

実際に公開されたとある公民館では、上映後に「金返せ!」「監督出てこい!」などの罵声が飛び交い、返金要求の訴訟が起こされた地域もありました。

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実際、チケットを1枚購入すると2枚渡された人もいたようで、1人でも多くの人に見てもらいたかったのでしょう。気持ちはわかりますが、逆効果にしかなっていませんね。

バリゾーゴンのポスターは過激で話題となっていた

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ドキュメンタリーともエロともグロともとれる「バリゾーゴン」ですが、ポスターはどちらのテイストとも違う、目の吊り上がった少年少女が数人書かれたイラストとなっています。

これは監督自らが手書きで作成し、さらにグロテスクな内容を連想させる『失神者続出!』などの煽り文句が筆で書かれて上から貼られていました。

そのようなポスターを上映する街中のいたるところに無許可で多数、自ら貼り付けてまわり、終了後は撤去せず放置していく、という手法は映画の内容と共に話題を呼びました。

バリゾーゴンは2019年現在レンタルできない

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最近では自主製作の映画でも販売されていたりレンタルで視聴できるものが多いですが、渡辺監督の作品はどれも見ることが難しくなっています。

過去にはTSUTAYAでレンタルされていたこともありましたが、監督サイドに無許可で取り扱っていたため、裁判を起こされた事もあります。

とはいえ、インターネット上で探せば「バリゾーゴン」の映像が残っています。完全な形で見つけるのは難しいようですが、興味を持った方は探してみてください。

バリゾーゴンは反原発映画だった

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エログロのキャッチコピーで客の興味を引き集客を伸ばしていた「バリゾーゴン」ですが、元々は反原発映画として撮られたものです。

過激な言葉で耳目を集める手法は今回に限ったことではなく、渡辺監督の定番の手法でした。

監督のファンにとっては、映画の内容と共に、公開し告知する手法も全部ひっくるめてを作品としてとらえている人も多いのかもしれません。

バリゾーゴンはもともと福島原発反対の自主作製映画

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「バリゾーゴン」のモデルとなった事件の被害者、つまり便槽内で発見された男性ですが、勤務先は福島第2原発でした。

また事件の直前には事故が多発し、操業停止にもなっていた事や、同じ勤務先の先輩が飛び込み自殺したこともあります。このような事から、反原発の映画として監督が自主制作しました。

被害者の死因が原発を巡る対立になっている

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被害者は、覗き目的で侵入したものの身動きが取れなくなり、寒さと窒息により死亡したと警察では発表しました。

しかし当時から侵入目的や経路がよくわからないこと、被害者の人柄を知っている知人からも、この発表に疑問を持つ人が多かったのです。

また事件直前の村長選挙では稀にみる厳しいもので、選挙活動で金銭の授受もあったようです。それを知った被害者は途中で応援演説をやめてしまい、その関係で殺されたのではないか、との憶測もありました。

反原発映画として評価するのは不可能とも

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未解決事件を入口にして、興味を持ってもらおうとしたのでしょうが、ポスターや宣伝文句と内容があまりにもかけ離れていたため、見た人の反感を買ってしまいました。

また原発映画を見る心構えのない客にとってはストーリーも回りくどく、反原発映画としての評価は難しくなっています。

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事実をもとにして映画化するという手法は度々見かけます。事件がセンセーショナルであればあるほど、人々の記憶にも残っており、話題になるからです。詐欺事件といえばこちらも真相はよくわからないままです。

「バリゾーゴン」も最初から反原発映画として作り、宣伝していればまだ評価できたのかもしれません。渡辺監督の手法、といえばそれまでですが、せっかくの映画が残念な結果になっています。

バリゾーゴンの問題点①ホラー映画とは言えない

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問題作といってもいいかもしれない「バリゾーゴン」ですが、どこが問題だったのでしょう。この章と次の章では、具体的に検証してみましょう。まずは、今作はホラー映画とは言えない、という点からです。

バリゾーゴンはどちらかというとミステリー仕立て

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ホラーといえば怨霊や幽霊が出たり怪奇現象が起こったりして登場人物や観客が恐怖を感じるものですが、「バリゾーゴン」ではそうはいきません。

冒頭でこそ死体が出てきますが、どちらかといえば謎を解いていくミステリーに分類されるでしょう。ミステリーには探偵役が必要ですが、こちらでは監督自らが出演し謎解きを行っています。

その手法はかなり強引で、自分の結論ありきでインタビューをし、希望する答えではない場合、相手の意見に食って掛かることもありました。

バリゾーゴンの内容はキャッチフレーズとかけ離れていた

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「女教員は便槽の若い青年の腐乱死体を愛していた」と宣伝文句にはありますが、実際には遺体は腐乱していませんでした。また女性教員も死体愛好などではなく、発見してすぐに通報しています。

さらに遺体が登場するのは導入部分のみ、監督がつくりたかったのは反原発の映画で、観客が事前に期待したような展開ではありませんでした。

バリゾーゴンの問題点②現実の事件からかけ離れている

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「バリゾーゴン」は実際にあった事件を下敷きにしていますが、事実とは大きくかけ離れています。

便槽内で発見された遺体の動機が不明であること、村長選挙での対立や裏でお金が動いていた事、女性教員へのいやがらせ電話への対応など殺人の疑惑があることからストーリーが逸脱していくからです。

さらに原発での故障と操業停止などもあり、事実からは大きくかけ離れてしまいました。

バリゾーゴンは結論ありきの取材の様子が描かれる

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導入部分こそミステリータッチで描かれていますが、後半になると監督自らがインタビューするドキュメンタリータッチに変わっていきます。

監督は持論に合わない意見は嘘と決めつけ、高圧的な態度で徹底的に論破しようとします。インタビュー中に相手の話す内容が自分の意見と違うと興奮して詰め寄ることもありました。

あまりに相手を怒らせてしまい、通報されたこともあり、そう言ったシーンも映画の後半には描かれています。

バリゾーゴンの内容が猥雑で何を言いたいのかわからない

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選挙活動でのいざこざや女性教員をめぐる恋愛関係などを膨らませたこと、監督のインタビューのシーンが長くてホラーを目当てに来た客には退屈だったのでしょう。

期待していたものとは違うこともあり、見終わってもあれは何だったのか、ストーリーがよくわからなかったという意見が多かったようです。

バリゾーゴンのモデルとなった福島女性教員宅便槽内怪死事件の概要

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遺体で発見された菅野氏ですが、実際の事件にはどれぐらいの数の関係者がいたのでしょうか。

発見現場に住んでいた女性教員、女性にいやがらせ電話をかけていた人物、それに菅野氏と一緒に対応した女性の婚約者といわれる男性など、直接関係あると思われる人だけでもかなり大勢です。

また事件の前に自殺した菅野氏の先輩や、菅野氏が選挙活動で応援していた村長などもいます。

事件概要①便座内で菅野直之が死亡しているのが発見される

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1989年2月、自宅のトイレでふとしたを覗いた女性が靴のようなものを見つけました。びっくりして急いで同僚職員に連絡し、さらに通報によって警察官と村の消防団員が駆けつけました。

汲み取り口の中にいるのは人らしく、下水管にぎりぎりの状態で入っていたため、数人がかりでも引っ張り出すこともできませんでした。最終的には重機で便槽を壊して何とか外へ運び出しました。

引きずり出された男性は上半身裸、便槽内にいたためホースで水をかけて洗わなくてはなりませんでした。検視の結果、被害者は窒息及び、寒さによる凍死と判断されました。

事件概要②なぜ被害者が便器に入っていたのかは謎のまま

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当初は覗き目的で入り込んだのでは、と考えられましたが、それにしては下水管の直径がおよそ36センチと狭く、成人男性では入ることも難しく、たとえ入ったとしても身動きが取れない状態でした。

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