中国では黄色・金色は「幸運」の象徴であるため、その印象が日本にも伝えられたとされます。幸運は「円満」をもたらすことから、この花言葉がつけられたのではないでしょうか。
椿の花言葉⑤絞りは「完全な愛」
絞りとは「絞り模様」の椿ことを指しており、着物を染める際に一部を縛り、その部分だけ染料が入らないようにするという“染色法”に由来します。
他の色の椿との交配によって生まれたとされており、品種改良も進んで行われています。赤と白が彩った美しい花弁をしているものが、一番イメージしやすいのではないでしょうか。
全ての椿が共通とする「完全な愛」「気取らない魅力」という花言葉を持っています。また、合わさっている色の椿の花言葉を当てても、間違いはないでしょう。
椿の花言葉⑥詫助は「静かな趣」
侘助(わびすけ)は、椿の品種の一つで、他の椿と比べると小ぶりで葉も細くなっており、花弁も一重なのが特徴の、可愛らしいお花です。
名前の由来は諸説ありますが、「詫び数寄(わびすき)」という簡素な茶会や、それを好む茶人に由来して名付けられたという説があります。千利休が好んでいたということで、現在でも茶花として愛用されているようです。
侘助には「控えめ」「静かな赴き」という花言葉が当てられました。また「慰めてあげます」という花言葉も付けられており、そのしおらしい見た目に、心が慰められた人がいたことをイメージさせます。
実は怖い椿の花言葉
椿には、怖いと言われる花言葉が存在しています。前述でご紹介した「控えめ」「愛らしい」という花言葉や見た目からは連想しがたい、椿の怖い花言葉や、その由来を紐といてみましょう。
椿の怖い裏花言葉「罪を犯す女」
この「罪を犯す女」というのは、18~19世紀にヨーロッパで流行した「椿姫」というオペラ作品で登場します。ヨーロッパへはこの頃に椿が輸入されたとして、王族や貴族の間で流行した“話題の花”だったことで、作品に用いられたのではないでしょうか。
この作品に登場するヒロイン・マルグリットは、日常的に赤と白の椿を身につけていたことから、「椿姫」と呼ばれるようになった高級娼婦です。この作品は、美しい彼女の純愛を描いた現代でも人気の作品です。
椿の裏花言葉の由来「椿姫」
彼女は“高級”呼ばれるに相応しい美麗な容姿を持ち、男・金・嘘が取り巻く裏社交界で、派手派手しく日常を送っていました。しかし彼女は肺に病気を患っており、自身の命が長くないことを認識していました。
そんな彼女は、ある一途で純粋な青年に出会い心惹かれていきます。娼婦を辞めて彼と過ごすことを選んだ彼女ですが、青年の父親から「一度でも道を外した身」と反対され、彼に嘘をつき再び娼婦の道へと戻りました。
彼女に裏切られたと思った青年は怒り悲しみ、苛まれる心から逃げるように、外国へと旅立ちました。病が悪化し床に伏した彼女は、青年への変わらない純粋な愛情を胸に死を迎えます。
“道を外した”という認識を伴う娼婦であったこと、純愛ゆえでも青年を裏切ったこと、そのために新しいパトロンを利用したことが、彼女の犯した罪だったのではないでしょうか。
赤い椿と白い椿を使い分けるマルグリット
先述の赤と白の椿を身につけたという話ですが、これは彼女の月経周期を表していたようです。ひと月のうち25日間に白い椿を、5日間は赤い椿をつけることで、暗にそれを客たちに伝えていたのでしょう。
高級娼婦が客とするのは主に貴族階級の人間のため、こういった品のある表現が好まれました。