椿の花言葉は怖い?花の色別に異なる花言葉の解説や裏花言葉の背景に迫る

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椿は、日本や中国、東南アジアという比較的暖かい地域での生息が確認されており、日本では青森県から九州、南西諸島で見ることが出来ます。開花時期は12月~4月とされ、直射日光が当たりにくい場所で育ちやすい性質があります。

椿の名前の由来

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艶葉樹(つやばき)・厚葉樹(あつばき)・光沢木(つやき)がなまって、椿と呼ばれるようになったと言われています。また、春に咲く日本原産のユキツバキを例えて、日本で「椿」という漢字が作られたともいわれます。

冬から春にかけて花を咲かせる椿は春の季語にもなっており、漢字によく合った花だと言えます。そんな椿の見頃についてまとめた記事があります。よろしければご覧ください。

椿は様々な用途で使われていた

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椿は、昔から様々な用途で使われており、思うよりも身近なところで私たちに寄り添っていました。椿がどのような形で私たちの身近に在ったか、ご紹介していきます。

種から採取される椿オイル

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一番身近な「椿オイル」は、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。高級食用油やヘアーオイル、化粧品などの美容関係で多く使われています。

オレイン酸という肌によく馴染む成分を多く含んでおり、保湿力が抜群に高いのです。この成分は人の皮脂によく似ており、馴染みが良いため効果が覿面に現れるのでしょう。

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植物性のため、敏感肌の方にもおすすめです。また、近年では香りを感じられる品種も開発されていますので、香水やお香で椿の香りを楽しめるようにもなりました。

椿の葉がもつ効果

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椿の葉は、背の高さが無く日光があまり当たらなくても光合成ができるよう、葉緑体を多く含んでいるのが特徴です。藪椿の葉をかみ砕き、傷口に当てると止血の効果があると言われます。

他にも、毒虫に刺されたときにエキスを塗れば収まったり、防臭の効果があるとされています。

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椿茶というお茶も存在し、こちらは茶葉と椿葉が9:1で煎じてあるものです。血糖値の上昇を抑えたり、整腸作用や抗菌作用といった、身体の内面からのアプローチにも効果を発揮します。

工芸品を作るための材木に

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長い時間をかけて成長する椿ですが、その多くは伐採され、太い幹の椿はほとんど手に入りません。もしくは、高級品として扱われているため入手が難しくなっているのが現状です。

椿の樹は、耐久性があり木口の割れも少なく、磨けば光沢が出るのが特徴となっています。漆器や判子、将棋の駒などの、工芸品・細工物にも用いられています。

備長炭の代用にもされる椿炭

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椿の樹から作られた「椿炭」は、火力が強いうえに長持ちする、品質の高い炭であるとされています。火花が飛び散らないのが特徴で、火鉢で使用する際にも適しています。

近年、入手が難しくなっているとされる、備長炭に代わる炭としても扱われています。

椿の花が縁起が悪いと言われるワケ

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前述で、欧米では「罪を犯す女」という怖い花言葉が存在するとお話しましたが、日本でも椿は縁起が悪いと言われることもあります。この理由をご存知の方は、少なくないのではないでしょうか。

日本での椿の縁起が悪いと言われるようになった理由と、贈り物といった用途での注意についてご紹介します。

椿の花が落ちる様子は首のようで縁起が悪い

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この例えは、椿の性質に由来します。椿が花弁を散らすことなく萼(がく)を残して、そのままの状態で「ボトリ」と落ちることを、首が落ちる様子に例えたのです。

椿は大きめの花を咲かせるため、地面に落ちた際には実際に音も聞こえてくるのではないでしょうか。

椿の花の縁起の悪さが定着したのは江戸末期

椿が縁起が悪いとされるようになったのは、江戸時代末期であったとされます。この頃、民衆にも園芸を愉しむ文化が広まりました。

もちろん民衆にも愛された椿でしたが、その広がりの中でこのような観念が生まれたのでしょう。

椿の花は病人のお見舞いにはNG

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この噂は“古くから伝えられる”といったものではありませんが、よく知られている噂に属するので、椿と聞いて死を連想する人も少なくありません。そのため、病人のお見舞いには、不向きな花であるとされます。

他にも、鉢物は根付くから良くないとされるので、花を贈る際にはシチュエーションや渡し方にも、注意をした方が良いです。

庭に椿の花を植えると家運が下がるとも

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美しい花を愛でるために、自宅の庭に椿を植えた人もいました。しかし、同じく「首が落ちる」様子から、「跡継ぎがいなくなる」とさらに連想を重ね、家が断絶するという噂もされることとなりました。

競走馬の名前にも使われない

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タカツバキという名の名馬がいましたが、1969年のレースで開始してすぐに落馬し、中止になるという事件がありました。これ以降、競走馬の名前には「椿」という文字は、おおよそ使われなくなってしまいました。

椿の花が「縁起が悪い」という意外な裏話

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「縁起が悪い」と噂された椿ですが、江戸時代末期から言われるようになったことで、それ以前に悪い噂を持っていたわけではありませんでした。また、それに繋がる逸話も存在していません。

椿ばかり植えないように植木屋が考えた

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椿は古くより愛されてきたお花です。園芸が民衆に流行するようになったとき、椿を植えたいと望んだ人は少なくなかったでしょう。しかし椿ばかりが売れてしまっては困るとした植木屋が、他の花木を売るためにこの噂を広めたという説があります。

椿栽培の抑制のため江戸幕府が考えた

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噂の裏話には、こんなものもあります。江戸時代に将軍や大名、公家といった上流階級の中でも園芸が流行し、椿を求める人が多くいました。そのため、民衆に対して出回る椿の量を減らしたいと考え、このような噂を流した、と言われます。

このように、人気がゆえに「縁起が悪い」と言われるようになってしまったという説が存在します。逆に言うとそんな噂をされるほどに、椿は多大な人気を博していたのです。

椿が花弁を散らさずに落ちる理由

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椿が花弁を散らさずにそのまま地面に落ちることには、きちんと意味があります。普通、花は交配のために甘い香りを放って、虫を呼びよせます。

しかし椿には香りがあまりありません。椿は、虫ではなく鳥に交配を手伝ってもらっているのです。

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鳥は香りではなく、視覚によって花を認識します。落ちた後も鳥に見つけてもらいやすいように、鮮やかな花弁をつけたままに地面に落ちるとされています。

実は縁起が良い椿の花

噂とは打って変わって、椿は「縁起が良い」とも言われています。常緑樹という、1年を通して緑の葉をつけ続けている樹は、日本では縁起ものとされてきました。椿もこの常緑樹の一種です。

椿は神聖な木

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椿は神聖な樹とされ、多くの神社でも見かけることが出来ます。また、名前にこの花が入っている神社もあり、その歴史は「縁起が悪い」と言われるより古くから存在しています。

椿の花は不老不死の霊薬

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椿の種から抽出された「椿油」は、様々な用途で使われました。平安時代には唐への献上品としても用いられるほどの高級品であり、「不老不死の霊薬」としても知られていました。

天下人・徳川家康はこの椿油を使用した料理を食べ長生きすることが出来た、という話も存在しています。

椿は延命長寿の木

お正月には、赤と白の椿を並べているイメージがないでしょうか。「悪霊を祓う」と考えられていた椿は、祭事にも用いられることが多くありました。

大阪府の春日神社の椿は、戦国時代に2度の火災に巻き込まれましたが、翌年には新芽を出したということで、延命・長寿・不老の御神木となっています。

椿が見られるの名所

この愛されている花は、全国各地に名所が存在しています。自生林に咲き誇る椿たちは絶景で、感無量となるでしょう。また、椿が花を落として彩った小道の美しさは、表現のしようがありません。踏むのがかわいそうで、歩けなくなってしまいます。

京都府の法然院では、水を張った手水鉢に椿の花を浮かべるといった、フォトジェニックで粋な計らいもされています。

これは数年前に、同じく手水鉢に紫陽花を浮かべて“美しい”と話題となったものを、模したと思われます。そんな紫陽花の花言葉についての記事がありますので、あわせてご覧ください。

日本人から愛された椿の歴史

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ここでは日本人に愛されたことが分かる椿の歴史を、年代順にご紹介していきます。古くから、いつの時代も椿は日本人に愛されて、寄り添って歴史を刻んできたことが感じられます。

「日本書紀」「万葉集」に登場

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奈良時代に書かれた「日本書紀」「万葉集」にも、椿が登場します。日本書紀では、土蜘蛛という妖怪を倒すときに、椿で作られた武器を使ったと書かれています。当時から神聖な樹とされていたため、悪いものを退治するというこのシーンで用いられたようです。

万葉集といえば、新元号「令和」が発表された際にここから引用されたとして、一躍話題となりました。万葉集に収められた歌の中で、椿を使ったものが9首あるのが確認されています。

数寄を好んだ文化人・足利義政

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数寄者であったとされる室町幕府の将軍・足利義政が建てたことで有名な銀閣寺には、もちろん茶室が作られています。入口から中門を繋ぐ、およそ50メートルに及ぶ道には椿が並んでおり、「銀閣寺垣」と呼ばれています。

椿が咲き誇るこの道は、まるで銀閣寺に辿り着くまでに邪念を振り落としてくれるような、神聖さを醸し出しています。また足利義政は、椿のモチーフが入った工芸品も、コレクションしていたようです。

茶道で椿を流行らせた豊臣秀吉

豊臣秀吉は茶道で椿を用いることが多く、これをきっかけに椿は茶道で重要な存在となりました。また京都にある「椿寺」には、彼が寄進した椿が残されています。

彼の家臣である加藤清正は、朝鮮出兵から帰還した際に豊臣秀吉へ「五色八重散椿」という品種の椿を献上したそうです。この椿は「椿寺」に植えられ、世代を変えながらも、現代にまで受け継がれてきたのです。

椿の花言葉は愛に満ちている!「椿の花言葉が怖い」は迷信だった!

椿の花は、本当は神聖で縁起の良いものだということが分かりました。椿は私たちの身近に存在し続け、根付き、歴史を共にしてきたものの一つだと言っても良いでしょう。

そして縁起の悪いとされる話は迷信であるとされますが、そういった認識が世に浸透しているのは変わりありません。病院へのお見舞いに使用することは、避けた方が無難です。

出典:PhotoAC

古くから多くの人に、愛でられ続けてきた椿。「完全な愛」という花言葉の通り、これからもその完璧かつ慎み深い美しさで、私たちを魅了してくれることでしょう。

椿の見頃についての記事はこちら

紫陽花の花言葉についての記事はこちら