「ぐわし」の由来とは?派生形やポーズのやり方のコツも紹介!

「ぐわし」とは、漫画「まことちゃん」でブームとなった昭和を代表するギャグです。ここでは、「ぐわし」の由来や派生形について、ぐわしをしているキャラクター、まことちゃんや作者の楳図かずおについてなど、ぐわしにまつわる様々な事を徹底解説します。

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ぐわしとは

漫画の中の登場人物のポーズというものは、カッコいいポーズでもギャグ染みたポーズでもなんだか真似したくなってしまうものです。今回紹介する「ぐわし」もそんなポーズのうちの一つです。由来やブームについて少し見ていきましょう。

日本でここまでブームになったポーズ、というのも漫画界の中では楳図氏が先駆けかもしれません。それほどまでにこのポーズは当時浸透したのです。

ぐわしは漫画「まことちゃん」に登場する指サイン

しかし、先ほど幅広く見るためにポーズ、と説明しましたが厳密にはこれは指で作るサインとなります。楳図かずお氏の描く「まことちゃん」というギャグ漫画に登場する指サインが「ぐわし」となります。

ぐわしは小学生を中心にブームとなった

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このサインは当時の小学生の間でブームとなり、なんと段と級が設けられるほどになりました。この段と級については後で詳しく解説します。認定試験が制作されるほど、このサインは愛されているとも見ることができます。

この指サインは非常に似通っているサインが多いため、間違えるとファンの方に怒られてしまうかもそれません。過激なファンというのはどこにでもいるものですが、そうでなくても間違っていると指摘したくなってしまうのがファンの心情です。

ぐわしの使い方とは?

出典:PhotoAC

ではこの人気の指サイン、具体的にはどういう時にこのサインを使うべきなのでしょうか。この指サインの意味や原作の漫画の中での登場人物にどのような使われ方をしているのか、等を含めて解説していきます。

ぐわしは物をつかむときがおすすめ

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漫画等でよく見るオノマトペは様々ですが、物を手で掴むとき、概ね「ガシッ」っというオノマトペが使用されます。この指サインの由来は、この「ガシッ」から音が崩れて「ぐわし」になったと考えられています。音や言葉が崩れて別の意味や言葉になる、という事例は元々少なからずありました。

この様な語源から見ても、この指サインは物を掴むときに使うのが適切でしょう。ですが、実はこのサインに特に深い意味はありません。漫画の中のまことちゃんもこのサインを使うときに特に意味あり気に使っているわけではないのです。

「ぐわしっ!!」と言いながら指サインを作る

代表的な指サインは、言葉で表すだけなら至極単純で「中指と小指を曲げ、相手に向けて『ぐわしっ!』と叫ぶ」だけなのですが、初めて実際にやろうとすると人体の構造上酷く苦労することになるかと思います。ともすれば指を痛めかねないので気を付けましょう。

しかし、このサイン自体はファンからも「まことちゃん特有のサイン」程度の認識なようで、具体的な使い時があるわけではないのです。なので気軽に「ぐわしっ!」と叫びながらまことちゃんの真似をしてみましょう。

一般的にポーズを決めながら叫ぶというとボディビルをイメージする方もいるかと思われます。そのボディビルの掛け声には様々な種類があることをこちらの記事で紹介してます。

ぐわしは初代ポーズがあった?!

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実はこの指サイン、「中指と小指を曲げる」という今の形が最初からあったわけではありません。現在の形は2代目で、ファンからは初代、と呼ばれている形があります。では一体どうしてサインが変更されてしまったのでしょう。

そこには、作者の楳図かずお氏が見落としていたある事実があったのです。今ではみんなが知っているけれど、当時はまだ知名度が足りなかった、そんな落とし穴があったのです。

ぐわしの初代はファックサインだった

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一番初めに「ぐわし」として設定された指の形は「握りこぶしから中指だけを突き立てる」というものでしたが、これはアメリカでいうところの「Fuck You」、つまり「死ね」という侮蔑の意味を表していたのです。

ちなみにこのファックサインですが、古い時代の英語においては「こんにちは」や「愛してる」を意味し、そこから進んだ時代でも「ステージをはやし立てる」程度の意味で、現代ほど過激な意味ではありませんでした。

ぐわしの2代目サインは読者からの提案が原案

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作者の楳図かずお氏はこの事実を知らず、アメリカ在住の読者の方に指摘されて初めて気が付いたそうです。この事が分かってから指サインの変更をすることになり、石川県の読者の方の提案で現在の指サインの形となります。

まことちゃんが連載していた時代ではあまり咎められることはありませんでしたが、2000年代ごろになると、日本でもこのサインの意味が周知の事実と化し、現在の漫画やアニメ、バラエティ番組ではファックサインに対してモザイクがかけられることが多くなりました。

ぐわしには完成度によって級等分けがある?!

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先述しましたが、このサインは日本で流行した時に、その人気からファンによって提案された階級が設けられています。階級は7つ、四級から始まり免許皆伝で終わります。それぞれどんな形なのかをチェックしていきます。

7つも形があるなんて、と人によっては多く感じることもあるかと思います。しかし、7つも指サインの形が作られ、それをファンの方々は熟知しています。ここまでファンに親しまれているポーズも非常に珍しいです。

ぐわし・四級

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まず最初の等級、四級のサインは非常に簡単で、「ただの握りこぶし」が四級のサインとなります。一番低い等級なのでまずはこのくらいから、という感覚で考案されたものでしょう。ここから少しずつ難しくなっていきます。

ただの握りこぶしがサインって、それでいいのかと思う方もいるかもしれませんが、元の漫画がギャグ漫画なので、あまり深く考えない方が精神衛生上よろしいと思われます。

ぐわし・三級

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三級のサインは、四級のサインの握りこぶしの形から「親指と小指を立てて、相手に向ける」という形になります。一見簡単そうですが、実際にやってみると小指の筋肉を使うので、慣れてないと痛めてしまうかもしれません。

もし痛めてしまった場合は、念入りに手の筋肉をマッサージして解しておきましょう。早期対応が痛みを後々まで持ち込まない秘訣です。漫画の指サインを練習していて痛めた、とはちょっと人には言いにくいかもしれません。

ぐわし・二級

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「初代」のサインの話を先ほどしましたが、実は二級のサインはこの初代のサインになります。サイン自体は簡単ですが、その中に込められた意味が意味なのであまり人に向けて使わないようにしましょう。

この指サインの楽なところは、立てるのは中指1本だけで、かつ親指で残りの指を抑えておけるので中指を立てやすいところです。しかし立てる時に力を込めすぎると手の甲の部分を痛めます。注意しましょう。

ぐわし・一級

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「手のひらを相手に向け、人差し指と薬指を曲げる」。これが一級のサインとなります。薬指に釣られて中指が引き攣るのが辛いポイントです。この形を戦闘機に見立てて、「グワシ戦闘機」と呼ばれたりもします。

実際にやってみると確かに戦闘機のように見えるので、指サインを作ったまま手を回転させて遊んだりしている人もいるようです。

ぐわし・初段

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ここからは級を飛び越えて段位に入ります。初段のサインは初代のサインと似通っていますが、「握りこぶしから薬指だけを立てる」です。これがやってみると非常に難しく、ファンからも一番難易度が高い、と言われています。

ちなみに、人差し指と小指に比べて何故中指と薬指が曲げにくいのかというと、人差し指と小指にはそれぞれ曲げるための独自の筋肉があるからです。それがない中指と薬指は他の指につられてしまいがちなのです。

ぐわし・二段

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二段のサインは初段のサインにプラスして親指を立てること、つまり「握りこぶしから親指と薬指を立てる」サインになります。初段のサインに親指を追加しただけでは、と思われがちですが、厳密には残りの指を手のひらに付けています。

ここまで6個のサインを紹介してきましたが、これをマスターしたら後は残すところ一つだけです。指の動かし方にもだいぶ慣れてきたかと思います。頑張って残る最後のサインをマスターしましょう。

 

ぐわし・免許皆伝

当然最後に来る免許皆伝のサインは2代目こと現行のサイン、「中指と小指を曲げる」形になります。以上がファンによって定められた7つの階級サインになります。全てをマスターしたら、思う存分免許皆伝サインで「ぐわしっ!」とやりましょう。

これらの階級は、初代が注意喚起によって自粛せざるを得なくなってしまった後に読者によって考えられたものですが、色々なぐわしのアレンジバージョンが読者から投稿されてくるなかで、本物のサインが分かりにくくなってしまったため、作中でこのように纏めた、という経緯があります。

ぐわしが登場する「まことちゃん」とは?

ここまでの記事ではまことちゃんの有名なサイン「ぐわし」について解説してきました。では、ここで少し件の指サインが登場する漫画「まことちゃん」について解説しようと思います。日本を代表するギャグ漫画作品の中身とはどのようなものなのでしょうか。

 

下ネタ・エロネタ満載のギャグ漫画

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この漫画は1976年から1981年まで「少年サンデー」で連載されていました。元々は楳図氏が1971年から描いていた漫画の外伝作品が元になったようです。こちらは祖父を主人公として描いたもののようです。

それから1980年に映画化され、1988年から1989年まで再び連載されています。こちらは「平成版」として扱われているようです。下ネタや楳図氏の得意とするホラーなど様々な展開を売りとした、当時のギャグ漫画の代表的な作品でした。

まことちゃん語が流行

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人気になったのは「ぐわし」だけではなく、作中に登場したセリフ「ゲゲッ」「…なのら」「ギョエー」などの「まことちゃん語」とファンから呼ばれることになる言葉も当時流行していました。

指サインだけでなく漫画のセリフまで流行になったという事実が、いかにこのギャグ漫画が日本で流行していたのかを物語っています。現代の漫画にもこの作品から影響を受けたと思われるような作品が度々見られます。

ぐわし!のポーズで有名なまことちゃんとは?

ではここで、漫画の中を更に掘り下げてこの漫画の主人公のことを見てみましょう。日本中で愛されたギャグ漫画の主人公のプロフィールや家族構成などに焦点を当ててみます。

本名は「沢田まこと」

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主人公の名前は「沢田まこと」といいます。幼稚園児で家族構成は両親と姉と祖父母、そして猫も含めた6人+1の家族となっており、高田馬場に住んでいるようです。他にも庭に狂い咲きの桜があったり、自称ですが祖先が沢田30万石の殿様だったりと盛りだくさんな設定があります。

庭があることから分かるように、自宅は一軒家ですが家の間取りは作者の気分次第ででたらめに描かれるようです。ちなみに、高田馬場は連載当時、作者の仕事場だった場所です。

いたずら好きだが優しい一面も

彼自身の性格としては「幼児なのに覗きで捕まった経歴がある」「得意技はいたずら」「下ネタ好き」など、スケベでいたずら好きな、今でいうところのギャグ主人公のテンプレートのような性格をしています。

しかし、工事現場の鳥の巣から雀の卵を救出したり、親を失った子猫を保護しようとしたりと、優しい一面を見せることもあります。このようなギャグ面とのギャップも人気の一因だと思われます。実際にファンから「下品なのに可愛い」という評価もあったりします。

「ビチクソロック」が流行

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なんと作者自らが作詞作曲し、更には歌った漫画版のイメージソングとして1977年にこの曲のレコードが発売。この漫画のイメージにぴったりの下品な歌詞が特徴のこの曲は、カルト的人気を誇りました。

まことちゃんに関する曲は他にも何曲かありますが、全ての作詞作曲を楳図氏が手掛けています。楳図氏の幅広い才能を垣間見ることができる一面です。

ぐわしは作者の楳図でもできない?

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様々なサインが考案されているこの指サインですが、実は作者の楳図かずお氏はこの指サインを作るのが苦手、という事実があります。しかしこのサインはこの漫画を代表する有名なもの。メディア出演の時に楳図氏はどうしているのでしょう。

そこには、苦手でも自分の作品のファンに対する礼儀としてこのサインは見せたい、という楳図氏のファンに対するサービス精神がありました。

楳図かずおは「グワシハンド」で代用

「ぐわし」を指で作るのが苦手な楳図氏は、紙に手が描かれた通称「グワシハンド」で代用しています。楳図氏がテレビ番組などに出演する場合こちらの紙を持って登場しています。

漫画化だけでなくミュージシャンや映画監督などの幅広い活躍を見せる楳図氏ですが、自身の作品の決めポーズが苦手、というのは意外に思われるかもしれません。ですが、苦手であっても登場時に披露するサービス精神や、持ち前の明るさも楳図氏の魅力の一つです。

ぐわしは人間の手では不可能?

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「ぐわし」の指の形状が何故難しいのかというのは人間の手の筋肉の構造上の問題です。手の指同士は腱で繋がっていて、これを腱間結合といいます。特に薬指は隣り合っている指よりも体幹よりの結合となってしまっているため、中指もしくは小指につられやすくなっています。

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