吉作はどうすれば助かったのか?②吉作が助かる方法
少しの油断で死んでしまった若者の話として今でも語り継がれています。
しかし、吉作は工夫次第で助かることができたのではないでしょうか。吉作の行動の問題点を考えたり持ち物を使って、助かる方法を考察していきましょう。
吉作が助かる方法①黙って体力を温存すればよかった?
まず一人岩棚に取り残された吉作は、大声を張り上げて助けを呼ぼうとします。大声を出し続けることは、著しく体力を消耗します。
むやみに大声を出さず、黙って体力を温存しておくべきだったという意見もあります。そうすれば助けを呼ぶ声が、ばけものの唸り声だと勘違いされることもなく峠が敬遠されることもありませんでした。
しかし、吉作が取り残されているのは高い山の上です。じっと黙ってても誰にも気づかれることはなかったでしょう。大声を出しても、黙っていても結果は同じ、誰も助けに来てくれなかったと考えられます。
吉作が助かる方法②かごをバラして棒状にし、命綱を手繰り寄せる
持っているものを最大限に利用する方法はどうでしょうか。吉作は籠を持っていました。
この籠をほどき、少しでもロープに届くように長く伸ばし、手繰り寄せようとすることも可能であったと言われています。
吉作が助かる方法③手ぬぐいを濡らして岩に叩きつける
持ち物には、手ぬぐいがありました。労働者の汗をぬぐう、ごく普通のただの手ぬぐいです。
この手ぬぐいを使って、岸壁から脱出することは可能だったのでしょうか。
北海道の樺戸集治監から脱獄した、西川寅吉という受刑者がいました。明治20年、西川寅吉は作業中濡らした衣服を壁に叩きつけて、濡れた布の吸着力を利用し塀を乗り越えました。
この方法で、岸壁を登れるのではないかという意見もありますが、吉作の場合は塀の壁と違い岸壁の為、布がうまく吸着しないのではないかという反対意見もあります。
また衣服が完全に濡れるくらいの雨が都合よく降るか、雨が降らなければ自身の尿で濡らすこともできる等様々な意見があります。
吉作落としには自然を舐めるなという教訓が込められている
昔ばなしの中には、子供に伝えたい教訓が込められています。この事故もただ単に不幸な事故だったわけではありません。ほんの少しの油断や判断ミスで吉作は死んでしまったのです。
自然を舐めると、死につながると忠告してくれているのです。
吉作落としの教訓①山に登る時は複数人で
足場もない場所で作業をする岩茸採りは、何か事故が起きると誰かに助けてもらわなければなりません。
現在でも登山をする際は、複数人で登るか、一人で登る際は登山計画書を出すのが鉄則となっています。一人で登山をしていて怪我や体調の変化で歩けなくなると、その瞬間に遭難者とみなされます。
吉作落としの教訓②一人で登るなら行き先を誰かに告げる
一人で暮らす彼は、誰にも山に向かうことを告げていませんでした。何日も吉作が家に帰宅しなくても、誰にも気付かれなかったのはこのせいです。
誰か近所の村人に山に出ることを知らせていれば、吉作は死ななくてもよかったかもしれません。
山から声が聞こえたのが化け物ではなく、助けを求める吉作だと気が付いてもらえたかもしれないですよね。
吉作落としの教訓③命綱を離さない
最大のミスは命綱から手を離してしまったことでした。慣れた山であっても、決して命綱を外すべきではありませんでした。
読んで字のごとく命の綱です。吉作は疲れた体を休めようと気が緩んでしまったが為に、命綱を離し死んでしまいました。