その気持ちが困っている人々を助けたいという探偵の仕事に繋がったため、探偵の仕事では依頼人の気持ちを一番大事に仕事に取り組んでいるようです。
また分かりきっていることですが、稲葉氏は元刑事として第一線で動いていたため知識や人脈が豊富にあることも探偵としての強みとなっており、本人もその腕には自信を持っているようです。
また調査員は現在稲葉氏の他に、親族の男性と女性の職員が在籍しています。探偵に相談する内容はプライベートな情報が多く含まれるため、同性に相談したいというお客さんも多いといいます。
そこで男性調査員だけでなく、女性調査員も配置し対応できるようにしています。ちなみに、稲葉氏は顔がある程度知られてしまっているため、外仕事は調査員に任せ事務所内でできる業務を中心に行っているようです。
探偵の仕事を通して人との繋がりを大切にしていた
このような仕事を行ってきたことで、いなば探偵事務所に相談して良かった、と安心して帰っていく依頼者がたくさんいるようです。中には相談したら気持ちが晴れてしまったという方もいるといいます。
並ではない多くの経験をしてきたからこそ、人の痛みや悲しみを敏感に感じとれる、人に寄り添えるそんな仕事ができているのかもしれません。
稲葉事件以外にも・・・警察の不祥事事件は多い!
さて、今回紹介した稲葉事件以外にも、警察官による不祥事事件は多数存在します。これらの事件は現在に至るまで教訓として語り継がれています。その中のいくつかの有名な事件をご紹介しましょう。
稲葉事件以外の警察の事件①警察官ネコババ事件
1988年、大阪で起きた事件です。当時妊娠中だった主婦はスーパーで現金15万円が入った封筒を拾い警察署へ届けますが、警察官がそのお金を自分のものとしてしまいます。
相手に無事届いたとの連絡がないことを不審に思った主婦が確認の連絡をしたことで発覚しました。しかしそのことで事件の公表を恐れた警察官達は組織ぐるみで主婦を犯人に仕立てようと計画します。
署は妊娠している主婦の体調を考慮せず執拗に事情聴取を行い、取り調べで主婦が罪を認めるまで責め立てるなどし、強引に逮捕状を請求しました。主婦はノイローゼを発症してしまいました。
主婦の医師は警察に猛抗議し、また証拠不十分だった為逮捕状は却下され、課を変え再び捜査が行われました。その結果本部の巡査が犯人だったことが判明します。巡査は懲戒免職処分されました。
主婦側は大阪府警に対し慰謝料の請求と民事訴訟を起こし、口頭弁論で双方和解しました。慰謝料として支払われた200万円は主婦が全額を冤罪防止運動団体に寄付しています。
また冤罪事件について興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。
稲葉事件以外の警察の事件②志布志事件
2003年に鹿児島県で起きた事件です。公職選挙法違反について捜査していた中起こり、警察官による長期に渡る執拗な聞き取り調査や、無実の者に自白の強要をさせるなどをしたことで問題となりました。
この事件の背景として、集落には過去7回当選した実績を持ち地域の権力を握っていた鹿児島県議会議員がおり、この議員が事件を指揮した警部と古くからの友人関係だったことがあげられます。
その議員と対立する人物の当選のため、酒類や現金などをホテルなどで配っていたと起訴された住民が十数名いましたが、裁判では証拠不十分だとして全員が無罪となりました。
稲葉事件以外の警察の事件③ゲーム機汚職事件
1982年に大阪で起きた事件です。当時、大阪の繁華街では、改造したゲーム機を違法賭博するという闇社会でのブームがあり、大阪府警はその取り締まりに乗り出すことにしました。
しかし取り締まりの成果が出なかったどころか、府警は違法賭博する闇業者に捜査情報の提供をし賄賂を受け取っていました。その後一人の巡査と業者が賄賂容疑で逮捕されましたが、それをきっかけにこの巡査の元上司、
他にも府警などの関係者合わせて124人が関与していたことが発覚します。この124人はそれぞれ処分を受けましたが、この事件での賄賂の総額は2千万円以上あったと報じられています。
警察の不祥事は度々報道される
その他にも、警察の不祥事事件はまだまだあります。銃の使用や管理が粗雑なもの、公文書の不適切な取り扱い、個人情報の流失、そして稲葉事件でも問題となった、
裏金問題や警察内部での上下関係・隠蔽体質、警察という職業柄感じる強いストレスによる個人的な不祥事といったものが挙げられます。
いろいろな事件がありますがそれぞれ共通する部分もあり、事件を深く知ることで警察とはどのような組織なのか、見えてくるようでもあります。
稲葉事件にも登場した!警察官が使用する捜査手段
稲葉事件では、捜査方法を駆使した計画が練られていました。今回は特に2つの計画に焦点を当て、本来はどのような捜査方法であるのかを見ていきましょう。
捜査方法①おとり捜査
おとり捜査は、目星を付けている人物・団体に対し、警察側が捜査していると知られないよう気を付けながら犯罪行為を促し、実行したところを検挙・逮捕するという方法です。
過去に被害が出たが実行されなければ逮捕できない、現行でないと証拠がない犯罪などに有効です。薬物に関する犯罪、買春、海賊版ソフトの販売などといった犯罪の捜査によく使われます。
しかし、本来警察が抑止しなければならない事件を、誘発した結果が犯罪になったという見方もでき、裁判で争われる事が多い捜査でもあります。稲葉事件で逮捕されたロシア人もこの捜査に訴えを起こしました。
捜査方法②泳がせ捜査
泳がせ捜査は、犯罪行為が発覚してもすぐには動かず、しばらく様子を窺い犯行の全貌が明らかになったら逮捕するという方法です。制御下配送、コントロールド・デリバリーとも呼ばれます。
この捜査の弱点は様子を見ている間にも着々と犯行は進んでしまうという点で、小さな動向も見逃さないことや、逮捕する為に動くタイミングを見極めることが非常に重要となります。
稲葉事件では、香港マフィアから覚せい剤を密輸する計画の際に使おうとしていました。最後の密輸で荷受人も逮捕しようと画策していたので、泳がせ捜査+おとり捜査も取り入れていたということになります。
正しく使えばどちらも実績のある捜査方法
稲葉事件ではこれらの捜査方法を悪用する形となってしまいましたが、法律に定めてある通り正しく使えば、犯人の逮捕に近づく有効な手段です。
稲葉事件以外にも捜査方法に違法性があったとして訴えを起こし、裁判が開かれる事が多々あります。様々な見方ができますので、専門家であっても意見が分かれてしまう難しい問題です。
ただ、この稲葉事件のように決して悪用されることがないように、気高く職務を全うして欲しいですよね。
稲葉事件は警察の組織的な問題から生まれた事件だった
稲葉事件についてその内容と現在に至るまでを追ってきました。自殺者も出した稲葉事件、もちろん稲葉氏本人に大きな責任があることには変わりないですが、警察の組織的な問題が大きく目立つ事件でした。
本来なら地域住民の安全を守るための警察が、行き過ぎたノルマの設定ばかりに気を取られたり、検挙率を上げるためだけのおとり捜査をしているようでは本末転倒です。
今後このようなことが二度と起こらないように、警察署全体がこういった空気をなくそうと意識して欲しいですし、稲葉事件を教訓に襟を正した業務を頑張って欲しいですね。
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