ハーレクイン魚鱗癬(道化師様魚鱗癬)とは?奇病の特徴や原因・治療法とは

ハーレクイン魚鱗癬とは、遺伝子の突然変異により起こる難病で、仮面のような顔から鱗のように皮膚が剥がれ落ちていってしまう奇病です。この記事では、検索してはいけない言葉にも指定されているハーレークイン魚鱗癬の原因や特徴、病と向き合う患者の姿も紹介します。

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1986年生まれ。2児の母。
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ハーレクイン魚鱗癬は難病の一種

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ハーレクイン魚鱗癬という珍しい皮膚病の名前を知っているでしょうか。難病に指定されているハーレクイン魚鱗癬の発生率は、数十万人に一人という、世界でも稀な奇病と呼ばれています。ハーレクイン魚鱗癬はあまりにもショッキングな症例の為、日本でも検索してはいけないワードとして有名です。

ハーレクイン魚鱗癬とはどんな病気?

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難病にも指定されているこのハーレクイン魚鱗癬という病気は、どのような原因で発症するのでしょうか。ハーレクイン魚鱗癬の予防や治療法は存在するのでしょうか。詳しく説明していきます。

ハーレクイン魚鱗癬は遺伝性の病気

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ハーレクイン魚鱗癬という奇病は、遺伝性の病気として知られています。染色体のある一部の遺伝子に異常が起こることによって引き起こされます。この異常は常染色体優性遺伝であるため、両親のどちらかがこの遺伝子異常を持っていると、生まれた子供は半分の確率でハーレクイン魚鱗癬になります。

また魚鱗癬にはいろいろな分類があり、親から遺伝する先天性と栄養障害や透析などによる後天性があります。病型によって遺伝子異常の型が違うため、劣性先天性の病型もあります。

50万人に1人の確率でハーレクイン魚鱗癬になる

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ハーレクイン魚鱗癬の発生率は、人口50万人に対して一人です。日本には現在、200人ほどのハーレクイン魚鱗癬患者が存在し、またアメリカでは毎年7~8人のハーレクイン魚鱗癬の赤ちゃんが誕生しています。

皮膚が人の10倍の速度で成長し剥がれ落ちる

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このハーレクイン魚鱗癬にかかると、皮膚に重篤な症状を引き起こします。先天的な遺伝子の異常により、皮膚を形成するためのタンパク質が足りなくなり、通常の人の10倍の速さで皮膚が剥がれてしまいます。

人体に入ってくる細菌から保護の役目をしている皮膚が常に剥がれ落ちるということは、感染症にかかりやすいということです。また汗も皮膚から作られているので、ハーレクイン魚鱗癬の患者は汗が作られにくく、体温調整がうまくできません。

ハーレクイン魚鱗癬を持って生まれてきた赤ちゃんは、全身を固いうろこのような皮膚で覆われていて、口をぽっかり開けた姿は魚のように見えたと言われています。

仮面を被っているように見えるから「ハーレクイン」

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ハーレクイン魚鱗癬のハーレクインとは、仮面をかぶった道化師のイギリスでのポピュラーな呼び名です。

魚鱗癬の症状でうろこのように固くなった皮膚が目や口の粘膜を引きつらせ、ハーレクインが主に着ていた衣装に酷似したひし形に裂けて出血するので、その名が付きました。

ハーレクイン魚鱗癬という名がつけられる前は、悪魔、エイリアン、トラ縞の赤ちゃんなどと悪意のある呼び方もされていました。

新生児は生後数日で亡くなるケースも多い

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皮膚からの感染症に弱いハーレクイン魚鱗癬の新生児は、生まれてすぐに治療にとりかからないといけません。硬い皮膚のせいで充分に呼吸することも難しく、脱水も起きやすいことから致死率はとても高いとされ、生後二週間以内に亡くなることが多いです。

ハーレクイン魚鱗癬はエコー検査でもわからない

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ハーレクイン魚鱗癬は妊婦検診のエコー検査では、出産前に発覚することはできません。新しい生命が誕生した喜びも束の間、赤ちゃんを見た周りの人間は驚きとショックを隠すことができないでしょう。

ハーレクイン魚鱗癬の治療方法は?

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遺伝子の異常で引き起こされる病気を治療する為に、骨髄から遺伝子を取り出し正常な細胞の核を埋め込み元の骨髄に戻すという遺伝子治療が存在します。この遺伝子治療はまだ研究段階のものが多く、日本でも様々な臨床研究が行われています。

ハーレクイン魚鱗癬の治療法は見つかっていない

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残念ながら今の医療では、ハーレクイン魚鱗癬は完治することはありません。ハーレクイン魚鱗癬の治療として症状を抑えたり、予後を和らげるための対処療法がとられます。硬い皮膚を柔らかくするためのぬり薬、保湿剤や栄養剤の投与などが行われています。

近年経口レチノイドで硬い皮膚が剥がれるという研究

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近年は経口のビタミンA誘導体の飲み薬によって、硬い皮膚の角質化を抑える治療もされています。強い副作用がでることがあり、催奇性もあるため妊婦は飲めませんが、ハーレクイン魚鱗癬患者の皮膚の改善が報告されています。

漂白剤入りのお風呂に入れる対処療法

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古い角質が剥がれ落ちることがなく、硬化してしまうためにひびわれて出血してしまいます。対処療法として、湯船にスプーン何杯かの漂白剤を入れ、皮膚に有害なバクテリアの増殖を抑える方法が取られています。

かなりの痛みを伴い、誤飲の危険があることで反対意見があるこの対処療法ですが、皮膚科医による一定の効果が報告されています。

ハイランダー症候群に関する記事はこちら

日本におけるハーレクイン魚鱗癬患者

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この遺伝性の病気ハーレクイン魚鱗癬は、日本人にも多くの患者がいるとされています。厚生労働省指定難病の一つです。

日本では「道化師様魚鱗癬」と呼ばれる

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ハーレクインは道化師やピエロの意味なので、日本では道化師様魚鱗癬と呼ばれています。2008年には24時間テレビでハーレクイン魚鱗癬にかかった日本人の少年が出演し、話題になったこともあります。

日本には患者が100人から300人居ると言われている

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現在の日本では、この道化師様魚鱗癬と診断された人は200~300人いるといわれています。男性女性の割合はほぼ同じとされています。難病指定されているので、治療費の助成制度があります。

日本では「伴性遺伝性尋常性魚鱗癬」が多い?

世界的な統計では魚鱗癬の中で一番多いのが、「尋常性魚鱗癬」とされています。フィラグリンという遺伝子変異が原因の病型です。

二番目は「伴性遺伝性尋常性魚鱗癬」なのですが、日本や中国ではこの「伴性遺伝性尋常性魚鱗癬」が一番多いのではないかと言われています。

また男性に多く報告されています。

「ピエロの母」のブログが話題になった

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日本人のブログで、魚鱗癬の赤ちゃんが生まれたことを綴ったブログが話題となりました。「生まれてすぐピエロと呼ばれた息子」という題名のブログです。

産まれてすぐハーレクイン魚鱗癬という病名が着けられ、感染の恐れが強いと隔離、管に繋がれた我が子。息子を見たときに「ごめんなさい」としか言えなかったそうです。

ストレートな表現の題名ですが、ハーレクイン魚鱗癬という病気で生じた不安や心の葛藤、子供に対する心配や深い愛情が赤裸々に語られています。

日本には魚鱗癬の会「ひまわり」がある

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非常にまれな難治性の皮膚炎の為、日本に住む家族三人が仲間を募りハーレクイン魚鱗癬の会が発足します。お互いの病状の相談や、病気の説明会など活動は多岐にわたります。

この会が発足するまでは、ハーレクイン魚鱗癬患者やその家族は周囲に相談できず、孤立していました。

「ひまわり」ができて患者同士の情報交換が進み、日本全国で署名活動を行い、国に対して要望を出しました。ハーレクイン魚鱗癬は「小児慢性特定疾患」として認定され、今では治療費の助成が20歳まで受けることができます。

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ハーレクイン魚鱗癬と向き合う患者たち

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