ハーレクイン魚鱗癬は難病の一種
ハーレクイン魚鱗癬という珍しい皮膚病の名前を知っているでしょうか。難病に指定されているハーレクイン魚鱗癬の発生率は、数十万人に一人という、世界でも稀な奇病と呼ばれています。ハーレクイン魚鱗癬はあまりにもショッキングな症例の為、日本でも検索してはいけないワードとして有名です。
ハーレクイン魚鱗癬とはどんな病気?
難病にも指定されているこのハーレクイン魚鱗癬という病気は、どのような原因で発症するのでしょうか。ハーレクイン魚鱗癬の予防や治療法は存在するのでしょうか。詳しく説明していきます。
ハーレクイン魚鱗癬は遺伝性の病気
ハーレクイン魚鱗癬という奇病は、遺伝性の病気として知られています。染色体のある一部の遺伝子に異常が起こることによって引き起こされます。この異常は常染色体優性遺伝であるため、両親のどちらかがこの遺伝子異常を持っていると、生まれた子供は半分の確率でハーレクイン魚鱗癬になります。
また魚鱗癬にはいろいろな分類があり、親から遺伝する先天性と栄養障害や透析などによる後天性があります。病型によって遺伝子異常の型が違うため、劣性先天性の病型もあります。
50万人に1人の確率でハーレクイン魚鱗癬になる
ハーレクイン魚鱗癬の発生率は、人口50万人に対して一人です。日本には現在、200人ほどのハーレクイン魚鱗癬患者が存在し、またアメリカでは毎年7~8人のハーレクイン魚鱗癬の赤ちゃんが誕生しています。
皮膚が人の10倍の速度で成長し剥がれ落ちる
このハーレクイン魚鱗癬にかかると、皮膚に重篤な症状を引き起こします。先天的な遺伝子の異常により、皮膚を形成するためのタンパク質が足りなくなり、通常の人の10倍の速さで皮膚が剥がれてしまいます。
人体に入ってくる細菌から保護の役目をしている皮膚が常に剥がれ落ちるということは、感染症にかかりやすいということです。また汗も皮膚から作られているので、ハーレクイン魚鱗癬の患者は汗が作られにくく、体温調整がうまくできません。
ハーレクイン魚鱗癬を持って生まれてきた赤ちゃんは、全身を固いうろこのような皮膚で覆われていて、口をぽっかり開けた姿は魚のように見えたと言われています。
仮面を被っているように見えるから「ハーレクイン」
ハーレクイン魚鱗癬のハーレクインとは、仮面をかぶった道化師のイギリスでのポピュラーな呼び名です。
魚鱗癬の症状でうろこのように固くなった皮膚が目や口の粘膜を引きつらせ、ハーレクインが主に着ていた衣装に酷似したひし形に裂けて出血するので、その名が付きました。
ハーレクイン魚鱗癬という名がつけられる前は、悪魔、エイリアン、トラ縞の赤ちゃんなどと悪意のある呼び方もされていました。
新生児は生後数日で亡くなるケースも多い
皮膚からの感染症に弱いハーレクイン魚鱗癬の新生児は、生まれてすぐに治療にとりかからないといけません。硬い皮膚のせいで充分に呼吸することも難しく、脱水も起きやすいことから致死率はとても高いとされ、生後二週間以内に亡くなることが多いです。
ハーレクイン魚鱗癬はエコー検査でもわからない
ハーレクイン魚鱗癬は妊婦検診のエコー検査では、出産前に発覚することはできません。新しい生命が誕生した喜びも束の間、赤ちゃんを見た周りの人間は驚きとショックを隠すことができないでしょう。