フリッツ・ハールマンとは?少年を殺しその肉を売った殺人鬼
現在から100年ほど前に起きた『第一次世界大戦』世界を巻き込んだこの大きな戦争は、主にヨーロッパ大陸が舞台となり当時は革新的な兵器がたくさん用いられて、多くの犠牲者を生むことなってしまいました。また戦争に負けた国は戦後も長期にわたり、経済面でも国民の精神面もダメージを負うことになります。敗戦国である『ドイツ』はやはり戦後まさしく閑古鳥が鳴くような状態となってしまいました。
ドイツではそんな時代背景のなか貧しさから飢える子供たちの心を逆手に取り言葉巧みにおびき寄せて、何人も命を奪った『殺人鬼』がいます。命を奪っただけではなく、遺体の肉、つまりは人肉を喰らい更には市民たちにそれを売っていたのです。簡単にあらすじのように、今回の記事のテーマをお話しせていただきましたが、この後より詳しく詳細を解説していきます。(※バイオレンスでグロテスクな表現が出てきますご注意ください)
フリッツ・ハールマンの生い立ちは?
冒頭部分でお話しさせていただいた身の毛がよだつ非人道的行為に走った戦後ドイツの『殺人鬼』についてさっそくどんな人物であったのか解説していきます。彼の名がドイツ国内、そして世界中に知られることになったのは、大人になってだいぶ後のことであり、彼の悍ましい所業が発覚した後です。当然大人になってからの彼についても目を引くことでしょう。
しかし彼がどうして人間の姿をした『モンスター』になってしまったのか?どこでヒトの心が死んでしまいモラルがなくなってしまったのか?それを皆さんにまずは考察していただくためにも『生い立ち』を語っていきます。決して生まれながらにして問題があったわけではなく、徐々に家族や周りの環境に影響を受けながら、人格が歪んでいったということをきっと理解できるはずです。
ハールマンの生い立ち①厳格な父と愛情深い母の間に生まれた
彼は現在から140年ほど前の1879年(日本では明治12年)の10月にドイツ帝国で、6番目の兄弟として生まれてきました。父親はある意味で厳しい人物でしたが、一方の母親は反対に母性溢れる、愛情深い人物であり6番目の兄弟として生まれてきた彼の事を、こよなく愛する優しい母親だったそうです。家族構成は両親と兄弟姉妹たちを含めた8人であり『大家族』でした。
それだけの家族たちを男手一人で生計を立てるのは厳しいということは言わずもがなですが、更にこの当時のドイツは第一次世界大戦に敗戦国となり、非常に経済的にも心理的にも貧しい状況であったのですから、父親の負担は想像を絶するものがあったと考えれます。ですが母親の家系はもともと資本家であったので、その財産でやっと生活しているような物でした。
ハールマンの生い立ち②父親は飲んだくれで折り合いが悪かった
先ほど父親はある意味では厳格。と解説しましたが真面目で教育熱心というわけではなく、毎日酒に溺れて家族たちに直ぐに手をあげる、典型的なダメな父親だったのです。勿論彼に対しても体罰でもなんでもない虐待をしていたことが容易に想像できます。そんな父親であるためか家族の誰とも仲が良くなく折り合いが悪かったのです。
この家庭状況、すなわち決して良い父親とは言えじダメ人間であり、家族たちに手を出していた事実が彼の性格や人格を歪ませた原因と考えられますが、問題があった家族は父親だけではなく、その父親のもとで育った兄弟姉妹たちもまたどこか人間的に欠落した存在になってしまったのです。
後述しますがその中でもある兄弟が『特に』彼に対して悪影響を及ぼす行為をしたのです。
ハールマンの生い立ち③母親は息子に甘く人形で遊ばせていた
彼を生んだ時母親が何歳であったか残念ながら分かりませんが、その時すでに健康ではなかったのか、あるいは何か重い病気を患ってしまったのか。彼を生んでからはずっとベットで横になって暮らしていたようです。そんな状況では彼に対してきちんと面倒が見れず、教育が出来ないのではないかと考えるのは普通です。
ですが母親は母性溢れる人物であり、彼に対してベットで『寝たきり』になりながらも精一杯の愛を注いでいたのです。もちろん母親の目の行き届かないところも出てきたはずですが、彼女は母親としてできる限りの教育をしていました。
男子であるハールマンに対して
良く言えば優しい母親ですが、悪く言えば『甘やかしすぎ』であると捉える事もでき、男子である彼にはよくお人形で遊ばせていました。実はもともと生まれからすぐ幼少期の頃から彼は病気を患っており健康とはとてもいえない児童だったのです。
彼の健康状態を考慮して部屋の中で静かに遊ばせたわけですが、当然普通のやんちゃで好奇心旺盛な男子の遊びとはかけ離れています。実は母親のそうした教育や接し方なども彼の人格を形成した大きな要因となります。
ハールマンの生い立ち④きょうだいとの関係は良くはなかった
彼には6人目に生まれてきた兄妹なので、上には5人の兄姉がいたのです。一番年齢が近く5人目の兄妹にあたる妹とは良好な関係であり仲が良かったのですが、他4人の兄姉とは非常に仲が悪く関係はよくありませんでした。それもそのはず姉たちに関してはみんな非行に走り、自身の身体を商売道具にする『売春婦』になってしまったのです。
また2番目の兄に関しては実の妹に対して暴力などを振るうなどして『虐待』の容疑で逮捕されて、長いこと牢屋で生活していたそうです。その兄からなのか他の兄からなのか分かってはいませんが、弟である彼はそんな兄から猥らに『性的暴行』を受けていたのです。この事実も彼を人間的に歪ませた大きな要因なのではないでしょうか。
ハールマンの生い立ち⑤陸軍の士官学校に入るが退学に
小学生という人生で初めてのが学業では、他の生徒よりも成績が悪く在学中に数回留年しています。とはいえ俗に言う『自頭』は良かったのか、幼気ながらに彼は周囲の人間を口達者な話で楽しませて、可愛がられていました。学校が長続きせず大人と同じようにお金を稼ぐために、外に働きに行きましたがそれもすぐに辞めてしまいました。
そんな感じで段々と月日が流れて日本では高校生に当たるくらいの年齢になると、国のために軍人として活躍するための学校に入学しました。入学した当初はこれまでの学生生活とは裏腹に見習い兵士としては十分な成績を収めて、優等生と称されるほどでしたが、厳しい訓練の中で持病の症状なのか、しばしば突発的な発作に見舞われてしまい、教官から適正が無いと判断されたのか『退学』になってしまいます。
この退学がターニングポイントかも?
先ほど解説したようにこれまでの短い少年時代のなかでも、何度か成績不振で留学していたり勤めていた職を辞めていたので、この退学も一見私からは些細なエピソードのように感じますが、彼にとっては狂気な人生のターニングポイントになったといても過言ではないかもしれません。
士官学校に入学して、もしかしたら生まれて初めて本気で熱心になり男子らしく努力したのが訓練であり、それが周りからも認められて順調だったさなかに、彼も望まぬかたちで『退学』に追いやられてしまったのです。その時から『どうせ自分は・・・』という心理状態に陥ってしまい、更に自分は健常者ではなく病気を患った『障害者』であると強く認識したのです。
ハールマンの生い立ち⑥職を転々としつつ女性と結婚するも離婚
彼は退学になった後も生活するためなのか、社会や家族の世間的になのか、色々な職を転々としていました。どの仕事に就いても長続きはしませんでした。それはどんなに頑張っても上手くいかないと強く認識していためかもしれません。段々と彼から社会性なパーソナリティが感じられなくなってきましたが、この頃人生で初めての『犯罪』を犯しました。
彼はピュアで幼気な少年少女たちが遊ぶような公園に足を運ぶと、見ず知らずの少年に声をかけて連れ去り『わいせつ行為』を働いたのです。この時彼はまだ自身が異性である女性ではなく、同性である男性に、更には大人ではなく幼い子供つまりは少年に好意をよせる『性癖』に気づいていませんでした。
精神病院で診察
現在から100年以上の前のドイツであっても、同性愛者さらには幼児に好意をよせる、現代的にいうのであれば『ショタコン』にあたる彼の変わった嗜好を理解することができず、精神に異常をきたしているのではないかと疑いました、警察は彼に精神病院で診察するように指示しました。
その診断が実施されると医師からは『再犯の恐れがある精神異常者』のようなアバウトな結果が言い渡されました。この結果がどこか彼にとって気に食わなかったのか、プライドを傷つけられたのか、以後『精神病院』を毛嫌いするようになります。このとき日本の法律のように精神疾患と診断された場合、責任能力が無いとして刑事処罰が下されなかったかどうかは分かりません。
女性と結婚するも・・・
前述したとおりでこの時まだ彼は自分の内に秘める、人とは違う嗜好や性癖に気づいておらず自覚してませんでした。その頃にある女性と同じ屋根の下で暮らすことになり、しばらくして2人の間には子供を身ごもりました。恐らくはこの時すでに内縁関係にあったと考えられますが、彼はその子供を育てたくなかったのか、自分は『障碍者』だからと言って堕ろすことを勧めました。
2人がどういった仲であったか深くは語られていませんが、しばらくは夫婦で生活していましたが、彼が後にお店を始めて経営することになるのですが、思った以上にうまくいかず『経営難』に陥ってしまいます。その際に嫁である彼女のせいにするかのように『経営者の素質がない』と辛辣に言い放つと、これをきっかけに彼女は彼との離婚しました。
ハールマンの生い立ち⑦軍隊にはいるが除隊になる
彼の狂気の人生のターニングポイントであろう士官学校の退学から役4年後に、学校ではなく実践的な本物の『軍隊』に入隊します。(この間に先ほどお話しした通り、見ず知らずの男児に手を出して検挙されて精神病院にて診断されています)彼はこの時何故また再び軍隊に入隊したのかは明らかになってはいませんが、何か心に大きな変化があったのでしょうか?
彼は発作を起こしてしまう持病や精神異常者というハンディキャップがあるのにも関わらず、優秀な兵士の一人として周りから認知される様になっていきましたが、奇しくも1年後に軍隊が設けている精神病院にてまたも『精神異常者』と診断され、これがきっかけとなりまたもや『除隊』を強いられてしまいました。この出来事も2つ目の『ターニングポイント』と捉えることができます。
10歳以上離れた男と交際して犯罪を犯す
彼が軍隊を精神疾患の理由で除隊させられて、内縁の妻とも別れた約4年後に違法なモノが売買され取引されている『アングラ』のような場所で、10歳以上も離れた男に出会い交際するようになります。この時は自分の変わった嗜好や性癖に気づいていました。
それからというもの彼は、万引きや強制性交など色々な犯罪に手を染めてしまい、何度も逮捕されては収容され、シャバに出るとまた犯罪を犯して逮捕される。という生活を繰り返していました。この頃まさに第一次世界大戦が起きていて、男たちは兵士として駆り出され、国内も戦争の舞台であったので長期にわたり収容されていた彼は幸いにも命を落とさずに済んだのです。
戦後しばらく仲の良い姉の家で暮らす
第一次世界大戦が終わった後、ドイツは敗戦国なので多くの戦勝国から多額の負債、兵器や軍事にあてた資金などで非常に厳しい状態でありました。このころ彼は出所しており長期間服役していた収容所の中でアングラでの耳寄りな情報を当てにして、『肉屋』を営むことになりました。出所して間もないころには暮らしの拠点になる『自宅』がなかったので、兄姉のなかで一番仲の良い姉の家で暮らす事になったのです。
姉は結婚していて家庭を持っていました。彼はその家庭と一緒に食事することになりましたが、この際姉の子供立ちが満足にご飯にありつけていないドイツの貧しく厳しい経済状況を目の当たりにしました。彼はなんとか子供たちに腹一杯のご馳走を食べさせてあげようとして、精通していたアングラ界で色々な食料を安価で調達しました。
調達するやいなや彼は望み通り子供たちに、戦後のドイツの一般家庭ではまず叶わないであろうご馳走を満足に食べさせたのです。それからというものの子供たちのお腹は健康そのものに膨れ上がり、また彼の事を優しいおじさんとして慕って仲良くなっていきました。ここにきてまたも一瞬だけハッピーな展開を見せましたが、それもつかの間、彼をまた『おかしくさせてしまう』出来事が起こってしまったのです。
子供たちから慕われ人気者となった彼の事を、ある人物が気に入らなかったのです。その人物とは仲の良い姉の内縁の夫であり子供たちの父親でした。そうです、父親は彼が息子たちに慕われて人気になっていることに嫉妬をしたのです。父親は彼をこの家から追い出そうして、その家の管理者に『彼は違法な取引をしていてこのままだと連帯責任になる』と吹き込み、間接的にその家から追いやったのです。
またもハールマンの心は落胆した
彼はまたも上手くいっている状況で、人間の汚い部分が垣間見えて姉の家庭から追い出されてしまうのです。この時彼はどんな心情であったでしょうか?この世の中の不条理さ、何をやっても上手くいかないことに対して酷く落胆してしまったかもしれません。いよいよ彼の心は闇に飲み込まれ、人ではなく文字通り人を喰らうモンスターと化してしまうのです。
彼が人ではなくモンスターになってしまったきっかけを考察していただくために、ここまでつらつらと彼のこれまでの経歴や『生い立ち』についてご紹介していきました。『怠惰』という言葉がそのまま擬人化したような人物であり、時には人間らしい一面もみせて、生まれたその時から歪んだ精神を持っていたわけではない。そのことがよく分かっていただけたのではないでしょうか?
フリッツ・ハールマンの起こした事件の概要
先ほどの見出しでは生まれてから少年時代、そして成人になった後までの『生い立ち』について簡単にまとめてご紹介していきました。すでに何度か強制性交や万引きなどにより逮捕されていた事実が明らかになりました。しかし思い出してほしいのですが冒頭部分では彼の事を、人の肉を喰らう凶悪殺人鬼という風にご紹介しているはずです。
ではここからは遂に、彼の非人道的行為による犯行およびそれによって引き起こされた事件について詳しくご紹介していていきます。戦後それも敗戦して大きな傷を負っているドイツ国内にて、若者や子供たちは行き場をなくして食料も当てもなく、街を徘徊していました。そこに彼が徐にやってきて助けてあげる。何かご馳走するといって、自宅におびき寄せたのです。
そうして若者や子供たちをまんまとおびき寄せると、助けたりご馳走をあげるどころか、自分の欲求を満たすための道具として扱い、強制性交したあとは容赦なく致命傷である首元を噛み切って、弄ぶように命を奪ったのです。そうした被害に遭い命が奪われた少年たちは50人以上にも及ぶと言われています。
ハールマンの事件概要①ハノーバー全域から大量の人骨が発見された
ドイツ北部に位置するライネ川がすぐそばを通る高い提という意味をもつ主要都市『ハノーバー』この町全域で大量の人骨が発見されました。主に見つかった場所は川からだそうです。1つや2つだけあれば事件性がないことも考えられますが、20人以上の人骨それも頭部のものが発見されたのです。警察はすぐに捜査に乗り出しました。
ハールマンの事件概要②容疑者になるが逮捕には至らず
彼は何度か少年たちにわいせつな行為を働いて逮捕されていますし、地元周辺で身寄りがない子供たちに甘い言葉で声をかけて自宅に連れ込んでいる実態を警察は知っていたのです。当然彼は容疑者としてあがりましたが、なかなか検挙することができなかったのです。もちろん決定的な証拠が掴めなかったわけだからですが、なぜ証拠を掴めなかったのでしょうか?
実は自宅から大量の血を容器に入れてそれを運ぶ彼の姿を近所の方が何度か目撃していますが、彼は『肉屋』だという名目があったので不思議に思う人はいなかったのです。さらに明らかに人肉、肉片を運ぶ姿が見つかり警察に通報されたこともありましたが、警察はそれをただの食用の肉として疑わなかったのです。
何故警察は疑わなかったのか?
彼はアングラに精通しておりそこで仕入れたのは食材やモノだけではなく、内情などの情報もつかんでいました。その情報を警察に提供していたので友好関係にあり、彼を少なからず人として信頼していたのです。
ハールマンの事件概要③少年を強姦しようとしたところを現行犯逮捕
警察はどうにか彼がが犯人だという証拠をつかめないものかと試行錯誤をしました。そこで警察は彼がターゲットにするのは若い少年で、綺麗な顔立ちをしている人物像であることを知っていてたので、それを逆手に取り地元で1番の甘いマスクをした『美少年』をおとりにして、彼が獲物に食らいつく瞬間をじっと離れたところで見ていたのです。
警察の狙い通り彼はおもむろにその美少年に近づき声をあげると、後述でも解説するいつもの『手口』を使って自宅におびき寄せたのです。当然その様子を警察は後ろでスニーキングして見ていました。そうとは知らずに彼はいつものように本性を現し野獣になって、美少年に襲い掛かろうとして、そこを警察に抑えられ現行犯逮捕されました。
ハールマンの事件概要④逮捕の一週間後に「48人殺した」と自白
現行犯逮捕されたのですから、彼は強姦未遂の容疑は認めざるを得なかったのでしょう。しかし隠しきれていない動揺を露わにしながらも、一連の猟奇的殺人の犯行は断固として否定して認めませんでした。そこで警察は、一人の警察官が激昂して尋問の様に言葉による威圧、さらには暴力で痛み付けて精神が弱ったところで、他の警察官が優しい言葉でなだめながら供述させる。
という取り調べの手法をとることにしました。彼は幼いころから愛情深い母親のもとで育ったためか、どこか女々しい一面もあり、狙い通り精神を誘導できこの作戦が成功しました。悍ましい非人道的行為、殺害方法など次々と彼の口から言い放たれ『48人』もの若い男を殺したことを自供しました。これにより死刑判決が言い渡されました。
フリッツ・ハールマンの誘拐・殺害の手口
こうしてドイツの1つの主要都市で約50人あまりもの若い男が1人のモンスターによって、欲求を満たすために命が奪われていったことが暴かれて死刑が言い渡されたわけですが、なぜそれだけの人間が彼の手口にはまり犠牲となってしまったのでしょうか?またどうして警察は鬼畜な所業に気づかなったのでしょうか?
それは当時のドイツの時代背景。つまり第一次世界大戦が終戦して敗戦国になってしまい経済的にも精神的にも貧しかった状況。その状況を利用した手口で犯行現場となる自宅におびき寄せた事。そしてあまりに悍ましい殺害方法と死体遺棄をして証拠を隠滅したことによるためだと考えられます。こちらでどんな犯行手口であったか順番に解説していきます。
ハールマンの手口①補導と称して浮浪者・家出中の少年に声をかける
当時のドイツはまさに閑古鳥が鳴くような状態で、家庭も家もなく行くあてもなくただ彷徨っている少年、さらには犯罪や非行、問題行動に走って家を飛び出した少年たちがたくさんいました。彼はそんな少年たちの中でもひと際綺麗な顔立ちをして中性的な男をターゲットにして声をかけたのです。
このとき怪しまれず『目的』を悟られないように、警察や補導を装い『寝床を貸そう』『食料を分け与える』など甘い言葉で騙して、犯行現場となる自宅までおびき寄せたのです。この時の様子を地元警察は何度か見ていますが、前述した通り彼は警察に対してアングラで仕入れてきた『内情』などを提供して、協力関係にあったため黙認していたり怪しまなかったのです。
ハールマンの手口②遺体を解体し食べて証拠を隠滅
彼は先ほど解説した手口で犯行現場となる自宅までおびき寄せると、興奮が抑えきれず本性を現し野獣と化しました。自身のタイプである厳選した少年を欲望のままに犯して、行為が終わり静かに寝静まったあと躊躇せず致命傷である喉仏目がけて噛み切って命を奪ったのです。
人肉を食べてみたかったという欲望もあったはずですが、それよりも豚や鶏、魚の様に『人間』をバラバラに一つ一つの臓器や部位を捌いてみたい。という衝動に駆られて抑えきれなかったと自供しているのです。もともと表向きは『肉屋』なので包丁の扱いを心得ており、それが人のものだと分からないくらいには綺麗に捌けたのでしょう。こうして『証拠』となる遺体を隠滅したのです。
ハールマンの手口③共犯者のハンスが服を売り払い証拠隠滅
当然ながら証拠となるのは人肉や遺体だけではありません。被害者が所持していた物、特に身にまとっていた衣類も大きな証拠となるわけです。実はこの事件の犯人は彼だけではなく『ハンス』という甘いマスクをした青年の共犯者がいました。後程改めてこの人物について解説しますが、彼と共犯者は長い付き合いであり『愛人』関係にあったのです。
そしてその共犯者に被害者たちが所持していたもの、身にまとっていた衣類を提供すると、気に入ったものは共犯者がそのまま自分のものにして、不要なものは地元住民たちに売りさばいてお金にしていたのです。現代であれば別ですが、100年近く前の戦後のドイツともあればこうして物的証拠が流れてしまうと警察もなかなか行方が掴めなったのです。
フリッツ・ハールマンが捕まらなかった理由は警察の怠慢?
ここまでの内容でも何度もお話ししていきましたが、地元住民、近所、警察までもが彼の犯行の様子や被害者たちの悍ましい『亡骸』を目撃しているのです。それなのになぜ早期に検挙されなかったのか、それは地元の警察と人間の顔をしたモンスターである彼は『協力関係』にあったのです。
ではその関係がいったいどのように築かれたのか?またどんな関係だったのか?こちらの見出しで考察していきます。どんな関係であったにしろ警察が『まずい対応』をしてしまったのは事実であり、ここまで犠牲者を出す事になってしまったのは警察の『怠慢』が原因とも考えられます。
ハールマンは警察の情報屋「アメリカン・ラッソ探偵社」だった
彼が初めて警察のお世話になったのは士官学校を中退した10代後半の時であり、その時は幼気な少年少女たちが遊ぶ地元の公園にて、被害者の幼児をさらって『わいせつ』な行為をして逮捕されました。励んでいた軍隊も除隊になったあと、彼は『精神異常者』をだしにて様々な犯罪を繰り返して、第一次世界大戦中はほぼ牢屋の中で暮らしていました。
彼は口達者で人から好かれやすかったのでその牢屋の中で、ドイツのアングラに生きる人たちと繋がりを確立して、アングラに精通するようになり出所した後も顔がきくため、毎日の様に食材や物、情報を仕入れるためにその世界に出入りしていたのです。そのとき手に入れた内情を警察に提供していたので、彼は時に『ハールマン刑事』と呼ばれるほど協力関係を気づいていたのです。
ハールマンが売っていた人肉を警察が「豚肉だ」と見逃した
過去の犯罪歴、おかしな嗜好や性癖を持っていた精神異常者だということは警察も知っていましたが、警察にとって彼は情報源として欠かせない存在であり、利用価値があったのでしょう。また単純に仲が良かった警察官も少なくなかったはずです。