彼から唯一無二の母親を無常にも奪い去った結核の病魔の手が、妻・ヴァージニアにも襲い掛かったのです。エドガーアランポー仕事も奮わなくなり、治療費と生活費にだんだんと家計は圧迫されていきます。
わずか27歳で命を落とした妻を見送り、その2年後には再び彼を支えてくれる女性と婚約をします。しかし、エドガーアランポーは結婚を控えたまま、酒場で突如謎の死を遂げ人生の幕を降ろすのでした。
エドガーアランポーの家や墓の現在は?
エドガーアランポーの死後、彼の希代な才能や残された作品たちに魅了された有志によって、晩年の生活拠点や墓石がアメリカに残されています。残念な事に、彼が本国で評価されたのはこの世を去った後でした。
エドガーアランポーの晩年の棲み処はNYのブロンクス、彼のレリーフがはめ込まれた立派な墓標は最後の地であるメリーランド州のボルティモアという地に建てられており、彼の人生の終末を感じることができます。
エドガーアランポーはなぜ死んだ?死因については様々な考察がある?
美しい未亡人との再婚を間近にする中、突如、場末の酒場で奇妙な死を遂げたエドガーアランポー。生前からあまり酒癖はよくなかったようで、その酒癖のせいで婚約を白紙に戻されたというエピソードもあります。
しかし、だからこそ反省を生かして新しい妻を迎え、人生のリスタートを切ろうとしていたのではないでしょうか。その矢先に一体何故、えどエドガーアランポーは命を落とすこととなったのでしょうか。
エドガーアランポーは酒場で異常に泥酔していた
再婚の準備と、自分の作品集の出版準備にと忙しく東奔西走していたエドガーアランポー。彼はなぜか、その準備の旅の途中で選挙真っただ中のボルティモアへと立ち寄り、図らずもその地を最期の土地とします。
選挙の投票区内に軒を構える1件の酒屋で、エドガーアランポーは旧知の男性の通報によって酩酊状態になっているところを病院へと搬送されます。しかし、治療の甲斐なく1週間もたたないうちにこの世を去りました。
エドガーアランポーは「クーピング」被害者説
エドガーは病院に運び込まれて数日間の後に死亡しました。にもかかわらず、不可解なことに関連する書類は全て消失してしまっています。死因は脳溢血とされていますが、まことしやかに囁かれている説があります。
それは、選挙投票に関わる「クーピング」という犯罪に巻き込まれたのではないかという推察です。クーピングとは、身分のはっきりしない流れ者や浮浪者、あるいは旅行者に酒を飲ませて無理やり投票させる手口です。
ボルティモアは議会選挙の渦中にあり、旅行者であるエドガーアランポーは格好のターゲットであると言えます。そのため、何杯も無理な飲酒をさせられ急性アルコール中毒を引き起こしたのではないかと言われています。
エドガーアランポーの代表作を紹介!
そんな不可解な非業な死を遂げたエドガーアランポー。彼の人生も苦難と謎にあふれたものでしたが、その境遇が才能の研鑽に磨きをかけたのか、素晴らしい小説作品が死後150年以上たった現代でも愛されています。
近代ミステリの祖と言われるエドガーアランポーによって紡がれた奇妙な物語たち。そんな魅力あふれる作品たちのあらすじを、代表作であり探偵小説の走りである「モルグ街の殺人」から広く紹介していきます。
エドガーアランポーの代表作①モルグ街の殺人
「モルグ街の殺人」は、世界で初めて探偵小説像が作られたファンデーションとなった作品です。作品は一人称視点で語られる形式のもので、読者と作中の語り手をリンクさせて小説に没入しやすくなっています。
物語は、栄華極まるパリのモルグ街で、1件の人間の所業とは思えない猟奇事件が発生するところから始まります。ある紳士と知り合った語り手は、紳士につれられて怪奇事件の現場調査に同行します。
その紳士こそがシャーロックホームズのモデルにもなったシュバリエ・オーギュスト・デュパンであり、現場に残されたある証拠からピタリと犯人を言い当てます。事件の犯人は、誰も想像し得ないものでした。