免田事件は最悪の冤罪事件|死刑判決から再審無罪となった事件の結末と現在

謝罪はしたものの、テレビ局が容認していたこともあり波紋はそこだけに止まりません。すぐに抗議文を出し、自体は大きく動くことになります。謝罪に至りましたが、立川談志だけに問われる問題ではないでしょう。テレビ局自体に問題があったことも当然のことかもしれません。

2年後に日弁連から「警告」と「勧告」が行われた

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今度はテレビ局が叩かれることになります。人権の侵害は、大きな問題として扱われなければなりません。当然苦しんだことに対して、笑いを持って扱うなどあってはならないことです。日弁連から「警告」が行われ、更には重い「勧告」が行われました。そこに至るまでに要した時間は2年後という長い年月でしたが、貴重な時間だったことは確かではないでしょうか。

免田事件が冗談で済まされる段階ではなかったことは、言うまでもありません。そっとしてほしい、と思うことが一番の願いだったこと、死刑や冤罪を防ぐために動いている行動にとって大きな問題だったことは誰の目にも明らかではないでしょうか。

立川談志の指す「元法相」は秦野章?

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これは一説に言われていることであり、確たることではないことをご承知ください。免田事件の時代と重なり、立川談志の話した元法務大臣とは誰なのかを遡って見ると、当時の大臣とは、ロッキード事件にて田中角栄を擁護したともされる人物の名が挙げられます。

笑いの一幕であったので、それすら作り話かもしれませんが、免田事件で当てはまる人物としては秦野章ではないかともされているのです。あくまで噂であり、遡って考えると、の話にはなりますが、当時の国会での態度を考えても当てはまるかもしれません。ただし、可能性の話なので事実は全く異なるかもしれないことも言えます。

何故やっていないのに自白してしまうのか

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免田事件でもですが、やっていないことなら自白することはないと考えるかもしれません。密室で数人の人間に何日も行動を制限され、同じことを繰り返し言われ自白を強要されるのです。その場から逃れたい、自分がおかしくなってしまう、または事実は異なるから後に何とかなるなどいくつもの要因が含まれています。

警察という特殊な空間で、拷問や甘い言葉から一転脅迫が繰り返されれば、人間の頭は正常な判断ができなくなってしまいます。免田事件にても、判断能力をおかしくすることで自白に繋がってしまうのです。特別な空間で繰り広がれることは、想像を絶することであることは否めません。

警察は自白させるための手段を選ばない

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脅しには屈しない、頑として筋を通すなどが通用すればですが、相手は犯罪のエキスパートです。免田事件にても警察は一度狙いを定めた相手に対して、自白をさせることに長けています。時に甘い言葉をかけたり、脅したり、または多人数で狭い空間の中で手段を選びません。更には自白がバレてしまったら困るので、一度決めたらとことん自白へと進むのみです。

当然逃げ場はないので、警察の思う壺になってしまうでしょう。最近でこそクリーンなイメージがされていますが、実際は違うことが言えます。クリーンさは一部でのことであり、実際は大きく違うことがほとんどだからです。では主にどんなことが行われているのでしょうか。

自白させる手段①取調べ中に飲食を禁止する

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今でこそ取調室での様子はドラマなどとはかけ離れています。提供される食事は休憩時間がメインで、飲食は限られているからです。カツ丼の提供こそドラマなどの一部で一時期ありましたが、実際にはありません。免田事件ではどうだったかというと、3日間ほとんどの食事は与えられません。

飲食のほとんどに制限がされていて、ほとんど飲まず食わずでした。その中で同じことを繰り返し言われ続けるのです。認めることで楽になるならそれで構わないと思わせるかのように、飲食を禁止することで力は失せていくでしょう。

自白させる手段②殴る蹴るの暴行を加える

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密室に数人の人数で、と紹介しましたが狭い空間であることに間違いありません。ひしめき合うような空間の中で、殴る蹴るなどの暴行が繰り広げられるのです。空腹感で耐えられない中、違うことを話す度に再び行われる暴行が何度もあったのです。免田事件でも密室で殴ったり、殴立ったりなどの行為は連日続きました。更には正座をさせられ身体は硬直して行き、その上でパイプ椅子で殴るなど酷い暴行が続くのです。

自白をさせるために、全く容赦ない行動が繰り広げられます。その部屋でのみ行われることなので、証人は誰もいません。数人の人間が、そんなことはなかった、と平然と答えれば警察側が有利になることは確かでしょう。暴行の跡が見えないようにすることも、警察なら可能です。訓練を受けてきている人間にとって、逆手に取ることは容易なことと言えます。

自白させる手段③暴言を吐いたり脅迫する

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食べていない状況で何が起こるかは、血糖も下がってくることから力だけでなく意識も朦朧とします。免田事件の中、ダメ人間であるかのような暴言や、苦しいなら吐けと脅迫されるのです。しかもそれが一度だけではなく、何十回以上にも渡って行われます。苦しめているのは警察であるにも関わらず、そんなことは頭の隅にもないことでしょう。

恰も自白しないから苦しいようにすり替えるのです。免田事件にて、そんな状態でも必死にアリバイを訴えていましたが、また更に過剰な行動が続きます。どんなに耐えられるという人間がいても、その状況では難しいことは確かです。

自白させる手段④睡眠をとらせず、判断力を低下させる

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奪われていくのはそれだけに止まりません。人間が大切にしないといけない睡眠すら数日にもわたり失われていくのです。弱った身体と心の中、まともな状態を保っていることなどできません。判断力の低下によって通常の考えや発言はできなくなり、場合によっては幻覚や幻聴が聞こえてもおかしくないほどになることは明白です。

免田事件でもその中での自白が信憑性があるとは、到底言えないことではないでしょうか。人間として扱われていないのではないか、そう思うのも事実だからです。事実と異なるという判断より先に見えることは、この場から逃げたいと思うのが普通ではないでしょうか。

免田さんによる手記が出版される

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数ある中で、後のインタビュー内容ではなく免田事件の当時が語られている獄中ノートがあります。数ある中から、2004年に出版された手記は、不当逮捕や再審の流れが記載されているのです。死刑廃止を訴えつつ、細々と暮らしつつ、書かれた内容は全て事実であり、悲しい現実も明かされています。

こちらの自伝はまさに当時を描いているものであり、そこには現実があるのです。免田事件にて自伝では苦しみが描かれています。訴えなければならないことは、全てが作り上げられていたことではないでしょうか。それと同時に、死刑制度のあり方を問うものでもあるのかもしれません。

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死刑判決から一転無罪になった財田川事件

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免田事件と時を同じくした頃に起こった、1950年の強盗殺人事件があります。四大死刑冤罪事件の一つでもある事件ですが、谷口繁義さんと他の1名によって行われたとされていました。もう1名は釈放されたのですが、当時19歳だった谷口さんは過度の拷問による自白の強要から死刑判決が下ります。

アリバイを主張するも認められず、証拠は捏造され、自白のみで行われた裁判は、その後自白のあり方や漢字が書けなかったのにも関わらず書類が作成されていたこと、証拠の捏造や捜査記録の不当な破棄、アリバイが認められたことで34年目にして無実が証明されたのです。その後人生の大半を奪われた谷口さんは病気で他界しています。

免田事件のような自白の強要はあってはならない

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暴行や脅迫、食事や睡眠を与えないことによって得た、死刑判決が妥当なわけはありません。それを行なった警察は、判決の重さや同じことをされた苦しみを味わったことがあるのでしょうか。免田事件は冤罪ですが、警察は苦しみを軽んじているのではないかと言えるほど、強要によっての自白の恐ろしさが露呈されます。

苦しみから逃れるために、ということは簡単ですが、免田事件の当事者にとって感じた苦しみは想像を絶するものだったことは明らかです。更に警察による横行があってはならないことは、言うまでもないのではないでしょうか。免田事件のように、人生を台無しにされてしまったことが繰り返されてはいけません。34年の月日は帰っては来ないのです。無理やり強要された冤罪が再び起こらないことを切に願います。

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