【画像閲覧注意】熊の手の調理方法や食べ方は?
分厚い毛や皮におおわれた熊の手は、他の獣肉に比べ精肉処理だけをとっても大変な時間と労力がかかります。この章では熊の手の調理方法や食べ方について紹介していきます。
見た目がちょっとアレな、処理前の実際の熊の手のちょっとアレな画像も含まれる項なので閲覧には少しだけ注意してください。
熊の手の伝統的な調理方法
熊の手の中国伝統の調理方法はすべての工程で1週間以上かかると言われています。戦前から戦後にかけて活躍したジャーナリストの佐藤垢石も著作の中で、中国の熊の手の食べ方について以下のように記しています。
まず熊掌を温水でよく洗い、次に熱湯で湯がいて表皮を剥ぎ、これを流水にさらすこと三昼夜。かくして磁器のうちに入れ、酒を醋<酢>に和して昼夜間断なく蒸熱すること、少なくとも五昼夜に及ぶ。そこで臭気が全然さり、かつやわらかになったならば骨を抜きとり肉を薄くきり。鶏汁、酒、酢、薑、蒜などを加え、数時間煮燗して最後に塩と醤油で味をつける。
引用:『「たぬき汁」以後』 佐藤垢石
文体が古いので読みにくい点もありますが、食べ方として、煮込み処理をしたり、水にさらしたり、調味料に漬け込んだりといった手順を3日間、5日間繰り返してやっとできあがるのが、熊の手料理だとあります。
熊の手の簡易的な調理法もある
熊の手の食べ方として、処理の第一歩は、まず分厚い毛をきれいさっぱり取り去ること!中国伝統の方法は、その後の煮込み工程で熊の手にじっくり味を含ませ、ふっくら柔らかく煮込むため日数がかかります。
しかし熊の手を普通のジビエ食肉と同じと考え、煮込み以外の食べ方をするなら、中国伝統の方法のように毛の処理をした後、何日間もかけなくとも調理することは十分可能です。
実際に自宅で料理する場合の熊の手の食べ方レシピは、毛の処理だけは丁寧に行って、指ごとに切り分け、油でソテーしてから煮込むといった、簡易な作り方が多いようです。
熊の手は現代風の味付けにも対応している
熊の手の食べ方は、中国風だと中華ダシに醤油のすっきりした味付け、和風なら匂い消しも兼ねて味噌で味付けというイメージも浮かびますが、おしゃれな現代風にワインや香草をたっぷり使った洋風でもOK。
以下のブログの食べ方レシピもその一つ。できあがるまでの熊の手のビジュアルはちょっと閲覧注意ですが、おいしい現代風熊の手料理に興味のある方はぜひご覧ください!(「熊の手」画像あり。閲覧注意)
熊の手の取引を規制する流れも?
熊は過剰な捕獲によって個体数が減少している地域もあるため、ワシントン条約(野生動植物の種の国際取引に関する条約)で生体や部位の取引が国際的に厳しく制限される保護対象です。
しかしながら、現在その制限対象の熊の手の多くが、不正な密輸による闇取引によって、熊の手の一大消費地の中国へ持ち込まれていることが問題になっています。
問題視されている熊の手の闇取引
熊の手の闇取引は、主にロシアから中国へ運び込まれることが多く、特に熊の手の需要が増える中国の春節(旧正月)のお祝いの時期が近付くと密猟・密輸業者の動きが活発になると言います。
これらはロシア当局によってしばしば摘発の対象になり、2018年には漢方薬の原料になる虎や鹿の部位と「熊の手867本」を密輸しようとした中国人が逮捕され、翌年に有罪判決を受けました
中国国内でも、最高有期懲役10年の厳しい罰則を設けた「野生動物保護法」で保護対象動物の食用目的の違法購入を禁じていますが、残念ながら密輸団とのいたちごっこが続いています。
日本でも熊は自然保護の対象!市場に出回ることはない
日本においては、熊の手の需要はごく一部に限られ、海外からの密輸・闇取引が表立って大きな問題になることは、幸いにもいまのところありません。
また、日本国内でも熊の捕獲は鳥獣保護法によって制限され、近年は有害獣であっても非捕獲の保護対策が取られることもあります。
よって国内の熊の手の流通数も今よりもっと少なくなるかもしれません。いまでも十分希少な熊の手ですが、今後も値段は上がることはあっても下がることはまずありません。