また、日本国内でも熊の捕獲は鳥獣保護法によって制限され、近年は有害獣であっても非捕獲の保護対策が取られることもあります。
よって国内の熊の手の流通数も今よりもっと少なくなるかもしれません。いまでも十分希少な熊の手ですが、今後も値段は上がることはあっても下がることはまずありません。
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熊の手は使っていない?四川料理の「熊掌豆腐」
熊の手の煮込みは「紅焼熊掌」として中国の高級料理のメニューですが、同じ中国は四川料理の中に「熊掌」の文字を使った「熊掌豆腐」という料理があります。
熊の手と豆腐を使った料理なのかな?と思いきや、こちらは見た目が熊の手に似ている?ということから名付けられたという「熊の手」一切不使用の、中国家庭料理の定番です。
ご家庭でも簡単に作れるので、ぜひお試しを。熊の手気分を味わえるかも知れません!
「熊掌豆腐」の材料とワンポイントアドバイス
材料 (4人分)
厚揚げ400g
葉ニンニク100g
豚肉200g
サラダ油大さじ2〜3
鶏ガラスープ 200cc
酒小さじ2
醤油小さじ1
豆板醤 大さじ2
一味唐辛子または粉唐辛子小さじ1
片栗粉 大さじ1引用:クックパッド
お豆腐は木綿豆腐を薄く切って素揚げにして使っても良いですが、お手軽に厚揚げを使ってしまうのがおすすめ!葉ニンニクの代わりに万能ねぎとニンニクを使ってもOKです。
辛さが特徴の四川料理ですが、辛いのが苦手な方は、唐辛子はお好みの量で調節して煮込みましょう。
美味しい作り方
葉ニンニクは5㎝、豚肉は食べやすい大きさにそれぞれ切り、油を引いたお鍋に入れて強火で炒めます。
あらかた火が通ったら、さいの目に切った厚揚げを加えて、鶏がらスープと調味料を入れ、中火で煮込みにすれば完成です。
熊の手以外にも!①熊の胆は漢方薬の原料
熊は珍味の熊肉や熊の手だけでなく、内臓の胆嚢(たんのう)が漢方薬の「熊胆(くまのい・ゆうたん)」として古くから利用されてきました。
お腹の調子が悪くなったときの心強い味方!富山の薬売りでも有名な漢方生薬「熊の胆」の歴史や効能についてご紹介します。
漢方薬「熊胆」として消化器系の万能薬とされた
熊胆は漢方薬として中国で古くから使われており、日本に伝わったのは飛鳥時代とも遣唐使の奈良時代とも言われています。熊を神聖視する北海道のアイヌ民族でも伝統的な薬として用いられていました。
貴重な漢方の生薬として東大寺の正倉院にも当時の物が残っている熊胆は、江戸時代になると胃腸など消化器系の薬として庶民の間にも広まりました
現在も熊胆という名前で家庭薬として広く使われていますが、熊胆も熊の保護のため国際取引が厳しく規制されているため、替わりに牛の胆汁を用いた牛胆も多く使われています。
現在は解明された主成分が代替薬となっている
大きなヒグマでも一頭から200g程度しか採取できない貴重な漢方薬だった熊胆は、1927年(昭和2年)に主成分が特定され「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」と名付けられます。
UDCAを化学的に合成し薬剤にする技術は戦後になってようやく完成し、現在はこちらも世界中の人々を助ける薬として広く使われるようになっています。
熊の手以外にも!②世界でゲテモノと言われている珍味!
世界的にはゲテモノ扱いされることもある熊の手ですが、世の中にはまだまだ知られていないゲテモノがいろいろあります。
世界の人はこんなものを食べている?こんな食べ方がある?という食文化の違いも見えてくる、世界の珍味を紹介していきましょう。
熊の手以外のゲテモノ料理①韓国の犬肉
犬の食用は、古くは世界中にあった食文化の1つです。廃れてしまった国や地域が多いですが、犬肉食を食文化として残している国の1つが韓国で、日本でも一部の韓国料理店で提供しているところがあります。
犬肉の煮込み「ポシンタン(補身湯)」は精がつく料理として知られていますが、食べた人の感想は、美味しかったという人もいれば、筋っぽい、犬臭い(?)、羊に似ている、鶏っぽいなどさまざま。
欧米圏からは特に批判的にみられており、韓国国内でも文化として残すか賛否が分かれていますが、「かわいいワンちゃんを食べるなんて!」という感情的な側面も大きいと思われるゲテモノ料理です。
熊の手以外のゲテモノ料理②ベトナムの料理ホビロン
アヒルの卵を料理したベトナムのホビロン。滋養強壮に良いという触れ込みですが、ただの白身と黄身ではなく、卵の中で成長途中で孵化前の雛鳥を食べるという、まさにゲテモノです。
食べ方は孵化に向けて成長中の卵を茹で、穴をあけ汁を吸い中身を食べるというだけ。フィリピンではバロット 、カンボジアではポンティアコーンと言われる東南アジアではメジャーな料理です。
肝心の味は、孵化直前ならまだ柔らかい骨やくちばしがサクサクする鶏肉、産み落とされて間もないものは卵黄の味が濃い塊と言われています。勇気のある方はぜひチャレンジしてみてください。
ゲテモノぶりではではこちらも負けていない、精神的な気持ち悪さとおいしさの奇跡の融合「カースマルツゥ」についての記事もご覧ください!
熊の手以外のゲテモノ料理③タイの料理カイモッデーン
イナゴやザサムシなど日本にも一部地域である昆虫食は東南アジアではよく見られる食文化。タイのカイモッデーンは赤アリ(ツムギアリ)の卵のことで、意外に高級な食材としていろいろな料理に使われます。
食べ方はオムレツやスープに入れたり、サラダにしたりとアレンジ自由。アリ自体が7~12mmと比較的大きめサイズなので卵もプチプチという食感が分かるくらいには食べごたえ、かみごたえあり。
日本でもエスニック食材を扱うお店で冷凍の物が入手できることがあるそうなので見かけたら購入してみては?ちなみに、そもそもこのアリ(親アリ)さん自体もタイでは食用です
熊の手以外のゲテモノ料理④日本のクジラ肉
日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、商業捕鯨を再開したことで話題のクジラ肉。古くからいろいろな食べ方で日本人に親しまれ、世界各地にもクジラ食文化はみられます。
アメリカやオーストラリアを中心に「気持ち悪いか?」「おいしいかまずいか?」というゲテモノ視点ではなく、クジラの頭数保護や倫理の面で食べることが激しく批判されている食材です。
味はクジラの種類や食べ方、調理方法でも変わりますが、れっきとした哺乳類なので獣肉に近い味わい。食糧難の時代に日本を支えた貴重な食材で、今後は食べる機会が増えるかもしれません。
2019年7月1日からの商業捕鯨再開で捕獲されるクジラの一種「イワシクジラ」についてはこちらの記事もご覧ください!
熊の手以外にも!③問題視される動物の闇取引
生物の闇取引が問題になっているのは熊だけではありません。世界中でさまざまな生き物が密猟や密輸の餌食となり、一部の人間の金儲けのために犠牲になっています。
今回のテーマの熊(熊の手)のほかに、どんな生き物が闇取引の被害に合っているのかを紹介していきます。
熊の手以外の闇取引①トトアバの浮き袋
「トトアバ」はスズキの仲間の最大2mにもなる大型魚で、現在は絶滅が危惧されています。闇取引される理由は、中国ではトトアバの浮き袋が漢方薬や高級スープの具材に使われるため。
中国から遠く離れたメキシコのカリフォルニア湾で密漁が多発。麻薬よりも高価な「海のコカイン」とも言われ、2019年には約130億円相当を中国へ密輸しようとしたメキシコ人や中国マフィアが起訴されています。
熊の手以外の闇取引②センザンコウ
センザンコウは全身をウロコで覆われた哺乳類。絶滅危惧種に指定されていますが肉は食用に、固いウロコは腫れ物やリウマチなどに効く漢方薬され、アジアやアフリカ各地で密猟・密輸の被害にあっている動物です。
2019年4月にはシンガポールでウロコ28t(38,000匹相当)が一度に摘発されるなどいまも乱獲され、過去の摘発・押収数から見ても「いまもなお5分に一匹が捕獲されている」とも言われているそうです。
漢方薬としての薬効は科学的には未詳な部分も多く、日本国内では使用されていません。
熊の手以外の闇取引③サイの角
サイの角は解熱や解毒に効果のある漢方薬「犀角」として古くから用いられてきましたが、サイの個体数減少のためワシントン条約で取引が厳しく規制されるようになりました。
その結果、密猟や密輸が横行し闇価格も高騰、金の倍以上の価格が付くこともあります。また価格が高いことが理由で、富裕層が富の象徴として置物や飾り物として密かに求めるケースも増えています。
犀角も熊胆と同じく国際取引禁止品なので、漢方薬としては日本では使われておらず、医薬品としては水牛の角(水牛角)が替わりに使われています。
熊の手以外の闇取引④ミズオオトカゲ
体長が2mを超えることもあるミズオオトカゲは、皮がバッグや皮革製品の材料となる大型爬虫類。皮革製品としての利用だけでなく、身の脂肪分が薬になると信じられている地域もあるといいます。
国際的に取引が禁止されているわけではありませんが、正規に報告された生体捕獲数より、皮革として取引される数の方がはるかに多いと言われ、実際は多くの個体が密猟で捕獲されていると言われています。
こうしたエキゾチックアニマルはペットとして日本でも人気で、密輸によって運ばれた生体を販売するペットショップがしばしば摘発されて問題になっています。
クマ牧場へ「熊の手」を見に行こう!
生きた熊の手は、北海道のヒグマの雄で幅15cm以上、ブンッと手を振るった時のパンチ力が数トンで、鋭い爪もあるため、クリーンヒットで殴られたら一巻の終わり。
そんな怖い熊さんも、切り落とされたあとの食材の熊の手はちょっとグロいですが、クマ牧場でエサをねだって手をフリフリしているのはかわいいものです。
記事の最後に、日本にいくつかある施設の中から、熊さん、そして熊の手がよく観察できるおすすめスポットをいくつかご紹介します。かわいいクマ画像でリフレッシュしてください!
のぼりべつクマ牧場【北海道】
日本で最初にできたクマ牧場で、エゾヒグマを中心に成獣から子グマまで多数の熊が飼育されています。アクセスは登別温泉街から高速ゴンドラ(ロープウェイ)に乗り、高低差300m、全長1260mを約7分で到着。
売店でクマ用おやつを買ってエサやり体験も可能。例年もっともおねだりの上手だったメス熊を「NKB総選挙」でセンタークマに選ぶなど遊び心もいっぱいのクマ牧場です。
- 住所:北海道登別市登別温泉町224
- 電話: 0143-84-2225
- 入園料:大人¥2,600/小人¥1,300(ロープウェイ料金含む)
- 施設HP:のぼりべつクマ牧場
奥飛騨クマ牧場【岐阜県】
岐阜県の奥飛騨クマ牧場は、ヒグマやツキノワグマにも会えるクマのテーマパーク。エサ(おやつ)やり体験もありで、かわいいクマのおねだりポーズが見られます。
またツキノワグマの赤ちゃんを抱っこして記念撮影もできるので、ぜひちっちゃな熊の手を目の前で観察してみてはいかがでしょうか?(開催日・時間は要確認)
- 住所:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根2535
- 電話:0578-89-2761
- 入園料:大人¥1,100円/小人¥660
- 施設HP:奥飛騨クマ牧場
阿蘇カドリー・ドミニオン【熊本県】
阿蘇カドリー・ドミニオンはクマをメインにした動物テーマパーク。熊エリアのベアバレーにはツキノワグマやヒグマ、グリズリーなど合わせて約160頭のクマが飼育されています。
クマ舎を上から観察できるガラス張りの橋はスリル満点!もちろんおやつやり体験も可能、九州では唯一の赤ちゃんクマとのふれあい写真撮影もできます。(開催日・時間は要確認)
- 住所:熊本県阿蘇市黒川2163
- 電話:0967-34-2020
- 入園料:大人¥2,400/子供¥1,300/幼児¥700
- 施設HP:阿蘇カドリー・ドミニオン
クマ牧場ではかわいい姿を見せていても自然では凶暴な牙をむく熊。かつて日本で発生した史上最悪の熊害(ゆうがい)「三毛別羆事件」についての記事もご覧ください。
熊の手は希少!食べられなくなる日は近いかも?
日本ではほとんど知られていない「熊の手」についてご紹介しました。素材としての見た目はちょっとグロイですが、高級料理で珍味となると「食べてみたい」と興味がわきますね。
しかし熊の手は、もとになる熊の保護の問題もあり、今以上食べる機会が増えたり、手に入れやすくなるということはありえません。もちろん熊肉についても同じことです。
熊の手を食べる機会があったときは、熊の生命を頂いているのだということをしっかり噛みしめながらじっくりとその味を楽しみましょう。きっとよりおいしくいただけるに違いありません!
世界のゲテモノ珍味の1つ「カースマルツゥ」についての記事はこちら
「イワシクジラ」の生態や料理についての記事はこちら。
日本史上最悪の熊害、恐怖の「三毛別羆事件」についての記事はこちら。