活き締めをすべき理由を徹底解説!
鮮度の持ちがよくなる
魚は死ぬと、「絶命、死後硬直、熟成、腐敗」という過程を経る事になります。自然死・悶絶死の場合は、魚の絶命後、即座に死後硬直が始まります。これに対し、活〆をした時は、絶命後、死後硬直が始まるまでの時間をかなり遅くする事ができます。これにより、鮮度の持ちがよくなるのです。
魚は新鮮なものよりも、熟成されているものの方が、科学的には美味しいと言われています。したがって、活〆をした場合は、死後硬直が遅くなるため、翌日以降が食べ頃となります。逆に、釣って持ち帰った当日に食べる場合等、敢えて〆ない方がよい場合もあります。
ATPが減る事を防止する
魚の体内にはATPという物質があります。これは、運動や生命維持に使われる成分ですが、旨味成分の素でもあります。このATPが、魚の死んだ後に分解され、イノシン酸に変わる事で、旨味が出るのです。そうすると、ATPは減らない方がよいという事になりますね。
魚が暴れたり、ストレスを感じたりするとATPは減ってしまいます。例えば、網で捕獲した魚だと、網の中でバタバタして暴れたり、ストレスを受けたりするので、ATPが減ってしまうのです。そこで、ATPが減る前に処理する事で、旨味成分が消費されるのを防止します。
活き締めの種類
主な手法を4つ紹介します
大きく分けると、氷締め、ナイフ・ハサミ締め、鯖折り、神経締めの4つの手法があります。魚の種類や大小の違いにより適切な手法が異なってきます。各々の手法やコツを順番に見ていきましょう。
氷締めは小さな魚向けの活き締め
氷締めの手順
上記の手法の中では最も容易とされており、不慣れな人でもやりやすい手法です。サビキで釣れるようなアジやイワシなどの比較的小さな魚は、1匹ずつ処理していくと手間がかかり大変なので、氷で〆る手法がオススメです。
やり方としては、まず沢山の氷を入れたクーラーBOXの中に、バケツで汲み上げた海水を入れます。そして、釣り上げた魚を即座にクーラーBOXの中に入れるようにしていきます。小さい魚であれば氷水の中に入れただけで死にます。
氷で〆た魚を持ち帰る時
持ち帰る時はクーラーBOXの水抜き栓から水を抜きます。クーラーBOXの中に残った氷と魚が直接触れないよう、大きな氷は新聞紙やタオル等で包み、魚はビニール袋に入れます。クーラーBOXの上ぶたと水抜き栓がしっかり閉まっていることを確認して持ち帰りましょう。
中型以上の魚の活き締めはナイフ・ハサミで
脊髄を切り込んで断つ
ナイフ・ハサミ締めは、脊髄を断つ事で〆る手法です。側線と鰓ぶたの延長線が交差する所を狙います。〆た後は血を抜く処理をするのが望ましいです。これをしていないと、味が悪くなってしまうからです。
ナイフによるやり方
鰓ぶたから刃を入れて鰓の中から、太い血管と脊髄を断ちます。この時、魚が暴れるので注意が必要です。魚がけいれんを起こし、血が大量に出ると成功です。絶命した瞬間には、口が開いたような感じになります。
必須というわけではないですが、しっぽの方にも切り込みを入れておくと、その後の血を抜く処理がしやすくなります。痛むのが早い鯖や鰹等の青物は、一緒に鰓も取り除いておくのが良いでしょう。
ハサミによるやり方
ナイフによるやり方とほぼ同じ要領でやっていきます。鰓ぶたに刃を差し込み、鰓のつけ根部分を切ります。そして、刃を更に奥へ差し込み、脊髄を断ち切ります。断ち切る事ができたら、しっぽのつけ根部分も切り込みを入れます。
活き締めのやり方を動画でチェック!
魚しめ包丁によるやり方
この動画では、スポンジの上に魚を置き、鰓ぶたからグッと刃を入れて脊髄を断ち切っています。魚しめ包丁を使っていますが、道具が変わっても切断する位置は変わらないので、参考になると思います。
鯖(サバ)等を釣った時は鯖折りで
鯖折りは道具不要でその場でできる
鯖折りは、主に鯖を釣った時にするもので、魚の首を折って同時に血を抜く手法です。道具が必要ないというメリットがありますが、首を折る時に身に圧をかけてしまい身割れする時があるので、扱いには注意が必要です。
鯖折りのやり方
鯖の両側の鰓に人指し指と中指を1本ずつ入れ、もう片方の手も同じように鰓に指を入れていきます。そして、首を折るように、背中側にグイっと折り曲げます。そうすると、背骨の辺りから血が出てくるので、即座に海水や海水氷で血を抜いていきます。
鯖折りのやり方を動画でチェック!
鯖折りのやり方と血抜きについて説明されている動画です。この動画によると、親指を支点にすると折りやすいそうです。首を折った後、即座に血を抜いています。血が固まる前に頭を下にして水につけるのがポイントです。