ASDの気はあるもののそれによって責任能力を欠いていたわけではないという結論となり、寝屋川事件裁判ではASDによる減刑などは認められませんでした。
鑑別所とは?
寝屋川事件犯人・山田浩二が度々入れられた施設としてその名前が出てきましたのでさっと解説をさせていただきます。
前項で、鑑別所という聞きなれない正式な名前は少年鑑別所と言われ罪を犯した少年を収容、観察するのが主な役割の施設です。
更生の道筋を探す
生活の様子の観察や心理テストや健康診断による肉体的、精神的等あらゆる面から何故この少年は犯罪を起こしたのかを探るのがこの施設の主な役割です。
それを元に更生の為の指導プログラムを組んだりそもそも裁判を起こす必要があるのかどうかを考えます。まさにその名の通り「鑑別」をする場所なのです。
少年院と何が違うの?
ここまで聞いてそれって少年院では?と思った方も多いでしょう。この鑑別所という施設は罪を犯した少年が少年院の前に入る施設だと思ってください。
順番的には鑑別所→少年審判→少年院といった感じです。しかし、鑑別所の資料を基に行われた審判で再指導の必要はないと判断されれば少年院には送られない、いわば保護観察という状態になります。
寝屋川事件犯人・山田浩二死刑囚の現在
現在は死刑の執行を待つ身となっている寝屋川事件犯人の山田浩二。今現在、山田浩二はどのような心持で日々を過ごしているのでしょうか。公開された手記の内容なども交えながらご紹介します。
2019年現在は49歳、大阪拘置所で服役中
2018年以降、山田浩二との面会を行った人物の話によると寝屋川事件前に書いた山田浩二の手記にある罪の意識の無さや犯罪癖は治らないかもという悪びれた様子の無い様子からは一転した様子だったといいます。
お祈りの本を読んでいたり罪と向き合い考えているという姿勢の山田浩二。罪の意識を持っているように思えるような行動ですが、前歴や行いからどうにも疑わしさがあります。
黙秘
死刑が決まってなお黙秘を続けている山田浩二。現在も黙秘を続けており寝屋川事件の真相解明に進展はありません。
この点に関しては「後ろめたいから黙秘をしているわけではない」となにやら含みのある言い方をしています。
何故黙秘を続けているのか、誰かの入れ知恵なのか、寝屋川事件の真相が語られる日は来るのでしょうか。
2019年山田浩二の「獄中手記」が『創』に掲載
この手記は様々な面で注目を集めました。寝屋川事件の犯人というだけでも注目度が高いのにさらに死刑執行に向かう囚人の様子なども生々しく描かれており死刑廃止を訴える世論にも影響を与えました。
ここではその手記の内容もかいつまんでご紹介させていただきます。全文を読みたい方はリンクを貼らせていただきますのでそちらもご参照ください。
裁判に向かう緊張
手記の初めには裁判前夜の緊張や、バッシングやヤジ、襲撃の恐怖がありありと綴られています。ここまでだけでも普通の人ならばまずまず体験することは無い、というより体験したくない内容です。
また、この手記には死刑判決が下った時の心情も書かれており黙秘を貫く山田浩二の心情が窺い知れる数少ない媒体の1つとなっています。
他人事のような感覚
死刑が言い渡された時、まるで自分の事とは思えず自分よりも悔しがっていたのが弁護士だったのが印象的だったと書かれておりました。
実感がわいたのが拘置所に戻った時だそうです。絶望感がのしかかり何も考えられなくなったと書かれており、この時にトラブルが起き控訴を取り下げてしまったという流れは至極当然のようにも思えます。
別の死刑囚の死刑執行
判決が言い渡されて幾日といったとき、同じフロアにいた囚人2人の死刑が執行され、その時の様子がありありと描かれています。
朝早く面会だと言って連れていかれた囚人たち。3時間程経っても戻らずに、代わりにその囚人らの私物を処分するための台車が囚人の部屋の前に止まっていたといいます。
そこでその囚人らが死刑執行されたことに気付き、嘘により連れ出された事実を知ります。
死刑制度の実態
この事実は広く周知されるべきとこの手記を公開したメディアは語っています。死刑制度に関しては国民の8割が賛同している実情ですが、このような嘘で連れ出す等という現状もあるわけです。
死刑場に向かう道中暴れるという死刑囚の話はよく聞きます。これを避けるために嘘をついたという可能性もあります。
それほどの罪を犯したのだから仕方ない、暴れずに甘んじて受けるべきという世論は最もだとは思いますがこの実態についてはもっと広く周知されるべきかもしれません。
獄中での取り組み
手記の最後は獄中で生活する囚人たちによる新たな活動についてで締めくくられています。それは囚人らの意図や本心を捻じ曲げるような報道やネットのデマに物申すといったものでした。
昨今は囚人達だけではなく様々な人、様々な面でこの過剰報道やデマによる弊害が見え隠れしています。この活動がどうなっていくか、今後気になるところです。
自ら死刑を受け入れた死刑囚たち
寝屋川事件が世間の注目を浴びた理由が、その残虐性もさることながら死刑確定後の控訴を自身の意思で取り下げ死刑を自ら受け入れたところにもあります。
そして、日本には寝屋川事件同様に控訴を取り下げ死刑を自ら受け入れた事件が他にも存在します。ここではそんな事件と死刑囚を紹介します。