暗器とは
皆さんは剣や銃、兵器といった武器・ウェポンは好きですか?現実に存在している物から、漫画・アニメ・ゲームと言った空想の物まで、この世界には無数の種類が存在しています。
そのデザインや形状、効果や仕組み、威力などの特徴であったり個性はそれぞれでありますが、今回の記事でクローズアップする武器・ウェポンは、現実に実際に存在している一風変わっているのです。
それは『暗器』と呼ばれる物なのですが、どういったものなのか理解していただくためにも、まずは概要を簡単に解説していきます。
暗器は隠し武器の総称
まずはその名前の由来・意味から解説します。『暗器』はいわゆる『隠し武器』の総称なのです。とはいってもFF・ドラクエといったRPGなどのゲームで、入手困難でレアなアイテムのことではありません。
冒頭でもお話しした通り、現実世界に存在していて、主に相手の警戒を解いて不意に仕留める『暗殺』の場面において、ターゲットやあいてに所持していることを悟られないようにするため。
そのために何か擬態していたり、何かに包まれていて、危険を感じさせる凶器の部分が見えなくなっていている武器・ウェポンのことなのです。
暗器は古代から現代まで使用されている
古代では、お馴染みの日本の『忍者』や『侍』世界は『レジスタンス』など色々なシーンで使用していました。
現代で言えば、一般市民に扮しているような『ゲリラ』『パルチザン』『スパイ』などが使用しております。
当然、『暗器』は人が人を傷つけるための用途で使われますので『戦争』『紛争』が現代でも続いているという事ですので、感慨深いものがあります。
暗器の種類①仕込み杖・ソード・ステッキ
始めにクローズアップする記念すべき第1番の暗器は、その名前からも容易に想像がつきそうな『刃物』タイプのウェポンになります。早速どのような仕組みなのか分かり易くお話ししていきます。
仕込み杖は杖の中に刀剣が仕込まれている
まずほぼ日本語か、英語かの違いなので、仕組みや形などはほぼ一緒です。どちらも足が不自由な人、お年寄り、年配の方が持っていたら凶器どころから危険性を一切感じさせない『杖』
しかしその一見ただの棒状に見える『杖』の中には、研ぎ師たちが入念に鋭く研いだ切れ味抜群の刃物である『刀』が隠されているのです。
仕込み杖は古来から護身用として使われてきた
この武器・ウェポンは、忍者やゲリラ、スパイと言った人が、静かに悟られないように仕留める『暗殺』の場面で用いられるよりも、万が一の場合に備えて、自分の身を守るために用いられてきました。
傍から見たら『杖』を使っているわけですから、足腰が弱そうに見えたり、年寄と見て、悪事を働く上で最適なターゲットとして見られやすいわけですから理に適っていると言えます。
日本では徳川・江戸幕府でお馴染みの江戸時代より、つまり2019年(令和元年)現在から約300年前近くから使用されてきて、西洋の文化ではそのままの英語ですが『ソード・ステッキ』として使用されてきました。
時代劇「座頭市」でも登場
日本でポピュラーな、目が見えないのにも関わらず、圧倒的な剣聖で力がすさまじい1人の剣豪・侍を描く時代劇・映画の『座頭市』
お笑い芸人であり超大物として知られる『ビートたけし』が主人公を演じたことでも有名ですが、そんな作品では、メインウェポンクラスとして登場しているのです。
興味のある方は一度DVDなどをレンタルして視聴してみてはいかがでしょうか?
暗器の種類②グピティー・アガー
2つ目にピックアップするこの暗器はその聞きなれない横文字からも、どういった形状、仕組みの武器・ウェポンなのかあまり想像つきません。
果たしてどんなものなのか?分かり易く解説していきます。
グピティー・アガーはインドの仕込み刀
前述して一番初めにピックアップした、お年寄り、足腰が弱く不自由な方、ご年配がよく使用する『杖』に扮して、隠れている『刀』とほぼ同じ仕組みとなっています。
仕組みや用途もほぼ変わりませんが、こちらは日本、世界で使用されているのではなく、タージマハルで有名な『インド』限定なのです。
グピティー・アガー王族の護身用暗器
その聞きなれない名前も『インド』で使われていたものだからという理由であれば、納得できるはずです。
その名前の由来は『ダガー』という他の刃物からの語源ではなく、古来のインドで勢力を伸ばしていた『とある王族』たちの名称がそのままなぞらえて由来となっているのです。
前述の通り、仕組みや用途は『仕込み杖』とほぼ一緒で、王族という言葉からも連想できるように、こちらも『暗殺』などの危険から自分を守るために使用される場合がほとんどなのです。
暗器の種類③袖箭
3つ目にご紹介するこちらの『暗器』はこれまでピックアップした上記の2つのものとは、打って変わって何かに擬態している扮しているわけではないのです。
では一体どのような武器・ウェポンであるのか、分かり易くお話ししていきます。
袖箭は袖の中に隠して矢を放つ中国の暗器
名前に漢字が使われている点に注目すれば、どこの国のモノであるかある程度絞れるはずですが、こちらは『何千年の歴史』という言葉があるように、歴史が古いお隣『中国』が発祥となっています。
その見た目は、まんま『アロー』『矢』であり人を傷つける武器・ウェポンであると、すぐに危ないと察知できる凶器なのです。
ですが小型の筒状になっているので、古来の中国の人たちが来ていた衣類の袖に仕込ませておくことができるのです。
袖箭は三国志の時代から使われ進化を重ねる
今から約1800年前の3世紀、三つ巴の国々が血を流し策略を練って群雄割拠を目指した『三国志』の時代から既に使用されており、そこから現代にかけて何度も改良されて『進化』を重ねてきました。
その進化を経て、初めは一発ごとにしか発射できませんでしたが、段々と改良されて『連射』できるまでになったのです。
筒の中に仕込まれているその『矢』は鋭利なだけではなく、重量のあるので、その威力はすさまじく、それを勢いよく飛ばすのは『火薬』ではなく、もっと原始的な『ばね』の力だというから驚いてしまいます。
暗器の種類④枕槍・忍び槍
4つ目にピックアップするこちらの暗器は、何か扮している擬態しているタイプのモノではなく、剥き出し状態だと武器・ウェポンそのものとなっています。
どのように相手に悟られないように『隠しておける』のか、その仕組み・機能について迫っていきます。
枕槍は武士の護身用暗器
こちらの4つ目の武器・ウェポンも名前から、日本、中国といった国で使われてきたことが分かります。
パッと見ただけで、危険を感じさせるただの槍なのですが、一般的なモノよりも小さく、部屋の中、物置、引き出しの中など、隅々にしまえて隠しておけるのです。
古来より刀を所持して『戦』で戦い抜いてきた『武士』たちが、その戦ではなく日常的な暮らしの中で襲われたときの万が一の場合に、自分や家族などを守るために使用されてきました。
忍び槍は時代劇にもたびたび登場
日本では現代でもデジタル放送になった今も、様々な時代背景を人情味あふれるドラマとして描いた『時代劇』が放送されていますが、そんな時代劇にもしばしば登場しています。
そのため見たことある知っているという方も少なからずいる事でしょう。実際に見てみたい方は、江戸時代を描いた『時代劇』をチェックして視聴してみるのも良いかもしれません。
暗器の種類⑤忍び杖
こちらでクローズアップする5つ目の暗器も、一番初めにご紹介したモノと同様に我が国『日本』で古くから用いられており、またパッと見るとごく普通の『杖』に見えることも同じです。
ですがこちらの武器・ウェポンはただの棒ではなく、相手を苦しめる、傷つけるための様々な『技』を隠し持っているのです。果たしてそれは一体どういうことなのでしょうか?
忍び杖は忍者が使用した仕掛け杖
5つ目に取り上げた武器・ウェポンは、ザ・ジャパニーズで世界的に有名な暗殺を得意とする『忍者』が主に使っていました。ただの棒状に見えますが、実は驚くことに5つの隠し機能を備えた優れモノなのです。
5つの隠し機能は『手裏剣を発射』『刃物』『先端に鉛』『先端に鎖』『目を見えなくする薬品』となっています。詳しい詳細、仕組みについては、この後、掘り下げて解説していきます。
忍び杖の仕掛け①先端の鉛
これがどのような効果を生むか皆さんは想像つきますか?鉛とはいっても鉄砲玉ではなく、発射されるわけではありません。鉛とは古来より『重石』として用いられることが多いのです。
つまり小さいけど重量を生む、質量が大きい物体であり、それを棒の片方の一番先に取り付けて、パワーを底上げする働きがあるのです。
重さを大きくするとパワーも比例して大きくなるので、仕組みは単純明快で原始的ではありますが非常に理にかなっていると言えるのではないでしょうか?
忍び杖の仕掛け②鎖
こちらの棒状の一番先、先端に取り付けられています。『鎖』つまりチェーンが付いており、単純に鞭のように相手を傷つけるためでも使います。
更にそのチェーンを相手の四肢、首に括りつけて動きを封じ込めることもできるのです。
忍び杖の仕掛け③刀身
棒状の先の方には、鋭利な数センチメートルの刃物が取り付けられており、鈍器としてではなく、斬りつける攻撃方法も可能なのです。
忍び杖の仕掛け④手裏剣
前述で解説した、パワーを底上げするための重しにする『鉛』が取り付けられた反対の先に、忍者の代表的な飛び道具で、世界的に認知されている『手裏剣』が仕込まれています。
どのように投げるかイメージ付きますか?棒状のものを上から下に勢いよく振りかざして投げるそうですが、コントロールするのが困難なはずですが、やはり変幻自在の忍者の巧みな『術』が可能にするのでしょう。
忍び杖の仕掛け⑤目つぶし薬
先ほど解説した棒状の先端に取り付けられた鎖型のチェーンは、2つの役割があり、1つが相手の四肢、首などに括りつけて相手の動きを封じ込めるといった働きがあります。
そんな役割と似たり寄ったりで、相手の動きを封じ込め鈍くさせるために、相手の視覚を奪う目を潰す劇薬も備わっています。
そんな劇薬を浴びたら視覚が奪われるだけではなく、きっと強烈な痛みにも苦しめられることでしょう。この暗器を持った伝説の『忍者』とは、できる事なら一生出くわしたくないものです。
暗器の種類⑥隠しナイフ
RPGやアドベンチャーなどのゲームに出てきそうな名前の6つ目の暗器ですが、こちらは何か隠れていたり、擬態しているタイプではなく、小さくコンパクトなタイプの武器・ウェポンとなっています。
どんな国でどんな時代でどのように使われたのかなど、その概要について分かり易くお話ししていきます。
隠しナイフは便利な小型ナイフ
これまでご紹介してきたモノは遥か昔、古来に生まれて使用されてきた武器・ウェポンでしたが、こちらはかなり最近に生まれて使われてきました。
日本では昭和初期。世界は1930年代から40年年代半ばまでに及んだ『第二次世界大戦』のさなかに、対立する敵国に侵入して情報を奪い、任務を遂行する諜報員が所持していました。
その全長は学生たちが勉学で使用する『定規』と同じくらいのサイズであり、非常に小さいため、身体の至る場所に隠し持っておくことが可能なのです。
隠しナイフにはさまざまな種類がある
テープなどで粘着させやすくするために平らになっていて、斬りつけるというより、突き刺すタイプの『フリスク』全長10センチメートル未満で、威力は小さいけどあらゆる場所に忍ばせられる『ラペル』
乗用車などのタイヤに穴を開けるための爪を兼ね備えた折り畳み式の『サポタージュ』など。様々なシーンに合わせた色々なタイプのものが存在しています。
特に諜報活動が盛んであった『英国』では主流武器・ウェポンとなっていました。
暗器の種類⑦バグ・ナク
7つ目にピックアップする一度は手で触ってみたい『暗器』は、何かに擬態していたり、扮していたりするわけではなく、いわゆる小さくコンパクトな『小型タイプ』の武器・ウェポンになります。
具体的にどういったモノであるか詳しく見ていきましょう。
バグ・ナクはインドで「虎の爪」を表す暗器
またも聞き慣れないカタカナ、横文字の名称の暗器でありますが、先ほど2つ目にご紹介した『アガー』と同様に『インド』で生まれた武器・ウェポンなのです。
その名称の由来は虎の爪、英語にすれば『タイガーファング』であり、その名称からもある程度どんな形状のモノか想像つきそうです。
簡単に説明すると現代でも見かける『メリケンサック』のようなモノで、まさに獰猛な獣の爪のような形をした『金属の爪』が付いているのです。
バグ・ナクは小型のため暗殺向き
ポケットに入るくらいコンパクトで小さいため、インドで悪事を働いていた『盗賊』たちや秘密裏に『殺し』を働く『暗殺者』たちがよく使用していました。
これにもっと鋭利な刃物が取り付けられたタイプも『進化系』として存在しています。
暗器の種類⑧角指
8つ目にご紹介するこちらの『暗器』は、先ほどご紹介した7つ目のモノと同様に、拳、指にはめ込むタイプ、つまり『メリケンサック』の類に含まれます。
漢字が使われているということで、こちらは我が国『日本』で生まれて使われてきました。
色々な呼び方、通称があることも覚えておいてください。では実際にどんな形でどんな仕組みなのか?どんな用途で使われたのか、クローズアップしていきます。
角指は鉄製の輪に棘をつけたもの
『メリケンサック』の類といっても、大きく異なることが2つあります。1つはその大きさが遥かに小さいという事。そしてもう1つは拳全体につけるものではなく、指一本につけるという事です。
鉄でできたまさしく『指輪』に痛々しくとげとげしい『棘』が3つほど付いております。
これを取り付けられた拳で勢いよくパンチされたら、激痛は逃れられないでしょう。
角指は忍者の武器や女性の護身用として使われた
指輪サイズという事で非常に小さいため、まさかそんなところにといった不意を突ける場所に隠し持っておくことが可能であり、装備していたとしても相手に気づかれることがない場合があるようです。
日本のシノビ、忍者は獲物を悟られないように仕留める『暗殺』の時に、か弱い女性、子供は自分の身を守るための『護身用』として使用されました。
暗器の種類⑨峨眉刺
9つ目にピックアップする『暗器』は読み方が非常に難しく『がびし』といい、17世紀から20世紀にかけて中国を制圧し続けた『清』の時代に生まれたものです。
こちらも先ほどご紹介したタイプと同じように指に通す武器・ウェポンとなっています。具体的な情報を下記にまとめていきます。
峨眉刺は中国の護身用暗器
前述でも申し上げた通り、300年以上の前の『清』つまり『中国』で発祥して生まれました。槍や矢のような長い棒状で先端が鋭利な形状になっていて、そこに指を通す『わっか』が設けられています。
付けたままターゲットにする相手の急所、弱点目がけて突くように攻撃する場合と、飛び道具として攻撃する場合があります。
峨眉刺にはいろいろな形状がある
元々は先端が鋭利な形状になっていて、殺傷能力を兼ね備えた凶器でしたが、自分の身を守るための護身用型も考案されて、そのタイプは鋭利な部分が丸みを帯びていて、誤って命を奪わないようになっています。
また鋭利な部分が『筆』のようになっていたり、軽量化を図り飛び道具といて用いるタイプも存在しています。
このように9つ目にピックアップした『暗器』は、鋭利な先端が変わっている別タイプがいくつか存在しています。
暗器の種類⑩鉄扇・摺畳扇
何かと縁起が良い形で、本来は団扇のように手で仰いで風を起こして、涼しむために作られた『扇』そんな一見何ら変哲もない『扇』が10つ目に取り上げる暗器として使われていたのです。
どのようにして武器・ウェポンとして用いるのか?など概要や歴史について語っていきます。
鉄扇は江戸時代から使われている扇形の暗器
ご利益があり縁起が良い。仰いで涼しむためのアイテムである『扇』は古来の日本より伝わり、庶民から貴族に親しまれてきました。
江戸時代になると『モノ』の文化が盛んになり、この扇の骨組みとなる部分を『金属』に改良して、武器・ウェポンに変貌を遂げたのです。
鉄扇は少林寺でも使われた
現代で見かけるような折り畳みが可能な『扇』は日本由来のものですが、江戸時代よりも更に遡り『鎌倉時代』には日本から、中国に伝承されて、武器として扱われるようになっていきました。
中国に伝承されて武器として扱われるようになると、『摺畳扇』と呼ばれるようになり、代表的な中国拳法の1つである『少林寺』でも使わるようになったのです。
暗器の種類⑪スティンガー
いかにも強そうな武器そのモノのような『名称』をしている暗器を11つ目にピックアップしてご紹介していきます。
11番目にご紹介する暗器は、現代でも存在する『ある物』に擬態して扮しているタイプです。さてその物とはいったい何なのでしょうか?
ではこちらでどんな見た目・形状をしていて、どのように武器・ウェポンとして使われていたか詳しく解説していきます。