西沢裕司の現在や生い立ち、犯行動機とは?【全日空61便ハイジャック事件】

西沢裕司はやむを得ず、あの「JR」に就職することになります。勿論JRも日本ではまず知らない人がおらず、立派な一流企業と言えますし、きっと安泰した生活が送れるはずでしょう。

しかし西沢裕司の頭の中には過去にも今にも、「航空」その違う2文字しかなかったので、その存在は霞んで見え、どこか物足りなさを感じてしまっていたのです。

彼は上司や職場に連絡もせずに、勝手に出勤せず無断で休み続けてしまい、そのままクビとなり初めての職場を退職することになったのです。こうして心に影を背負い、段々と歯車が狂いだしていくのです。

西沢裕司の生い立ち⑤家族のすすめから精神科に通っていた

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西沢裕司の家族は、彼が夢に向かってひたすら走り続けていたこと、その生い立ちを一番よく理解していたはずですから、挫折したショックや苦しみについても深く同情していたことでしょう。

西沢裕司のメンタルはどんどん減衰して廃人同然にまで陥っていきました。そんなボロボロの彼の姿を近くで見ていた家族は、彼を応援したり叱ろうはせずに、病院に行くことを勧めたのです。

彼はそんな家族の助言を受けて、心の治療をする、精神科を通うことになりました。この時も思い描いていた航空の世界からどんどん遠ざかっていくような、いたたまれない気持ちになっていたでしょう。

大量の薬

西沢裕司がしてはいけない、取り返しのつかない事態を引き起こす直前には、大量の精神安定剤などの薬を服用していたようです。

事件直前の異常な西沢裕司の行動

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先ほど精神科に通うようになり、多くの薬を服用して精神がまともでなくなっていった様子を解説しましたが、取り返しのつかない所業をして重大な悲劇を起こす直前にもその異常性が顕著になって表れていました。

こちらの見出しでは事件直前の西沢裕司がとった行動の数々を解説していきます。

母親への暴力・駅で問題行動

彼の生い立ちや経歴をよく知る、理解者であるはずの母親を殴るなどの暴力を働いていました。更にかつて自身が務めていた鉄道会社のJRの駅などで、奇行に走ったり暴れていました。

3つの偽名を使う

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実際に略奪する旅客機は「ささおかしんじ」刃物を持ち込むために使うために「たかはしかつや」前日の夜に利用したカプセルホテルには「まついさぶろう」

その3つの偽名を使ってそれぞれを予約しましたが、名前が知人であるのかどうかは定かではありません。

西沢裕司の起こした全日空61便ハイジャック事件の概要について

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先ほどは今回の記事でクローズアップしている、西沢裕司の過去、少年時代や家族、生い立ちなどの経歴について解説して、どのようにして挫折していき、心に大きな傷を負っていったかをお話ししました。

果てしない努力を続けたとしても、必ずしも思い通りに行くわけではない。そんな辛い現実の事象を体現した『西沢裕司』ですが、いよいよ日本を震撼させる凶悪な所業をしでかしてしまうのです。

こちらでは、彼が全日空61便が略奪して、多くの罪なき人々の命を危険にさらし、かつて憧れだった人物の命を奪う、日本で初めて死者を出した「ハイジャック事件」の概要を時系列ごとにお話ししていきます。

離陸直後にハイジャック事件発生

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何も知らない500人以上の乗客と10名以上のスタッフを乗せた、全日空61便に、ある悍ましい計画を企てた西沢裕司も乗っていました。

全日空61便が滑走路を走りだし、地上から飛び出した直後に事態が起きました。西沢裕司は忍ばせておいた刃物を見せつけ、声と態度で脅して全日空61便に乗っている全ての人を威圧しました。

刃物を持っていたので、乗っていた人たちは彼のいう事を聞かざるを得なかったのです。こうして全日空61便が1人の男に略奪されてしまったのです。

何故機内に刃物を持ち込めたのか?

西沢裕司は、航空のあらゆる観点を知識として得て、実際に利用するなどして体験も日常的に行っていました。その上で彼はシステム、設備の欠陥、盲点を発見していました。

その欠陥、盲点とは正規のルートである持ち物検査を通らずとも、機内に乗り込めるというものであり、その欠陥、盲点を突いて、機内に刃物を持ち込むことに成功したのです。

コックピットに押し入る

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その場に居合わせたスタッフに本来の目的地ではない、関東地方の神奈川県、南東部に位置する「横須賀市」に向かうように命令したり、無茶なことを色々と西沢裕司は言い放ちました。

その後、1本の刃物を所持して西沢裕司は、スタッフに命令して誘導させ操縦席に強制的に押し入ると、機長以外の人間をそこから立ち去り2人きりの状況を作り出しました。

全日空61便はその時、実際に大勢の乗客を乗せて、雲を超えて空を飛んでいました。そんな状況下でずっと憧れだった操縦室に入る事が叶いました。

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ですがそれは、本来の夢や憧れていたヴィジョンとは程遠いものだったはずです。

正攻法を取らずに間違ったやり方、罪なき人を危険にさらして法まで犯してまで、夢を叶えようと道を踏み外してしまったのです。

それだけもう心がダメになっていたという事でしょうか。それだけ夢への憧れが強かったという事でしょうか。悪事を働いた1人の男、西沢裕司にはそのどちらもあったのでしょう。

機長をナイフで刺し操縦席を奪う

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西沢裕司は、いつだって正攻法で努力し続けてきたのにも関わらず、最期には卑劣な所業を働いて、空飛ぶ旅客機の操縦室に入るという夢の一部を強引に叶えました。

しかし、それだけに飽き足らず、2人だけになった操縦室で、更に機長にとんでもない要求をしました。それは「自分に操縦させろ」「操縦席を譲れ」という、無茶苦茶な要求でした。

それを承諾してしまえば、500人以上の命が脅かされることになる。そのことをよく理解していた冷静沈着で責任感のある機長は、その要求に対して、逆上させないように落ち着いて説得して断りました。

夢の為なら手段をいとわない

その時、西沢裕司がどれほど興奮していたのかは分かりませんが、絶対に全日空61便という実際の旅客機を運転してみたい、と考えていたので、それを実現させるためには手段を厭わなかったのです。

彼は、全日空61便と500人を優に超える人間の命を守ろうとした機長に、容赦なく刃物を振りかざして、強引に操縦席をも略奪したのです。

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