しかし大人になったジプシーは自分が置かれていた状況を理解し、インターネットで知り合ったゴドジョンに殺害を依頼。その刺し傷は17箇所に及びました。自由を手にするため母を殺めることを選択したのです。
娘が母親に毒を飲まされた久留米市の事件
1998年、1歳半の女の子が中毒症状を起こした事例がありました。はじめは下痢や痙攣を起こして1週間ほど入院したのち、また1ヶ月後には救急車で運び込まれました。
母親の申し出により、娘に抗てんかん剤を投与。娘は中毒症状を起こしました。そこで娘は今までも母親が処方されていた抗てんかん剤を、大量に飲まされていたことが判明したのです。
我が子を大切に思う心配性なお母さんのようだったそうですが、他に母親は女の子に低ナトリウム血症を発症させ、病気になるよう仕向けていました。なんと1日2リットルもの水を飲ませていたのです。
母親が子供の点滴に汚水を混入して死なせた事件
2008年、当時1歳の女児が検査を受けたところ、通常検出されない4種類の細菌が血液から、有機化合物が尿から検出されました。不審に思った病院側が病室を録画しました。
怪しげな動きをする母親の様子が映っていたことにより逮捕となりました。亡くなった原因は、五女の点滴に腐敗した飲み物を混入していたからでした。
その後、次女、三女四女にも同じことをして四女を死亡させていたことが判明。懲役10年の判決が下りました。
1歳の娘にインスリンを投与した事件
当時1歳の娘にインスリンを投与し低血糖状態にした母親が、傷害容疑で逮捕された事件もありました。一夜にして2度も投与した疑いもあったのです。
この母親は事件直後にブログを立ち上げ、娘への愛情を書き綴っていました。その中には、ミュンヒハウゼン症候群についても触れられていました。しかし、母親以外が投与することは不可能として、捜査されていました。
逮捕当時、はじめは容疑を否認していた母親。しかし「子どもが体調不良になれば、仕事を休んで看病ができて一緒にいられると思った」と身勝手な動機を語りました。インスリンを混入したコーヒーを娘に飲ませるなどした疑いがありました。
「子どもを取られるなんて、死ねと言われているのと同じ」とブログ内で書いていた母親は、自ら大切な娘を死の淵に追い込むような行動を取っていたのです。
入院中に子供が虐待される事案が多数
保護者のエゴから発症することの多い代理ミュンヒハウゼン症候群。献身的な親というポジションでいることで、精神的に満たされているのです。
驚くべきことに、虐待を受け入院したのにもかかわらず、病院内でさらに虐待を受けるケースがあります。骨を折られたり、摂取するものに異物を入れられる事例があるのです。
しかし親は傍からみれば熱心に看病をしているので、虐待の根拠が少ない場合は、面会を拒絶することすら難しいのです。
ミュンヒハウゼン症候群はどう治療すればよいか
周囲の優しさを求めるあまり、最悪の場合死亡者まで出してしまう、危険なミュンヒハウゼン症候群に、治療法はないのでしょうか?この病気を治すためには何科に行けば良いのか、見つけてしまった場合の対応についてご紹介します。
ミュンヒハウゼン症候群の根本的な治療方法は確立されていない
病気を捏造する「偽性障害」という精神的な疾患の中でも、ミュンヒハウゼン症候群はとくに重たいものです。治療が必要ですが、残念ながら根本的な原因は未だにわかっていません。
ミュンヒハウゼン症候群の治療は精神科へ
まずは心の病気として精神科での治療をおすすめします。なんとも皮肉なことに、ミュンヒハウゼン症候群の患者は自分が「病気になりたがる心の病気」と診断されることを快く思わないそうです。
しかし自傷行為や不要な服薬を防ぐためにも、治療を行いましょう。とても辛いですが、原因を知って自分と向き合うことが大切です。
病院で代理ミュンヒハウゼン症候群を見かけたら病院・警察へ通報を
万が一ミュンヒハウゼン症候群の兆候が見られる人に遭遇したら、早めに病院や警察へ通報しましょう。自分がいなければ生きていけない子どもの存在自体を、自分の個性だと勘違いしていることが多く危険です。
それらの行為は虐待である可能性が高く、早めに手だてを打つ必要があるからです。悲しいことに87%の子どもが、疾患のある親に虐待され死亡する可能性があるといいます。
入院している子どものケアも大切です。しかし、看病している保護者にも目を向けて、育児で困っていることはないかコミュニケーションをとることも必要です。