「イワシクジラ」の分類・生態
イワシクジラの分類
クジラの種類は80種類にも及び、イワシクジラは「動物界-脊椎動物門-脊椎動物亜門-哺乳網-鯨偶蹄目-クジラ目-ヒゲクジラ亜目-ナガスクジラ科-イワシクジラ属-イワシクジラ」に分類されます。調査捕鯨の際に余剰となった部分だけが市場に出されている為、数が少なく貴重品とされているのです。
イワシクジラの成長
イワシクジラは、生まれた時、体長は4.4mほどの大きさで、大人に成長するまでに約10年かかります。大人になったイワシクジラの大きさは最大18mで、だいたい15~16mといった大きさが標準的な大きさになります。体重は16~20tほどで、オスが16t、メスは18tとオスよりメスの方が大型になります。
イワシクジラの繁殖から成長
イワシクジラは、冬に交尾をし、赤ちゃんは約11ヶ月胎内で過ごします。鯨は2~3年に一度、1頭を産むと言われています。授乳期間は6ヶ月程度で、成長するまでに約3年、10年ほどで大人のクジラへと成長します。寿命は長く、最長で74年と言われています。
「イワシクジラ」の生息地域
イワシクジラの生息地域
イワシクジラの生息地はインド洋、大西洋の南側、北側、太平洋の南側、北側と広い範囲に生息しています。日本海近海では、餌が豊富な北海道や東北の沖合を生息地としています。これだけ広範囲に生息地があるにも関わらず、商業捕鯨禁止になるほど生息数が大きく減少してしまっています。
イワシクジラの食事
イワシクジラの主食は甲殻類・小魚です。イワシを好んで捕食するため、イワシの群れと回遊して生息しています。捕食量は1回に数百キロと、海洋生物の中でトップクラスです。イワシクジラは、「スキム・フィーディング」という、イワシのみを髭で取り、海水を吐き出すといった食事方法をしています。
「イワシクジラ」の特徴
イワシクジラの特徴①
イワシクジラの大きさは最大18mになります。体重はヒゲクジラの中では、シロナガスクジラ、ナガスクジラに次いで3番目の大きさです。身体は細長く、頭部がV字状にほっそりしており、背鰭があるのが特徴とされています。背部は黒っぽい色、腹部が白色で、背と腹の境界には波形や不規則な波模様があります。
イワシクジラの特徴②
イワシクジラには、顎から胸部にかけて約60本の筋状の溝があります。上顎口蓋があり、左右に最長80cmにもなる髭が320~400枚の髭があります。白く、細い毛が三日月形で直立した髭が密集して生えています。口の大きさは2~3mあり、群れている餌を一気に口の中に入れます。
「イワシクジラ」の歴史
イワシクジラの捕鯨
日本や韓国沖では、1911~1955年にかけて毎年約300~600頭ものイワシクジラが捕鯨されていました。1959年には1340頭もの数が捕鯨され、1963~1974年にかけては平均捕鯨数が3643頭にもなりました。1971年にはイワシクジラの数は欠乏し、1975年には西北太平洋での商業捕鯨は禁止とされました。
イワシクジラの保護運動
1976年、割当量が導入されたことにより、北太平洋での商業捕鯨から全面的保護をされるようになりました。1981年には、複数の種類のクジラが世界規模で絶滅危機に瀕しているという証拠が報告され、IWC(世界捕鯨委員会)より商業捕鯨の一時的禁止されました。これにより、イワシクジラの合法的な商業捕鯨が全面的に禁止されました。
「イワシクジラ」と鯨食文化
日本の鯨食文化の変化
昔から日本で愛されている鯨料理ですが、時代とともに食べられるクジラも変化しています。戦後最も食されていたのは「ナガスクジラ」という全長30mほどの大型のクジラです。調査捕鯨が始まり、そこからは「ミンククジラ」が食されてきました。ミンククジラの捕鯨が難しくなり、イワシクジラが食されるようになったのは最近のことなのです。
日本から消えつつある鯨食文化
昔は鯨料理が一般家庭の食卓にあるほど、主流の日本の食文化でした。鯨肉は高タンパク、低カロリーのため、昔から健康食として注目されていました。しかし、今では市場に出る数も少なく、余り目にする機会がなくなってきています。
江戸時代から続く長崎の鯨食文化
江戸時代に大村湾にある東彼杵という場所に九州エリアの鯨が全て水揚げされており、当時裕福だった長崎へクジラの質の良い部分が多く運ばれていました。また一番近い距離にあったため、鮮度を保つことができたので、長崎では鯨が美味しいものと認識され、瞬く間に発展し、今でも愛され続けています。
「イワシクジラ」の絶品の味
イワシクジラの味、食感
イワシクジラのベーコンはシャキッとした歯ごたえがあり、噛めば噛むほど味が出てきます。尾の身は脂の乗りが良く、マグロの大トロをもっと濃厚にした味で、鯨肉の中でも最も美味しいと言われています。口の中でとろけてしまうほど柔らかく絶品です。