致死性の毒を持つ「スベスベマンジュウガニ」が小さくてかわいい!食べなければ危険じゃない?

スベスベマンジュウガニはフグなどと同じように、毒を彼ら自身の体内で作り出しているのではなく、食べているエサに含まれている毒素を体内に蓄積しているのだと考えられています。そのため、地域によって保有する毒の種類や量に違いがみられる場合があります。

日本の分布域の北部に生息するものはフグ毒として有名なテトロドトキシンを、九州・沖縄といった南部のものはゴニオトキシン、サキシトキシン、ネオサキシトキシンといった麻痺性貝毒といわれるものを、中間の位置に生息するものはそれら両方の種類を合わせ持っているという調査結果があります。

テトロドトキシンと麻痺性貝毒

テトロドトキシンは海中に生息している細菌が、麻痺性貝毒は同じく海中に生息する藻類がそれぞれ作り出す毒素です。いずれも解毒剤がいまだ開発されていない恐ろしい毒素です。それらの毒素を取り込んだヒトデや二枚貝などを、スベスベマンジュウガニがエサとして捕食するという食物連鎖によって、彼らの体内に毒が蓄積されていきます。

触る程度なら特に問題なし

毒を体表面に分泌したり、ハチの針やヘビの牙のように毒を注入したりするようなことはないので、スベスベマンジュウガニは触る程度なら問題はなく、ハサミで挟まれてもちょっと痛いだけで済むのですが、次項で説明するように万が一口にしてしまった場合、大変なことになるので、十分注意が必要なカニなのです。

スベスベマンジュウガニを食べてしまったら!?

大前提、絶対に食べちゃダメ!!!

スベスベマンジュウガニの毒は、外骨格である殻の部分と足やハサミの部分の筋肉に含まれています。加えていずれの毒もおもに水溶性なので、身を食べなくても、それでだしをとったお味噌汁もアウトです。そもそもテトロドトキシンも麻痺性貝毒も通常の調理レベルの加熱では分解・無毒化しないので、繰り返しますが決して食べてはダメです。

食べてしまった場合の症状

テトロドトキシンと麻痺性貝毒は中毒症状がよく似ていて、どちらも神経に作用し体が麻痺するという症状を引き起こします。テトロドトキシンの場合、人間の致死量は1~2㎎と推定されており、摂取してから20分~3時間ほどで体のしびれや麻痺が起き、次第にそれが全身に広がり、重篤な場合は麻痺による呼吸困難で死亡する場合があります。

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