致死性の毒を持つ「スベスベマンジュウガニ」が小さくてかわいい!食べなければ危険じゃない?

ツメ(ハサミ)の先が黒く、甲羅は赤系の褐色から少し明るめの色などさまざまな色に灰白色の模様が入っており、かわいい模様だと感じる人もいれば、中にはペイズリー柄やサイケデリック模様のようにも見えて若干の気持ち悪さを感じる人もいるようです。

その見た目からそのまま命名

さて本題の名前の由来ですが、スベスベマンジュウガニは漢字ではそのまま「滑滑饅頭蟹」と書かれます。名前の由来は、なんのひねりもなく、まさにこの甲羅の表面が「すべすべ」した丸い「おまんじゅう」のようなカニ、というところから付けられたと言われています。

いくら形がお饅頭に似ているといっても、毒を持っているカニにわざわざ食べ物の名前を付けなくてもいいのに、と思われますが、実はこれはカニ類の毒についての研究の経緯に関係しているのです。

スベスベマンジュウガニと毒①毒性の発見と認知

カニによる食中毒

「カニの中にも毒を持つものがあるようだ」ということは海辺の地方や漁師さんの間では古くから言われており、最も古いカニ中毒死の公式報告例とされる1965年の鹿児島県の例をはじめ、カニが原因と思われる中毒例も以前から知られてはいましたが、学術的にどの種のカニに毒があるかという、まとまった研究は長らく行われていませんでした。

スベスベマンジュウガニが有毒認定へ

前項のような経緯があるため、実際のところ、毒を持っている可能性が疑われるカニについての本格的な調査、研究が行われて、スベスベマンジュウガニの毒性が学術的に確認されたのは、実は1968年のことなのです。しかしその後もスベスベマンジュウガニが有毒であるということが一般に浸透するまでには長い時間がかかりました。

ただ、大きさも小型で食用として漁の対象というわけでもないスベスベマンジュウガニは、見つけてもわざわざ食べようとする人があまりおらず、個体調査をすると、まれに無毒の個体も存在するようで、幸いにして現在までスベスベマンジュウガニによる公式な中毒被害の報告はないと言われています。

スベスベマンジュウガニと毒②保有する毒の種類

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