雷魚とはどんな魚か
ブラックバスやナマズと並んで人気の高い、川や湖などでのルアーターゲットである雷魚ですが、詳しくどんな魚かについては知らない人も多いのではないでしょうか?雷魚釣りをより楽しむ為にも、まずは雷魚について知っておきましょう。
雷魚の基礎知識
雷魚は淡水魚で、属性分類はスズキ目タイワンドジョウ科。体は円筒形で細長く爬虫類の様な顔で見た目が蛇の様に見える事から英語では「スネイクヘッド(Snakehead)」の名前で知られています。体長は最大で1m程にもなり、口は大きく鋭い歯と非常に強い顎の力を持ちます。ちなみに「ドジョウ」とありますが、ドジョウとは別の種です。
また、特殊な生態として空気呼吸ができる事も挙げられます。ただし、肺を持つわけではなく上鰓器官という器官を使い口から直接空気を取り込み上鰓器官に送り込む事で酸素を摂取しています。この為、気温条件によっては3〜4日の間、陸上での生存が可能だとされます。
雷魚の生息地と分布
雷魚と呼称される魚は詳しくは、カムルチー、タイワンドジョウ、コウタイの3種に分けられます。カムルチーは主に中国大陸や朝鮮半島などから、ロシア沿海地方のアムール川流域までを生息地とし、広く分布しています。
タイワンドジョウは中国福建省以南から、フィリピン、ベトナムなど東南アジアまでに分布、また、日本をはじめマダガスカルやハワイ諸島などにも持ち込まれ現地で定着しています。コウタイは台湾と中国の長江以南に分布しています。
雷魚の種類
国内で雷魚と呼ばれるものは、全て海外から持ち込まれた外来種で、カムルチー、タイワンドジョウ、コウタイの3種です。これを総称して雷魚と呼んでいます。3種とも見た目も生態も良く似ていますが別の魚です。日本のほぼ全域に生息するカムルチーは最大で1mにもなる大型の魚で、国内の雷魚はほとんどがこのカムルチーだとされます。
タイワンドジョウの体長は40cmから60cmほど、サイズ以外の見た目はほぼカムルチーと同じですが、斑紋が細かく列数も多いという違いがあります。現在の国内での生息地は、兵庫県、和歌山県、香川県、沖縄県に限られます。コウタイは体長30cm程と、3種の中では最も小さく、生息地域も局所的で個体数も少ないものとなっています。
雷魚の特徴
蛇のような顔に鋭い牙、鱗に覆われた体から手のようにはえた胸鰭、一見してまるでモンスターの様な姿を持つ「怪魚」という言葉が似合う雷魚ですが、その生態についてもその姿に似つかわしく特殊な特徴を多く持ち興味深い魚です。
雷魚の生息環境
雷魚は、沼や池、湖などの澱みのある止水域、あるいは水流が極めて穏やかな河川の中下流域、用水路などにも生息します。ハスなどの水草が繁茂する場所に好んで生息し、一部の種では、繁殖期に水草を集めてドーナツ型の巣を作りその中央部で産卵します。
空気呼吸が可能な為、酸素濃度の少ない止水域などでも生存可能ですが、巣を作る種に関しては、水草がないと産卵が出来ない為、護岸工事などの影響で水草が減ると、数を減らしてしまう傾向にあります。
雷魚の食性
肉食性の雷魚は鋭い牙を持ち、どう猛な性格で食欲旺盛、基本は魚食性ですが、甲殻類から昆虫、カエルや亀まで食べ、時には水鳥の雛や水際に来たネズミなどの小型哺乳類まで捕食する事が知られています。
雷魚の習性
雷魚は食欲旺盛な獰猛な性格を持つ一方で、警戒心が強い一面も持ち、捕食行動を起こすのは早朝や夕方の薄暗い時間帯や水が濁り暗くなったタイミングです。その他、鰓呼吸だけでは十分な酸素を得る事ができない為、空気呼吸が出来ないと死んでしまいます。空気呼吸を行う際は水面から口だけを出して「ボコン」という大きな音を立てます。
空気呼吸が出来る能力から、
雷魚釣りに便利なおすすめアイテム
悪天候時には水場から水場へ地を這う様に移動するとの説も存在します。産卵期は夏で、産卵に際してはオスメスで協力して卵や稚魚を守る習性も持ちます。一部は水草でドーナツ状の巣を作り、その中で卵や稚魚を守ります。また、口の中で卵や稚魚を守るものも存在します。
雷魚の豆知識
この様に日本ではあまり馴染みのないタイプの魚、雷魚にはユニークな生態や特徴を持ちますが、意外にも東アジアや東南アジアなどの原産地域では古くから馴染みのある身近な魚といったイメージなのです。ここからは、そんな雷魚に関する豆知識を紹介していきます。
名前の由来
「雷魚」という名前はなんとも格好の良い響きですが、この由来については諸説あるもののはっきりした事はわかっていません。雷の鳴る様な悪天候時、水が濁ると活発に活動する為にこの名がつけられたという説、顎の力が強く、雷が鳴っても一度噛み付いた獲物は離さない事から来ているとの説などがあります。
日本人との関係
雷魚は、本来日本にいない外来種とされ、戦前の1920年代に朝鮮から食用として初めて輸入されたというのが有力な説です。食用として持ち込まれたものの、見慣れない見た目に加えて、寄生虫の宿主で生食に適さず、国内では全くの不人気となり、自然界へと放逐され繁殖して全国に広がったとされます。
ただ近年になって、江戸時代には既に雷魚が国内に生息していたとの文献が発見されており、さらに北海道では、昔からカムルチーの亜種が生息していたとの説も存在しており、日本国内での雷魚の由来については諸説あるというのが実情です。現在では主にルアーフィッシングのターゲットとして、あるいは飼育用として扱われる事が多くなっています。
世界の中での雷魚
日本では食用としては不人気な雷魚ですが、多くの原産地域では食用として古くから馴染みのある魚となっています。特に中国や朝鮮半島では強壮剤としても親しまれる人気食材の一つであり、炒め物やスープ煮込み料理の材料として盛んに養殖が行われています。
雷魚と釣り
雷魚釣りは、近年さらに人気が上昇しており、バスと並んでルアーフィッシングでの人気ターゲットとなっています。また、雷魚はルアー釣り以外にも泳がせ釣り、ポカン釣りなど様々な釣り方が可能。ここからは、1度経験したらハマること間違いなしの雷魚釣りの魅力、時期や時間帯、狙うポイントから注意点までを詳しく解説していきます。
雷魚釣りの魅力
何と言っても雷魚釣りの魅力はそのダイナミックなバイトからの強い引きとのファイトでしょう。水草の浮かぶ水面でルアーを這わせて雷魚を誘い、バイトした時の豪快な炸裂音はもうそれだけでテンションが上がります。また、雷魚との躍動感溢れるパワーファイトはスポーティな魅力が満載でアクティビティとしても最上級。
淡水魚の中ではトップクラスの強い引きと重量感を持ち、80cm超えのビッグサイズを強引に抜き上げる感覚を一度味わってしまうと病みつきになる事間違いなし、もう後戻りは出来ません。雷魚は様々な止水域に広く生息している為、そのポイント探しも魅力の一つ、意外なところに雷魚を発見するアドベンチャー的な楽しさにもハマります。
雷魚釣りの時期と時間
雷魚釣りの時期は、雷魚が活発に捕食行動を取るのが水温20℃前後であるという事から、初夏から秋口まで、すなわち5月の半ばから10月の前半頃までになります。また雷魚は周りが薄暗い環境で捕食行動を取るので、夏場の暖かい時期は早朝や夕方の薄暗い時間帯、水温が下がる初夏や、秋口なら昼からの暖かい時間が狙い目です。
雷魚を狙う場所
雷魚を狙う場所は、池や沼などの止水域や、流れの極めてゆるい河川や用水路が基本となります。沼や池の場合、アシやガマなどが生い茂り、ハスなどの浮き草や水草が水面を埋めている場所に雷魚は棲息しています。水は緑色に濁っていても大丈夫、一見汚い環境に見えても雷魚は生存可能です。
河川や用水路で狙うにはあまり大きくない川の中流域から下流域、ワンド状になっていて流れが緩やかになり、水草や浮き草が群生する場所が有望なポイントです。岸際にアシなどが生い茂り、水の流れを遮っている場所にもよく雷魚は潜んでいます。
雷魚釣りの注意点
雷魚釣りで最も注意しなければならないのは、不用意に雷魚の口に手を入れない事です。雷魚は歯が鋭い上に顎の力が極めて強力、噛みつかれると革手袋を突き破って手が血だらけになる場合すらあります。針を外す時は必ずフィッシングプライヤーを使用しましょう。
また、雷魚のパワーは国内の淡水魚の中では最強クラス、通常のバス用のタックルで代用しようとするとロッドがポッキリ折れてしまう事もあります。その為、雷魚釣りでは強いタックルを用意する事は重要です。雷魚専用のタックルが販売されているので、出来れば専用のものを使用する様にしましょう。
雷魚の釣り方①ポカン釣り
日本では昔からナマズなどを狙う伝統的な釣法でカエルなどを生き餌に利用するポカン釣りが行われていましたが、これは雷魚にも有効な釣法です。本来延べ竿を使う釣法ですが、長くて固めのバスロッドでも可能です。
釣り方を紹介
ポカン釣りは生きたカエルを針につけて、雷魚を誘う活き餌釣りで、水面で動く餌に反応する雷魚の習性を利用しています。水草の繁茂する場所や障害物で流れが滞る場所など、雷魚が潜んでいそうなポイントにカエルを投げて水面を叩く様にするだけで、特に難しいアクションは必要ありません。カエルが勝手に動いて誘ってくれます。
釣りの仕掛け
仕掛けはカエルの足に直接針を刺すか、それに抵抗があるなら足に針を糸で結ぶようにすると良いでしょう。糸は太めで、切れにくいPEライン推奨、針は太軸の大きめのものを使用し、カエシは潰しておくかカエシの無いバーブレスのものを使います。雷魚は大口でカエルを飲み込むので、カエシがあると針を外す時にかなり苦労するハメになります。
必要なタックル
タックルはポカン釣りの場合は長めで硬い延べ竿を使用するのが昔ながらですが、大型のものを狙うならリール付きのものを使用した方が上げやすいかと思います。当然、リールを使用する場合も長めで固いものを使用しましょう。
この釣り方のコツ
雷魚は餌を口に入れるのが下手なので、バイトしてから数秒間をおいてしっかりと飲み込むのを待ってから強めに合わせるのがコツです。また中々食いついてこない時は、カエルを上下させて水面を叩くようにすると反応してくる事が多いです。
雷魚の釣り方②泳がせ釣り
生きた小魚などを生餌として使う泳がせ釣りは、海釣りで大型魚を狙う時にはお馴染みですが、雷魚釣りにも使える釣法です。雷魚を狙うならフナやブルーギルを生餌として使用すると良いでしょう。
釣り方を紹介
泳がせ釣りは、生きた小魚を針につけて泳がせて生餌として誘い大型魚をターゲットとする釣法です。雷魚の場合は基本的にはブラックバスの泳がせ釣りと同じ、フナやブルーギルなどを生餌として使用します。雷魚釣りの場合、可能であれば10cm〜15cmくらいの物を餌にすると良いでしょう。
釣りの仕掛け
生餌に使用する小魚はブルーギルがオススメです。その場での調達も容易で雷魚の食いつきも最も良いと思います。シングルフックで背掛けにします。針はワーム用の3/0くらいの大きめのフックを使用してください。雷魚は口が大きいので小さなものだと丸呑みにされます。ラインも太めの物、最低でも4号はあると良いでしょう。