マグシールドとは
リールに関して言えば“防水”“防塵”が永遠のテーマ。当然、DAIWAも数十年来の開発テーマとして取り組んできた。その取り組みが結実したのは、2010年のこと。…中略…NASAが開発した磁性流体を利用した防水機能「マグシールド」。(引用:ダイワ公式サイト)
磁力に着目した技術
マグシールドとは、その名の通り磁力を利用した機能です。「マグオイル」と銘打たれた磁性を帯びた液体で膜を作ることでリール内部の構造を守る役割を果たしています。ダイワリールにおいては一つの看板とも言えるようなダイワ独自の技術です。
汎用スピニングリールでマグシールドを搭載しているのはエクセラー以上となっており、全てに搭載されているわけではありません。マグシールドボールベアリングというマグシールドの応用ともいうべき技術が用いられたものもあり、ベイトリールにもこちらが搭載されています。
マグシールドの特徴
まずはマグシールドの特徴をご紹介していきたいと思います。その中でも特に「回転性能の向上」「初期性能の継続」「リール寿命の延長」という三つの利点となる部分に着目します。それではみていきましょう!
回転性能の向上
それまではパッキン主流だったものが、マグシールドの登場によって一気にその場所を取って代わられました。パッキンからマグオイルへと変わることで、摩擦感や重さが軽減され、ハンドルの回転がスムーズになるという利点も生じました。
初期性能の継続
海水の浸入を防ぐ防水機能に合わせ、埃やごみの侵入を防ぐ防塵の役割も果たすことで、リールにつきものの塩ガミやゴリ感などの不具合が自然と起こりにくくなります。メーカーに送られてくる修理品でも、マグシールド登場以降これらの不具合を理由にしたものは減少したとのことです。
リールの寿命が長くなる
メンテナンスが全く不要ということはありませんが、簡単な手入れとメーカーでの定期的なオーバーホールによって、長期間の使用が可能になりました。リールは時には10万円にもなる高価な買い物だからこそ、長期間使用していきたいと考えるのは自然なことですし、その要望に応えたのがこのマグシールドというわけです。
よくあるリールの不具合や故障
マグシールドは防水防塵機能ということでしたが、海水や埃、ごみによって引き起こされるリールの不具合には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?ここではよくあるリールの不具合を簡単にご紹介したいと思います。
塩分の残留から起こる塩ガミ
塩ガミは異音や、回転時のゴリ感、最悪の場合まともに回転しなくなるなどの不具合を引き起こします。海水をよく流さなかったり手入れを怠ると、塩分が内部に残ってリールのあらゆる機能が阻害されてしまいます。埃やゴミも同じように異音やゴリ感を引き起こします。
パーツ同士の固着
ワッシャーなどパーツ同士がくっついてひとつになってしまったりハンドルなどの可動部位ががっちり固まって動かなくなる状態です。これもまた海水の影響ですが、リールの能力が全く発揮されなくなります。
さすがにこれはしばらく洗わなかったり放置したりしない限りは起きないのではないかと思います。簡単な手入れ方法やマグシールドのメンテナンス、オーバーホールに関する注意点などは後述していきます。メンテナンスの関連記事はこちらからご覧いただけます。
マグシールドの評価
私はルビアスで初めてマグシールドを体感したのですが、確かに回転はなめらかで気持ちがよく、購入からもう数年経ちますがいまだに対したトラブルもなく快適に使えています。ここでは実際に使用してみた方のレビューをいくつかご紹介していきたいと思います。
16セルテート星5のレビュー
サーフで使用。購入直後はややシャリ感があったものの、何匹か掛けた時点で消えてました。そこから一年以上使用し、何度かエイ相手にも強引にやり取りしたりしてますが、今のところガタのかけらも無し。(抜粋) (引用:Amazon)
初めてマグシールドを搭載したのもセルテートです。それから幾度となく進化を重ね、多くの釣り人に愛用されているモデルです。星5評価が全体の50パーセント以上でした。特に高剛性やパワー、手入れの簡単さを評価するコメントが多かった印象です。低評価には購入品の初期不良やしゃり音を指摘しているものがありました。
15ルビアス星5レビュー
写真よりもボディは暗い色なので落ち着いています。ボディの軽さ・巻き・ドラグ・剛性のどれを取ってもハイエンドリールに引けは取りません。あとは趣味の世界だと思うので良いリールが欲しいと思ったらこれで十分です。トラウト・アジングのどちらでも十分に使えます。(引用:Amazon)
こちらは星4以上の評価が90パーセントを占めており、ルビアスの人気の高さが伺えました。特に軽さ、巻き心地、レスポンス、手入れの簡単さ等を評価されており、ハイエンド機種にも引けを取らないとまで言われています。ルビアスの関連記事はこちらからご覧いただけます。
意見や批判もある?
利点が多く、先ほど紹介したルビアスのように好評価も多数聞かれるマグシールドですが、一部では批判もあるようです。その批判の内容で最も多いのが「重さ」に関するもの。その点で言えば、ルビアスは軽さを特色としたリールなので、重さという難点を帳消しにできているがゆえの好評価なのかもしれません。
最近ではLTコンセプトというさらなる技術進歩による軽さとタフさの両立を目指した新スピニングリールコンセプトも登場しているため、これがマグシールドと合わさったときにどのような評価になるのかは気になるところですね。いまのところイグジスト、フリームスやカルディアに併用して搭載されています。