ハオコゼとは
ハオコゼとはカサゴ目ハオコゼ科に分類される海水魚で、カサゴ目に属しているだけあって見た目はカサゴのように背ビレが鶏のトサカのように櫛状になって背中に並んでおり、成長になっても体調は10~12cmほどと小さな体をしています。
ハオコゼは大人しく臆病な性格なので、釣り上げたときに敵から身を守ろうと背ビレをトサカのように逆立てて歯のように立てる性質があるため、「歯オコゼ」という呼ばれるようになったという説もあります。
ハオコゼの生息域
ハオコゼの生息域は日本においては本州以南の温暖な地域であれば日本各地と幅広く、好む環境は浅い岩礁の岩や海藻など敵から身を隠しやすい障害物の多い場所で、磯の潮だまりで見つかることもあります。
ハオコゼの生態
ハオコゼは岸近くの岩礁域や藻の豊かな場所に生息し、あまり昼に活動することはなく、主に夜行性の魚で、無脊椎動物であるプランクトンや小さいエビやカニなどの甲殻類から小魚などを餌として幅広く捕食している肉食性の魚です。
産卵期は6~8月にかけての夏で、産卵期を迎えると、ペアになった雌雄が並んで泳ぎながらそれぞれが放精・放卵して生殖行動をとります。孵化した稚魚は海を漂いながらで藻の茂ったところなどに流れ着き、定住した場所で成長し、約1年で成魚となり、生殖行動をとって命を繋げます。
ハオコゼの釣れる時期
ハオコゼは釣り人たちから嫌われており、釣り上げればがっかりされ、本命ではなく外道と呼ばれてばかりいるほどの魚なので狙って釣り上げる魚ではありませんが、よく釣れる時期は4月から12月にかけてです。
ハオコゼには毒がある!
ハオコゼは背中に14~15の櫛状のヒレを持ち、一本一本が鋭く尖っていて写真のように2、3番目のトゲが最も長く、タオルや軍手のような厚さなら突き抜けてしまうほどの鋭さを持っています。
ハオコゼの体には毒腺と呼ばれる有毒物質を分泌する腺が走っており、背ビレはその毒腺とつながっているため強力な「毒」を持っていて、鋭い背ビレに刺されるとその毒に触れることになってします。
ハオコゼの毒の特徴
ハオコゼに代表されるオコゼ科の背ビレに含まれる魚の刺毒の多くはタンパク質由来の毒であることが広く知られており、タンパク質であるということは熱を加えることで急速に変性し毒性を失活させることができます。
タンパク質の変性って?
そもそもタンパク質の変性とはどういうことなのでしょうか?タンパク質とは20種類のアミノ酸が実に様々な組み合わせでルービックキューブのように複雑に絡み合った高分子化合物と呼ばれるものです。
熱やpHなどの影響によって絡み合ったアミノ酸の複合体の形が変わることを変性すると言います。卵は加熱すると茹で卵や目玉焼きに、アルカリ性にするとピータンになりますよね、これをタンパク質の(熱)変性と呼んでいるわけです。
ハオコゼの刺された時の症状
ハオコゼの毒をもつトゲに触れてしまうとあっという間に痺れを伴う強烈な痛みに襲われ、患部が腫れあがりその箇所は曲げ伸ばしができないほどです。さらに重症化すると痛みや痺れ、腫れだけではなく吐き気や嘔吐、腹痛や呼吸困難に陥る場合もあります。
ハオコゼに刺された時の対処法
先程お伝えしたようにハオコゼの毒はタンパク質からできていますので万が一、ハオコゼに刺されてしまったときは熱いお湯(45℃程度)に刺された部分を浸してタンパク質を変性させてしまうと毒が不活化し、症状が軽減します。また、刺された傷口をしっかりと観察してトゲが残っていないか確認・除去し、傷口から毒を絞り出して洗浄しましょう。
これらはの対応はいずれも応急処置に過ぎないのでトゲが刺さった傷口をルートに別の感染症を引き起こしたり、化膿してしまうなどの二次被害にあわないためにも必ず病院に行って診てもらうようにしましょう。
ハオコゼの捌き方は?
ハオコゼは大きくても大人の手のひらほどしかない実に小さな魚なのでいざ捌こうとすると戸惑ってしまうかもしれませんので、ここからはハオコゼの捌き方を動画を交えながら詳しくご紹介します。
捌き方の手順はこちら
普通の魚と違う点は背ビレに毒があるという点ですので、ここがハオコゼを捌く際の最も注意すべき大きなポイントとなります。まずは背びれに触れないように細心の注意を払って背びれを切り落とします。
この時に切り落とした背びれをあちこちいい加減においてしまうと知らない間に刺さってしまうことも考えられますので捨てる準備を整えておきましょう。そのあとは頭を落とし、お腹から包丁を入れて背中に通し、背骨に包丁を当てながらしっぽの方へ動かして三枚におろせば完成です。
捌き方は動画でもチェック!
こちらの動画はハオコゼを堤防から釣り上げるところから始まり、なんとハオコゼに刺されながら刺身を作りあげるところまで紹介されていますのでハオコゼの毒ヒレの扱いもイメージしやすいかと思います。
ハオコゼのレシピ
ここまではハオコゼの厄介な毒性についてお話ししてきましたがここらは視点を変えてハオコゼの魅力をお伝えしていきます。釣りをしていてハオコゼがかかるとがっかりしていませんか?実はそのハオコゼ、とってもおいしんです。
ハオコゼのから揚げ
最初にオススメするハオコゼのレシピは高温の油でカラッと揚げる唐揚げで、熱をしっかり通すことでハオコゼの毒の失活も期待できる上に何と言っても外はカリカリ!中はしっとりふわっとした食感を楽しむことができます。
料理方法1.下処理
ハオコゼを十分に水で洗ったあと、ピンセットや菜箸などで固定し、ハオコゼの口からキッチンバサミを差し込んでそのまま腹まで切り開きます。内臓は食味がよくありませんので取り除き、釣り針なども一緒に残っていないかしっかり確認します。
料理方法2.下味、調理
醤油に少し生姜をすりおろしたものを加え、下処理したハオコゼを浸して下味をつけます。小麦粉か片栗粉をまぶし、ヒレに熱が通るように広げてから熱した油へ投入します。油温は160〜170度くらいで火傷に注意しながら様子を見て調整します。
ハオコゼの毒の変性する時間を考えて揚げ時間は5分以上にし、カリッときつね色に上がれば完成です。食べる際は皮と身だけにして、ヒレは食べる人もいますが最初は念のため食べないでおきましょう。
食味
ハオコゼの唐揚げの食味は高級魚であるカサゴに似た白身魚の上品な味でまったく臭みはなく、唐揚げにすることで少し油によるコクも足され、ホクホクしっとりした食感を楽しむことができ、非常に美味です。
ハオコゼの素揚げ
ハオコゼの素揚げは少し低温にした油でじっくり時間をかけて二度揚げすることでカリカリになった食感を楽しむのがおすすめで、骨までサクサクに揚げれば毒の心配もなく、カルシウム補給できるおやつにもなります。
料理方法
ハオコゼの素揚げの料理方法は途中まではハオコゼの唐揚げと同じで毒ヒレに気をつけながら水で洗い、口からキッチンバサミを入れて内臓と釣り針を取り除きます。内臓のほろ苦さを味わいたい方は何も下処理をせずこのままでも構いません(ニガシャコと呼んで食べている地域もあります)。
唐揚げでは下味をつけて衣をつけてから揚げましたがこちらは素揚げですのでそのまま熱した油へいれます。粉をまぶしていないため水分が多いと油が爆ぜて危ないですのでキッチンペーパーなどでしっかり水気を取ってから油調します。
食味
二度揚げすることでからりとあがったハオコゼの素揚げは食感を楽しむのに最適なレシピで、骨や皮はパリパリサクサクしているのに身はホクホクとビールのおつまみやカルシウム補給できるおやつなどにオススメです。
ハオコゼの刺身
毒があるので最初はためらってしまいますがハオコゼの刺身はなかなか美味しいとマニアの釣り人たちには評判の味です。くれぐれも毒ビレには注意をしながらハオコゼの刺身に挑戦してみてはいかがですか?
料理方法
ハオコゼの毒ヒレに触れないように注意しながらまな板にハオコゼを置きます。小さな魚なの難しく感じますが鱗の処理も必要なく、身がしっかりしているので見た目より簡単に三枚におろすことができます。
食味
ハオコゼの刺身はの味は、脂ののった高級魚カサゴこ薄造りにも引けを取らないおいしさで、食感はオニオコゼのように柔らかくなく、引き締まった筋肉を感じる歯ごたえはフグを想像させる中々のものです。
ハオコゼは飼育に向いている?
釣り人たちには厄介者扱いされているハオコゼですが観賞用のペットとしては非常に飼育しやすく、魚の飼育経験がない人にもおすすめできる魚です。毒のヒレにも水槽から眺めている分には触れることはありませんし、なんとも美しい背ビレの形は神秘的で生命の不思議を感じるほどです。