顔も実は正面から見ると実に愛嬌のある顔をしていてついついじっと眺めて痛くなる魅力があります。餌をあげてちゃんとお世話をしてあげると、人の気配を感じて岩陰から泳ぎ出てくれるほど懐いてくれます。
ハオコゼは飼育しやすい
ハオコゼは小さな魚なので大きな水槽も必要なく、エサ代も月千円もかからない上、ハオコゼは磯たまりや堤防、岩礁の物陰といった水温変化が起こりやすい流域に生息している魚のため、環境の変化に強い傾向があり、その点でも飼育しやすいと言えます。
ハオコゼの飼育の準備
飼うと決めれば小さくても大切な命ですからしっかりと環境を整え、ハオコゼとの生活を楽しみながら海の不思議を教えてもらいましょう。ハオコゼは水族館でもよく展示される人気の種で、環境が次第では10年ほど生きるというデータもあり、飼い方次第で長く一緒に暮らしていける魚といえるでしょう。
1.水槽
小さい魚ですので、1匹飼うのであれば横30cm、奥15cm、高15cm以上の水槽であれば十分な大きさを確保できます。その水槽に海底にあるような砂利を引いてやり、更にハオコゼが隠れることができるような岩をいくつか組んであげれば自然の環境により近づけることができます。
水槽の水を循環させて、フィルターやろ材などで不純物を吸着させて水質を保つろ過機も水槽が小さいのであれば小さいもので十分ですのでハオコゼの生育環境を整えてあげるために用意しておきましょう。
2.海水
最初は組んできた海水でいいですが飼っているうちに水も汚れますのでその時は人工的に海水を作ることのできる飼育用の塩を用意しておくといいでしょう。ハオコゼが住む海水は汽水域ですので塩分濃度は0.875%から1.75%ほどに調整した人工汽水を作ることができると望ましいです。
3.餌
下の項目で詳しく説明しますが釣ってきたばかりのハオコゼを飼育する場合は人工飼料になれていないので生餌を用意する必要があり、釣りに使用したマキエビやスジエビ、ヌマエビなどを用意しておきましょう。
ハオコゼの飼育の仕方
ハオコゼに適した水温は生息地域から考えてもは22度~28度までとされ、暖かすぎても冷たすぎてもハオコゼにとってはストレスになっていまいます。そのような場合は温度計やヒーターを併用してこの温度を保てるように調整します。
水替えと呼ばれる水槽の水を新しいものに替えてきれいにするお手入れの頻度は週に一度が最適です。水を一度に全部替えてしまうとそこに発生していた微生物も全ていなくなってしまい水槽の生態系が変わってしまう恐れがありますので、水槽中の3分の1程度を換えるようにし、汚れが溜まりやすい水槽の底をしっかり掃除しましょう。
ハオコゼの飼育の注意点
人に関しての注意点はうっかりハオコゼの毒のある背ビレに触れてしまうことがないように水槽の手入れなどをするときには細心の注意を払うことです。ハオコゼに関しては、いくら飼いやすいとはいっても自然の生き物ですから環境をよくしてやること(水温・水質・塩分濃度)には注意してあげましょう。
ハオコゼの餌
釣ってきたばかりのハオコゼに与える餌としてはイサザアミやスジエビ、ヌマエビ等の生き餌が適していますが、長く飼っていくことを考えると人工飼料も選択肢の一つとして持っておきたいところです。
生き餌
ハオコゼは肉食の魚ですのでイサザアミやスジエビ、ヌマエビ、冷凍赤虫、冷凍ミジンコなどを様子を見ながら与えてみましょう。おとなしい性格の魚ですのでピンセットなどでハオコゼの口のあたりに生き餌をそっと落としてあげると口を開けて食べる様子を観察することもできます。
一回に与えるエサの量はハオコゼの様子を見ながら決めるのがポイントで、ハオコゼが一度に食べきる分だけを与えるようにすると食べ残しがなく、水も汚れにくくなりますので水替えや掃除の頻度を減らすことができます。
人工飼料
人工飼料には様々なタイプがありますがハオコゼに与えるのに適しているのは沈下するタイプの粒餌やペレットタイプ、乾燥クリルやフリーズドライなどになり、ハオコゼの様子を観察しながら少量ずつ試してみるのがいいでしょう。
生き餌から人工飼料への切り替え方
ハオコゼを釣ってきて水槽に入れたり、ペットショップから買ってきて日が経っておらず、新しい環境に慣れていない段階では人工飼料は与えず、できれば活き餌を与えるのがいいです。ペットショップで買う場合は人工飼料に慣らされているのか事前にお店に確認するようにしましょう。
手間がかからず手に入れるのが簡単なのが人工飼料のメリットですから最終的に人工飼料に切り替えていければベストでしょう。水槽に慣れてきたと感じたら少量ずつ人工飼料を与えてみて食いつきや食べ残しなどをよく観察し少しずつ生き餌から人工飼料へ切り替えていきます。
ハオコゼのような毒のあるオコゼ
ハオコゼはカサゴ目ハオコゼ科に分類されているとお伝えしたようにオコゼの仲間ですが、オコゼ科にはハオコゼ以外にもいくつかのオコゼが分類されており、ハオコゼと同じように毒をもつオコゼがいます。
オニダルマオコゼ
まさにオニのような顔をしたオニダルマオコゼもハオコゼと同じく肉食性で、魚を待ち伏せして捕食し、大きいものだと人の顔ほどの大きさがあります。オニダルマオコゼも背ビレに太くて強いトゲの中にタンパク質由来の猛毒(ストナストキシン/stonustoxin)を持っておりこの毒性は刺毒魚の中でもかなり強いものです。
恐ろしいことにオニダルマオコゼ1匹の個体が体に持っている毒で大人4人を死に至らしめるのに十分だとも言われており、磯遊びや浅瀬で泳いでいる際に気づかずにオニダルマオコゼを踏んでしまい刺される事故が国内外問わず多くあります。
こちらにオニダルマオコゼについて詳しくまとまった記事がありますので興味のある方はご覧ください。
オニオコゼ
オニオコゼも体長30センチほどになり、オニダルマオコゼにように岩の様なごつごつした見た目をしていて、トサカのような背ビレにあるトゲに強い毒も持ってますがオニダルマオコゼほどの毒性はありません。
とはいっても強い毒ですのでハオコゼ、オニダルマオコゼ同様に取り扱いには十分気を付けましょう。高級魚として古くは西日本、今では関東でも人気の魚です。刺身、唐揚げ、椀物など「おこぜ料理」として確立されているほどです。
オニオコゼについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ハオコゼは危険だけど飼育するとかわいい!
小さくて背中に鋭い毒のあるトゲを持ち、釣り人たちからは嫌われてしまっているハオコゼでしたが、印象は変わりましたでしょうか?釣りあげて残念な気持ちになるかもしれませんが、味は絶品な上、ペットとしても魅力たっぷりなハオコゼを改めて見つめてみてはいかかでしょうか?