アブラハヤはどんな魚?
渓流釣りがお好きな釣り人の方には馴染み深いアブラハヤですが、その特性までもご存知でしょうか?外道などとも言われ、様々な地域で異名をもつ不人気な一面もありますが、実は知られていない美味しさや一面をご紹介します。
とっても身近な淡水魚
アブラハヤは河川や湧き水が流れ込む水路など、とても身近な場所でも見かける事がある淡水魚です。一昔前までは田畑に流れ込む用水路など街中でも見かける事が出来る程に身近に生息していましたが、現在では都市化が進むにつれて減少傾向にあります。
飼育も簡単な魚
一般的に渓流魚は飼育が難しいと言われていますが、アブラハヤは比較的大人しく飼育面でも難しくないのでペットとしてもおススメの魚です。水温や水質管理などの住環境だけはしっかりと整えてあげましょう!
実は食べられる?
泥臭いと言われる川魚の中でも、特にアブラハヤはヌメヌメしていて臭いがあり美味しくないと言われていることもありますが、しっかりと内臓をとって下処理を行うとあっさりと淡白な味わいで美味しく食べる事ができます。臭いの原因は食べている藻にあり、これが独特の臭いをしています。上流域の藻は水質が良く臭いがあまりないので、上流で採れるものの方が美味しいです。
初心者でも釣れる魚
アブラハヤはとても食に貪欲で、どんな種類の餌も積極的に食いついてくれます。テクニックなども要らず仕掛けもとてもシンプルで簡単なもので良いので、釣り初心者の方でも釣りが簡単に楽しめます!
アブラハヤの基礎知識
コイ目コイ科ウグイ亜科に属する日本在来の淡水魚です。ハヤ・ドロクソ・ニガザコ・ドロバエ・ヤマガオ・アブラケなど地方ごとに異名で呼ばれていたり、ヤマメなどを狙う渓流の釣り師から外道として嫌われてしまう一面もあります。
アブラハヤの生息地
日本では青森から福井県の日本海側、青森県から岡山県の太平洋側の本州のみに生息しています。低水温の山地の湖沼や、河川の上流域から中流域の流れが穏やかで枯葉が溜まっているような淵や淀みを好みます。
アブラハヤの生態
全長は15cm前後で細長い紡錘形でやや平べったい体をしています。全体的にウロコが小さく、体表にはぬめりがあります。この特徴は「油をぬったハヤ=アブラハヤ」と和名の由来になっています。メスの吻(口周辺)はノミのような形をしており、これは産卵の際に川底に卵を産み付ける際に川床に突っ込む習性がありとても役立ちます。アブラハヤと非常によく似た魚はタカハヤという種で、見分けが難しい魚として有名です。
アブラハヤの習性と食性
昼行性で警戒心がとても強いです。4月頃になると産卵期を迎え初夏の頃まで、メスは水深10cm~15cm程度の砂地の底に群れで産卵します。孵化した稚魚は群れになって浅い流れの穏やかな場所で過ごし、成長すると流れのある淀みなどに移動します。アブラハヤは雑食性でとても幅広く貪欲な食性をしています。住んでいる場所によって食性も様々で、水面に落ちた昆虫類やゲンゴロウなどの水生の昆虫、岩などに付着している藻類などを食べます。
アブラハヤの特徴とは
アブラハヤを見分ける事は出来ますか?アブラハヤとそっくりな見た目を持つ魚もいます。その生態をよく知る事で、釣りや飼育の際にも役立ちます。アブラハヤの特徴をよく見てみましょう!
体の模様
アブラハヤは目の後ろ辺りから尾ビレの近くまで体の中央部分に黒っぽい帯があります。個体や生息場所、魚の状態によって薄い暗色からはっきりとした暗色まで様々です。釣れた際にはじっくりと観察してみましょう!
タカハヤとの違い
- 体の黒い帯状の模様がある
- スマートな体型
- ウロコが小さく細かい
- 尾びれがくぼんでいる
- 尾柄(びべい/臀ビレの付け根から尾ビレまで)が細く、長い
タカハヤもアブラハヤと同じコイ科ウグイ亜科の淡水魚で、本州中部や近畿地方で生息地が重なっています。見た目がそっくりな魚ですが同じ河川に生息している場合はタカハヤが上流域、アブラハヤはそれよりも下流に住み分けている場合が多いです。見分けるポイントは、アブラハヤは体が細めで中心に暗色の帯が見られる事、タカハヤはウロコが荒めで全体的に暗色の斑点が見られる事などが挙げられます。
群れる特性
河川にはヤマメやカワムツ・アユなど様々な魚が生息していますが、大型のヤマメなどにとってはアブラハヤは捕食魚となってしまう為、淵部分から追いやられてしまい、結果的に河岸に群れている事が多くあります。産卵期になると積極的に集団になり、川底に産卵します。孵化した稚魚も、成長するまで集団を作り流れの穏やかな場所で成長します。
アブラハヤの飼育について
スマートで美しい体を持つアブラハヤは、清流のイメージピッタリです。適切な環境がアブラハヤのストレスを減らし、長生きの秘訣になります。ポイントをまとめますので参考にしてみて下さい。
飼育は簡単?
アブラハヤは大人しい性格をしており、比較的飼育がしやすい魚です。しかし、水質が悪くなると病気にかかりやすく、高温に弱い点などもあるため、管理が面倒と思われる方には少し難しいかもしれません。渓流魚らしいスレンダーな体つきで、清流をイメージしたアクアリウムなどにはしっくりと馴染み、美しい日本のイメージを再現することができます。
飼育に必要なアイテム
- 90cm以上の少し大きめの水槽
- 水槽のふた
- 上部フィルター
- 底砂や砂利
- 流木や石
アブラハヤの全長は15cm程で、よく泳ぎまわる習性があるので小さい水槽はアブラハヤにとって強いストレスになります。より自然環境に近づけてあげる事が長生きのコツなので、川底のような底砂を敷き、流木や石など身を隠す隠れ家を用意してあげましょう!水槽内に流れを作ってあげるとより丈夫に成長します。跳ねる事がよくあるので、飛び出し防止のためにふたを用意してください。
おすすめ水槽
めんどり加工が美しく、透明感が魅力的な水槽でアクアリウムの美しさを引き立てます。ろ過性能の高い外部フィルターもセットになっているので、おススメです。
おすすめ道具
ろ過能力に優れている天然鉱石の底砂です。ミネラル豊富で水質を安定させてくれます。繁殖したバクテリアがアンモニアなどの有害物質を分解してくれるので、アブラハヤの健康を守ります。天然砂は魚をとても美しく見せてくれます。
アブラハヤの飼育の注意点
アブラハヤの平均寿命は概ね5年とされています。適切な飼育環境下ではそれ以上の長生きの個体の報告もあります!しっかりとアブラハヤが住みやすい環境を整えて、長く付き合っていけるようにしましょう。
水質悪化は病気の原因
魚の糞や餌の食べ残しなどが原因で水質はどんどん悪化していきます。魚の糞などはそのまま放置しているとアンモニアという非常に強い毒性のある物質に変化します。水質が悪化してくと、魚に非常に強いストレスがかかり免疫が下がり病気にかかりやすい状態になってしまい、細菌などに感染しやすくなります。
水温に注意しよう
アブラハヤは高水温に非常に弱い魚です。夏場で水温が30℃に達する日が続くと衰弱し、死んでしまう事があり35℃にもなると数時間で死に至ってしまいます。特に夏場は水温管理に気を付けてあげましょう!水温の目安は20℃前後です。
エサが飼育のポイント
自然界で生きているアブラハヤは雑食性で底生生物や藻などを食べていますが、飼育する場合はなるべく人口の餌に慣れてもらう必要があります。人口餌は川魚用のエサで十分ですが、市販されているアカムシがアブラハヤの好物なので少し混ぜてあげるとはやく慣れてくれます。エサは少しずつ投入し、アブラハヤが全部食べ切ったら追加を投入します。こうする事でエサによる水質悪化を予防します。水中で食べきれずに底砂に落ちてしまうのは与えすぎの目安です。
アブラハヤの料理を紹介
外道などと言われ釣り人から嫌われがちなアブラハヤを侮ってはいけません。アブラハヤも川魚の美味しさを十分に秘めている魅力的な魚です。釣れた時は是非美味しく調理して見て下さい!
アブラハヤは食べられる
和名の由来にもなっている独特のぬめりや川魚特有の苦みなどで、美味しくないなどといわれているアブラハヤは下処理をきちんと行えば他の川魚と比較しても劣らない美味しさを秘めている魚です。釣って食べたい!という場合のコツは、水が綺麗で藻があまり生えていない場所に生息しているアブラハヤがおススメです。藻を主食にしているアブラハヤは独特の臭みが強いです。
アブラハヤの料理
骨ごとしっかり食べられるように丸ごと揚げたり、川魚の臭みが気になる方は南蛮漬けなどがおススメです。淡白な甘みがあり、丸ごと食べるので栄養も抜群です!
から揚げ
- ウロコを取る
- 頭を落とす(小さい場合はそのままもおススメ)
- 腹を割いて内臓を取り綺麗に洗う
- 水気をキッチンペーパーでしっかるとる
- 酒・醤油・みりん・おろしにんにく・おろし生姜のタレに15~30分漬けておく
- 片栗粉をまぶす
- 160℃の弱火で揚げ、気泡が小さくなったら取り出す ※少し冷ます
- 180℃の中火できつね色になるまで揚げる
二度揚げすると骨も気にならず、外はサクッと中はふんわりと甘く美味しくなります!クセがなく、ビールのおつまみや子供たちにもおススメです!
南蛮漬
- 砂糖・塩・酢・醤油・唐辛子などで漬けダレを作る
- 玉ねぎをスライスし漬けダレに漬け込む
- アブラハヤの内臓をとりしっかりと洗う
- 水気をキッチンペーパーでしっかりとる
- 全体に小麦粉を薄くまぶす
- 油で揚げ熱いうちに漬けダレに漬け込む
- 粗熱が取れたら冷蔵庫で1時間以上寝かせる
油で揚げ、お酢の効果もあり骨までしっかり柔らかく丸ごと食べられるおススメ料理です。日持ちも良く、沢山釣れた時には南蛮漬けにしておくと楽ちんです!漬け込み野菜は他の野菜でもokなので、彩や薬味などを添えると見た目も抜群な一品に早変わりします。
アブラハヤの味は?
骨が柔らかく、白身で淡白な味わいです。揚げ物にするとふんわりとしたクセのない白身の甘さが引き立ちとても美味しいのでおススメです。川魚の繊細な味わいを楽しむ事ができます!
アブラハヤ料理のポイント