ギギってどんな魚?
ギギはナマズに姿形がよく似ていて、ウロコの無いつるりとした身体に横平べったい愛嬌のある顔が特徴です。また、魚では珍しく、音を出して鳴いたり、毒を持つことことも知られています。そんなギギの特徴についてまとめます。
ナマズに似てるけど
ギギは生物学的にはナマズ目ギギ科に分類される食用の淡水魚です。同じナマズ目なだけあって、ナマズに似ていることも納得です。両者の違いとして、ギギはナマズよりも全体的にほっそりしており、ヒゲの数が多く、発達した背びれを持っているのが特徴です。
ナマズの種類はとても多い
前述の通り、ギギはナマズ目のギギ科の魚を指しますが、ナマズ目の魚は世界に2,867種もの種類がいると言われています。そのうちのギギ上科は551種、更にその中のギギ科は170種で、多くはアフリカとアジアに分布しています。日本にいるナマズは11種で、そのうちギギ科の魚は4種です。
魚なのに鳴く?
ギギは、腹びれにあるトゲと骨をこすり合わせて「ギュー」「ギー」「ギーギー」と低い音を鳴らすことから、ギギという名前になったという説があります。岡山県や広島県ではギギウとも呼ばれています。ギギとよく似ているナマズは鳴かないので、このことからもナマズと区別できます。
毒針を持っている
ギギとナマズの大きな違いとして、ナマズは触れることができ、ギギは触れるには注意が必要であるという点があります。ギギは背びれと胸びれに毒トゲを持っており、刺されると激しい痛みが数時間~数日続く可能性があります。できるだけ触れないように注意をしましょう。
ギギの基礎知識
ナマズによく似ているギギについて、生息地や分布、ギギの種類、生態など基本的なことを詳しく紹介します。ギギを釣る場所や時間、多くの魚の中からギギを判別する方法として参考にしてください。
ギギの生息地と分布
ギギは本州の新潟県阿賀野川より以南、四国、九州東部に分布し、淡水域、特に湖や沼、川岸近くの岩場などを好み、生息しています。また、ギギの仲間のコウライギギなどは朝鮮半島の西岸や中国、ベトナム北部などに分布しています。
日本にいるギギの種類
日本にいるギギ科の魚は主に4種類で、ギギ、ギバチ、アリアケギバチ、ネコギギです。いずれもひげを持ち、雑食であることに変わり有りませんが、それぞれ体長や生息地に少しずつ違いがあります。
細かく見てみると、ギバチは神奈川県と富山県以北の本州に、アリアケギバチは九州西部と長崎県壱岐に、ネコギギは愛知県や岐阜県、三重県の伊勢湾・三河湾への流入河川に生息しています。幼魚は農業用水の水路にいることもあります。
ギギの生態を紹介
ギギはナマズ目ギギ科の食用魚です。体長は約 2,30cmほどで、やや細長く、頭部は円筒形、背びれが発達しています。口はほぼ水平に開き、愛嬌のある顔をしています。口ひげは 8本で、鱗はなくツルツルとしています。色は黒褐色か黄褐色ですが、弱ってくるとより黄色になります。暗灰褐色の斑点もあります。
ギギの習性と食性
ギギは夜行性で、昼間は石や岩の下や石垣の隙間、葦の間や倒木の下、水草の後ろなど、障害物に身を隠しています。夜になると活発になり、昆虫の幼虫や小魚、エビ、岩などに付着した藻類を好んで食べる雑食かつフィッシュイーターの魚です。
春から初夏に産卵期を迎え、1,000~2,000粒の卵を産みます。ネコギギの卵は、21~24度の水温下で、60~80時間で孵化した例があります。稚魚は3年ほどかけて30cm近くの成魚となります。
ギギの特徴を紹介
それでは、もう少し突っ込んで、ナマズとの違いや現時点で進んでいる研究、食べ方などについて紹介します。ギギはペットとして飼育する方もいますが、本来は食用魚のため美味しく食べることもでき、多様な調理法があります。
ナマズとの違いは?
ギギとナマズは同じナマズ目、ともに雑食です。大きな違いは、ひげの数と背びれの形状があげられます。ギギのひげは8本、ナマズのひげは4本であり、ナマズの背びれは退化しているのに対し、ギギの背びれは発達しており、加えて毒まで持っています。また、ギギの方が魚体が全体的にほっそりしており、黄色味がかっているのも特徴です。
実は謎の多い魚
しかし、ギギは専門機関による研究が余り進んでおらず、その生態や毒についてまだまだ不明点が多い魚です。近年、絶滅危惧種に指定を受けたことにより、稚魚の人工飼育の研究が始まりつつありますが、環境保全、持続可能な社会作りなどの一面からも、これから研究が進むことが期待されます。
食べると美味しい!
ギギは自宅で飼われる飼育魚でもありますが、本来は白身の食用魚です。食用としてスーパーなど一般家庭に流通することは今の段階ではありませんが、釣りで獲れたときには、蒲焼きや煮物、フライ、天ぷら、干物、お味噌汁の具など、多様な調理法でおいしく食べることができます。また皮には独特の風味があります。
ギギは飼育してもたのしい
ギギはやや地味めではありますが、きれいな姿かたちとユーモラスな顔、比較的扱いやすいという点で、飼育している方も少なくない魚です。ギギの飼育方法や必要な装備や準備、注意点などを確認しましょう。
ギギの飼育方法
ギギは肉食のため攻撃性があります。そのため、同じくらいのサイズの魚がいるとウロコを傷つけたり、小魚の場合は食べてしまう場合もあります。混泳はなるべく避け、ギギ用の水槽を作ることをおすすめします。魚としては寿命が長く、10年以上生きます。
ギギの飼育の準備
ギギを飼い始めるときには、水槽・フィルター・カルキ抜きが必要です。30cm近くまで大きくなる可能性があるので、60~120cmの大きな水槽が必要です。最初のうちに底砂や水草、流木を配置します。夜間は特に動き回ることが多いので、水槽内の機材設置には気を付けてください。
機材等の設置が終わったら、カルキ抜きした水を入れ、フィルターを設置し、ギギを入れずに水だけを2、3日循環させます。ギギは酸欠に弱いため、新鮮な空気が常に巡るよう、ろ過能力の高いフィルターが必要です。ギギの飼育に最適な水質は、水温20から25度、PH6.0から8.0となっています。水質が安定したらギギを水槽に入れます。
飼育の注意点
その獰猛さから、途中で飼いきれないと思っても、適当なところに放流せず、放流するとしても生態系を守ために釣った場所に放すようにします。生き物を飼ことには責任が伴うので、一度決めたら責任をもって最後まで面倒を見るのがマナーです。
また、水替えなどメンテナンスを行う際には、毒トゲが刺さらないようにゴム手袋などを着用をし、備えます。ヌルヌルしていてわかりにくいですが、万が一刺されてしまった場合には、冷静に応急処置を行ったり、病院に行くようにしましょう。
飼育できる魚といえばプレコです。こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
釣ったギギを料理しよう
今では個体数も減って絶滅危惧種とされているギギは一般家庭に流通することもなく、あまり口にすることができません。だけれども淡泊な白身魚であるギギはクセも少なく、食べやすい魚です。おすすめの料理や調理方法、注意する点などについて見てみましょう。
ギギ料理を紹介
ギギは煮る・焼く・揚げるなど様々な調理に向いています。お味噌汁の具にするとうま味のあるダシが取れるためおすすめですし、干物にしても美味しい魚です。白身魚のギギは淡泊であっさりとした上品な味わいで、皮に独特の風味があります。琵琶湖のあたりでは蒲焼きがよく食べられています。
ギギの調理方法
ヒレ・エラを取り、腹に切れ目を入れ内臓を取ります。細菌が含まれていることもあるので流水でよく洗い流します。頭を切り落とし、骨に沿って包丁を入れ3枚おろしにします。焼いてしょう油・みりん・酒・砂糖を煮立てて絡め、蒲焼きの出来上がりです。また、調味料の割合を少し変え、水と生姜で煮ると煮付けとしても美味しく食べられます。
食べる時の注意点
忘れてはいけないのは、ギギはヒレに毒トゲを持っているということです。さばく時には、キッチンばさみなどで予め毒トゲを取り除く必要があります。この時、軍手やゴム手袋などをはめて行うとより安全性が増します。
ギギの毒トゲの対処方法を紹介
ギギは愛嬌のある顔に似合わず、毒を持つ魚です。そのため扱いには注意が必要です。刺されないためにはどうしたらよいのか、刺されたときの処置方法、処置のためのおすすめアイテムについて紹介します。