カラス貝ってどんな貝?
チヌ(黒鯛)釣りではお馴染みですが、食材としてイタリアンやフレンチなどでも使用されるムール貝と混同されがちです。一見分かりにくいように思えますが、両者の違いが分かるよう、できるだけポイントを絞ってご紹介します。
カラス貝の生態
地方を中心に生息が確認されている、イシガイ科の二枚貝です。弱い光沢のある黒褐色の殻がまるでカラスのように見えることから、その名が付けられました。貝殻そのものは薄いですが外形が厚く膨らんでいて、15cmから30cmを超える大型の個体も存在します。幼生を産んで繁殖していきます。
カラス貝の生息域は淡水
湖や池や沼など、淡水を生息域としています。緩やかな水流と綺麗な水質を好み、平野部の湖や沼、大河川の下流あたりの砂地や泥底に生息しています。日本では主に北海道、本州、九州、海外ではアジア大陸の北部で見られます。
カラス貝の取れる時期
晩秋から初春までが繁殖期なので、栄養を溜め込んだ晩秋から冬頃が最適です。繁殖を終えると身が痩せてしまいます。また、6月頃から貝毒の原因となるプランクトンが大量に発生することがあり、注意が必要です。
カラス貝とムール貝の違いは?
全国の海岸や岩場などに密集してくっついている様子を目撃されることもあり、淡水に生息するという点に疑問が浮かんだ人もいるのではないでしょうか。ここでは、両者の違いや混同されがちな理由などをご説明します。
カラス貝とムール貝の違い
完結に言ってしまえば、淡水と海水どちらに生息しているかによって変わってきます。淡水に生息しているものはカラス貝そのものを指しますが、海水にいるものはミドリイガイやエゾイガイなど他のイガイ科の貝も含んでおり、総合してムール貝と呼ばれています。
そもそもムール貝とは、特定の貝を指した呼称ではないのです。ムール貝という貝そのものは存在していません。ちなみに釣りの餌として使用されるものは、詳細に言うとムラサキイガイという貝を指しています。
いつからかカラス貝とムール貝は混同されて呼ばれている
いつからかまとめてムール貝と呼ぶようになった経緯もあり、混同されやすくなったようです。厳密に言えば違いますので、生息地が淡水か海水によって判断すると簡単で分かりやすいです。また淡水に生息するものは貝毒を持っていることがあり、食すと麻痺や下痢症状を起こす可能性があるので注意が必要です。