燻製を定期的に作る方、本格的な燻製を作りたい方など、中・上級者におすすめですが、もう一つ条件があります。コンパネを使った燻製器を作るには多少の技術が必要です。ですから、設計もある程度自身でできるようなDIYが得意、または興味があってチャレンジしたい方におすすめです。
コンパネで作るメリット
コンパネで作る燻製器の最大のメリットは、大きさが自由にできることです。コンパクトなものはもちろん、大きなものまで、好きなサイズを自由に設計することができます。また、扉の位置や大きさなども自身の燻製スタイルに合わせて設計できます。
コンパネで作るデメリット
ある程度自身で設計ができるくらいのDIYの技術が必要です。大きさは90センチ×180センチのコンパネを部材ごとにカットして、ビスや金具で組み立てますので誰にでもできるというものではありません。また、コンパネ1枚の値段はおよそ1,500円から2,000円くらいです。他の部品と合わせて、コストもそれなりにかかってきます。
必要なもの
- コンパネ、ビス、網、蝶番、留め金具、アルミトレイ
コンパネ1枚で最大およそ幅45センチ×奥行き30センチ×高さ90センチの燻製器が作れます。組み立てはビスで行いますが、強度を増すために必要に応じて木工用ボンドやジョイント金具などを使用することも可能です。留め金具は扉を閉めたときの固定に使用します。材料はすべてホームセンターでそろいます。
燻製器の作り方①設計を考える
まずはメモ程度でもよいので設計図を書きます。難しく考える必要はなく、希望の大きさの燻製器を立方体の箱として考えます。箱の側面の一面は扉として使用します。箱の中に網を設置する場所、個数を決めます。
燻製器の作り方②ホームセンターでカット
箱、燻製器の大きさの大きさが決まれば、箱の部材に合わせてコンパネをカットします。サイズを指定すれば、コンパネを購入したホームセンターでカットして貰える場合があります。持って帰る時にも便利なので、お店の方に問い合わせてみましょう。
燻製器の作り方③組み立て
カットされたコンパネを箱型に組み立てます。ビスを使ってコンパネを組み立てていきますが、強度を増すために木工用ボンドやジョイント金具を取り付けてもかまいません。側面の一面は扉として蝶番で開くように固定し、留め金具を取り付けます。
燻製器の作り方④網の設置
燻製器の側面の内側に、網を取り付けるための木を取り付けます。両側に同じ高さで網が水平になるようにします。網を支える木は使う可能性を考えて数ヶ所取り付けておきましょう。そうすることで食材の種類や大きさ、吊るす時など、その時の状況に応じて網の位置、枚数を変えられます。
燻製器の作り方⑤熱源の設置
燻製器の底の部分にコンロなどの熱源を設置します。熱源の上にアルミトレイを置き、スモークチップを熱します。熱源は炎の上がらない電気コンロのようなものが最適です。ガスコンロや炭を使う場合はコンパネが焦げないように注意が必要です。また、燻製器の底に空気穴が必要となります。アルミトレイの代わりにフライパンなどでもかまいません。
燻製器を自作!レンガ編
見た目にも美しいレンガづくりの燻製器。燻製器をレンガで自作するには、レンガを扱うかなりの技術が必要です。しかし、ここではモルタルなどで固定せず、積み重ねるだけの簡単な燻製器を紹介します。レンガの施工の技術はほとんど必要ありません。
こんな人におすすめ
燻製器の見た目にもこだわる方におすすめです。なんといってもレンガの燻製器は趣きがあって見た目に美しいです。レンガはホームセンターで簡単に購入できます。家族やグループで作ることも楽しいです。また、モルタルなどレンガを固定する技術のある方なら、大きくて本格的な燻製器を作ることも可能です。こちらは上級者向けとなります。
レンガで作るメリット
見た目に美しく、本格的な燻製が作れるところです。レンガの色や風合いが、おしゃれで飽きのこないものです。また、火が燃え移る心配がないので、熱源もさまざまなものが使えます。燃焼時間が長時間かかる製法の燻製でも、常に監視する必要がありません。
レンガで作るデメリット
デメリットは移動が困難ということです。ここで紹介する作り方は、レンガを積み上げるだけなので、一度崩せば移動も収納も可能なのですが、レンガはかなりの重さがありますし、手間もかかります。またレンガをモルタルで固めた燻製器では動かすことはできません。レンガ一つが100円以上しますので、それなりにコストもかかります。
必要なもの
- レンガ、網、板、アルミトレイ
レンガは色々な種類がありますが、燻製器を作るのであれば、耐火煉瓦でもいいのですが、普通の赤レンガでも十分です。レンガの数は燻製器の大きさで決まります。板は上部を塞ぐ蓋の役目をします。これも燻製器の大きに合わせてカットします。網は燻製器の大きさよりも少し大きめのものを用意します。
燻製器の作り方①燻製器の大きさ、網の位置を決める
細かい設計図は必要がありませんが、最初に燻製器の大まかな大きさを決めておきます。大きさは材料の手配にも関わってきます。次に網の位置を決めておきます。レンガを組み上げる時に網も設置するので事前に確認しておきます。
燻製器の作り方②レンガを積み上げる:火口を作る
一番下に床面となるレンガを敷き詰めます。その上に四角形に積んでいくのですが、2~3段までは火口となる面を除き3辺を囲っていきます。レンガを積み上げる時は互い違いにします。こうすることで強度が増し、倒れにくくなります。半分の大きさのレンガが必要な時がありますが、レンガはタガネとハンマーで好みの大きさにカットできます。
燻製器の作り方③レンガを積み上げる:網を設置する
2~3段目の上に網を載せます。その上に四角形の4辺すべてを組み上げます。網が火口部分の支柱の役目も果たします。レンガを数段積み重ねた後、最後に上部を板で蓋をします。網の枚数を増やしてもかまいませんが、レンガはモルタルなどで固定していません。バランスが崩れない高さにしましょう。
燻製器の作り方④火口を塞ぐ
火口から底部分に熱源を設置、アルミトレイをのせ、スモークチップを置きます。点火した後、火口の外側をレンガで覆って塞ぎます。火口から燃料やスモークチップの継ぎ足しをするため、取り外しもしますので、レンガは軽く重ねる程度でかまいません。
自作燻製器が完成!次に必要なものは?
燻製器が出来上がったらいよいよ燻製を作ります。ここでは燻製を作るのに必要な煙を出す燻煙材と熱源となるコンロ、燻製の管理に便利な温度計を紹介します。どのアイテムも、出来上がりを左右する重要なものです。いろいろ試して自身にあったものを探しましょう。
燻煙材
燻製を作る時の煙の出し方には、大きく分けて2種類あります。木を粉状にして固めたスモークウッドにバーナーなどで直接火をつけて煙を出す方法と、木を細かく砕いたスモークチップをコンロなどで加熱して煙を出す方法です。またそれらにプラスして香り付けをするピートスモークパウダーがあります。
ソト(SOTO):スモークチップスブレンド
スモークチップの原料にはサクラやヒッコリーなどがよく使われますが、「ソト:スモークチップブレンド」は数種類の新鮮な広葉樹の国産原木をブレンドしています。ですから、どのような食材にも合い、香りも豊かで、失敗も少なくなります。このスモークチップをベースにサクラをプラス、ヒッコリーをプラスなど、個性を出して楽しめます。
進誠産業:スモークウッド-サクラ
スモークウッドの原料で一番人気があるのがサクラです。香りが強く、癖のある豚肉やマトン、魚などにおすすめです。「進誠産業スモークウッド-サクラ」は容量220グラム、およそ4時間燃焼します。スモークウッドをカットして大きさを変えることで燃焼時間を調整します。このスモークウッドを2時間燃焼させたい場合は半分にカットします。
ソト(SOTO):いぶし処-ピートスモークパウダー
ピートはスコットランドのウイスキーの原料を燻す燃料として使われていて、ウイスキーの香り付けをするものです。「ソト:いぶし処-ピートスモークパウダー」をスモークチップに混ぜたり、スモークウッドにのせて燻すことにより、燻製がより豊かな香りと深みのある味わいになります。使用する分量で好みの味付けを楽しめます。
熱源
スモークチップを使う際には、コンロなどの熱源が必要です。ガスコンロ、カセットコンロのように炎の上がるものと、電熱器のように炎は上がらないが電源が必要なものがあります。燻製器が燃えやすい、燃えにくいなどの特徴や燻製スタイルによって使い分けましょう。
イワタニ:カセットフー達人スリム
コンパネやレンガなど、燻製器の中に入れる熱源としておすすめなカセットコンロが「イワタニ:カセットフー達人スリム」です。高さ74ミリメートルという超薄型ですので、中に設置するスペースが少なくてすみます。連続燃焼時間はおよそ70分と表記されていますが、弱火、中火ですとさらに燃焼時間が長くなります。
イズミ:電気コンロ
電気コンロは炎が出ないのでダンボールの燻製器でも使えます。また、電源さえ確保できれば燃焼時間自由です。「イズミ:電気コンロ」はヒーターの強さを3段階で調整できますし、付属のゴトクの高さも調整できます。好みの温度でスモークチップを燻すことができます。またコンパクト設計なのも魅力です。
新富士バーナー:パワートーチ
スモークウッドに火をつけるときに便利なのがトーチバーナーです。数秒でスモークウッドに火がつきます。「新富士バーナー:パワートーチ」の燃料は、カセットコンロなどで使われているカセットボンベ(CB缶)ですので、ホームセンターやスーパーなどで入手も簡単です。
温度計
燻製づくりで多い失敗の原因は温度管理です。燻す煙も重要ですが、煙の温度、燻製器の中の温度が素材にさまざまな影響を及ぼします。特に50℃~80℃の温燻、30℃以下の冷燻といわれるような低温での燻製づくりには、温度計があれば失敗も少なくなります。
ソト(SOTO):スモーカー用温度計
普通の温度計や調理用の温度計でもいいのですが、燻製器用温度計があればより便利です。「ソト:スモーカー用温度計」はその名の通り、燻製づくりに適した温度計です。温度計のゲージに80℃~120℃の熱燻、50℃~80℃の温燻の表示があり、一目で温度管理ができます。また、防水加工ですので水洗いもでき常に清潔を保てます。
燻製におすすめの食材
本来燻製は食材を保存するためのものでしたが、今は風味や味付けといった意味が強いです。燻製にする食材も特に制限はなく、いろいろなものでチャレンジして楽しめます。ここでは下ごしらえが簡単で定番の食材を紹介します。
チーズ
チーズの燻製は作ったことがなくても食べたことのある方は多いです。普段食べているチーズが燻製にすることで芳醇な香りと味でグレードアップします。作り方も簡単で下ごしらえはいりません。網にくっつくのを防ぐためクッキングシートを敷き、その上にチーズをのせるだけです。チーズが溶けないように気をつけながら弱火で燻していきます。
たまご
チーズと並んで定番の食材です。たまごの茹で加減、下準備のレシピなど、意外と奥が深いのもたまごの燻製の魅力です。簡単な方法では、ゆでたまごをめんつゆに2時間漬け込み、10分ほど燻煙します。ゆでたまごの硬さ、めんつゆの種類、燻煙の時間はお好みです。手軽に作れて、おいしいたまごの燻製が味わえます。
ベーコン
燻製づくりに慣れてきたらベーコンに挑戦してみましょう。ベーコンもレシピはさまざま。手がかかる分、手つくりベーコンの味は格別です。簡単に紹介すると、豚の肩ロースを塩、砂糖などを入れたソミュール液に数日漬け込みます。その後水で塩抜き、乾燥させて3時間ほどゆっくり燻煙します。燻煙後、一晩寝かせた方がおいしくいただけます。
ソーセージ
お子様のおやつにも、おつまみとしてもおいしいソーセージの燻製です。ソーセージをそのまま強火から中火で10分ほど燻煙します。冷えたソーセージですと水滴が表面につきますので常温に戻して水分をふき取っておきます。また、ソーセージの脂が落ちて焦げるのを防ぐため、スモークチップ、スモークウッドの上にアルミホイルをのせておきます。
ししゃも
魚の燻製は下準備が面倒という方におすすめなのがししゃもの燻製です。買ってきたししゃもの表面の水分をキッチンペーパーなどでよくふき取り、中火でおよそ20分燻煙します。ポイントは水分を十分にふき取ること。これさえできれば旨みが凝縮し、香り豊かなししゃもの燻製が味わえます。
サラダチキン
サラダチキンを使って、手軽にできるスモークチキンを作ります。すでに味付けがされているので、表面の水分をキッチンペーパーなどでよくふき取り、3時間ほどゆっくり燻煙します。脂が落ちて焦げるのを防ぐため、スモークチップ、スモークウッドの上にアルミホイルをのせます。低カロリーでヘルシースモークチキンを作ることができます。
ミニトマト
燻製にすると意外においしい食材もたくさんあります。トマトもその一つ。よく洗ったミニトマトの表面の水分をよくふいて10分ほど燻煙します。ミニトマトの甘みが増し、さらに燻製の香ばしさがトマトの味を奥深いものにしてくれます。野菜や果物の中には、他にも燻製に適した食材があります。いろいろ試してみるのも楽しいものです。
しょうゆ
燻製上級者の間では、定番となっているしょうゆの燻製です。作り方は簡単で普通のしょうゆをアルミトレイなどに入れ20分ほど燻煙するだけです。しょうゆに燻製の香ばしい香りが移り、何をつけても、ほのかに燻製の味が楽しめます。この燻煙したしょうゆを使ったたまごかけご飯なども、一味違ったおいしさが味わえます。
燻製器を自作してスモーク料理を楽しもう
意外と簡単に作れる燻製器。下準備なしでキャンプなどでも手軽に味わえるスモーク料理もたくさんあります。さらにグレードを上げて、燻煙材の種類、食材のチョイス、食材の下準備と楽しみ方は無限です。まだまだ奥の深い燻製ですが、燻製器があればいつでもチャレンジすることができます。自作の燻製器で燻製ライフを満喫しましょう。