カブトガニの血液は人類を救うのか?青い血に秘められた効果とその研究工場に迫る!

カブトガニは医療の現場で役に立つ、神秘的な青い血液を持ちます。有益で貴重な血液であるがゆえに、乱獲されている事実をご存知でしょうか。カブトガニの血液採取工場のあまりにもおぞましい実態、貴重である理由、そして、絶滅の危機にさらされるカブトガニを救う最新科学を紹介します。

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アウトドア一家に生まれ、子供の頃からバーベキュー、キャンプ、釣りに親しむ。ついつい、道具も増えがちですが、子供も生まれたので、おしゃれにお手軽に自作する趣味も増えました。ランタンを見るとついつい手が伸びてしまいます。いきものがとにかく好き。小学校の頃はいきものががりでした。

生きる化石カブトガニ

カブトガニの祖先は、今から5億年程前の古生代カンブリア紀に生まれ、化石でおなじみの三葉虫とよく似た動物だったと考えられています。2億5000年前からは祖先とほとんど変わらない姿をしていることから、生きる化石とも呼ばれています。

太古から生息地や生息域が変わらない為とされており、生きる為に考え抜かれた究極の生き物であるとも言え、太古の生物を知る上でとても貴重な研究対象とされています。決して、進化から取り残されたわけではありません。

カブトガニは実はカニではない

カニと呼ばれていますが、実はクモの仲間に近いとされています。尻尾のトゲトゲは、攻撃するためについているわけではなく、ひっくり返ってしまったときに起き上がる為についているものです。外見こそはプレデターやエイリアンなどと言う人もいますが、好物はゴカイやアサリと、なんとも見た目とはかけ離れた平和で愛すべき生物なのです。

太古からの生きる知恵が詰まった生物

カブトガニは我々の命を守る青い血液を持っているだけではなく、その生態にも生きるための知恵がたくさん備わっています。産卵期は7月から8月の大潮ですが、大潮に現れた海底に卵を産んでおくと干潟で太陽に卵は暖められ早く孵化ができ、卵は砂の中なので、波や外敵からも守られるためです。

カブトガニの血はなぜ青い?

血液を赤くするヘモグロビン

ヒトや他の動物の血の多くが赤いのは血液に含まれる赤血球の成分ヘモグロビンによるものです。ヘモグロビンは色素を持ったタンパク質です。色素の中心に鉄があり,酸素を運ぶために酸化すると赤くなるため、赤いのです。

血液を青くするヘモシアニン  

なぜカブトガニの血液は青いのでしょう。ヒトではヘモグロビンでしたが、ヘモシアニンという青い色素を持ったタンパク質を含んでいるためです。ヘモシアニンの中心には銅が含まれており、銅は酸素を含むと青くなるため、血液は青くなります。その他に血液が青い仲間は、イカやタコなどが知られています。

緑や透明の血を持つ生き物がいる?!

ホヤの血液はなんと、緑色です。血液にバナジウムを含む緑色のヘモバナジウムを持つためですが、鉄や銅といった酸素を運ぶ呼吸色素ではない事が近年の研究により分かっています。ジャノメコオリウオという魚の血液はなんと、無色透明です。体液に酸素を運ぶための呼吸色素を持たなくても生きていける高濃度酸素の海域に生息しているためとされています。

乱獲される青い血のカブトガニ

カブトガニの青い血が医療で注目

カブトガニの医学的研究を最初に始めたのは野口英世博士です。1903年にカブトガニの青い血液を研究中に細胞を活性化させることで、有害な細菌などを体内で増殖するのを防止するレクチンという物質を発見しました。その後、様々な研究が世界で行われてきました。

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