いとこ同士は結婚できるのか?
物心ついた頃から一緒に人生を過ごしてきた、気心知れたいとこ。幼馴染のような相手に、いつの間にか恋をして、その思いが愛へと膨らむこともあります。血の繋がりが濃い間柄での婚姻は、法律上認められていませんが、いとこ同士のカップルの場合ではどうなのでしょうか。
法律で許されていないのは何親等まで?
家族関係を法律的に見た時に、血の繋がりがある家族と、養子縁組などで法律上認められた家族2パターンに分けられます。結婚が出来ないのは、三親等内の血の繋がりがある家族となっています。つまり、血の繋がった兄弟・姉妹や姪っ子・甥っ子、叔父・叔母との結婚は認められていません。
いとこは自分から見て何親等?
自分の親兄弟は一親等、祖父母が二親等、叔父叔母が三親等、そしていとこは四親等となります。法律で婚姻が認められていないのは三親等内まで。(兄弟でも、養子縁組などで家族となった場合は結婚出来ます。)
いとこ婚が多い国がある
海外では国で禁止していたり、州ごとに禁止している所などもありますが、サウジアラビアのようにむしろ良いとされている国もあります。一部報道ではイギリス在住のパキスタン人は、約半数がいとこ同士で結婚をしていると調査結果が出ています。
近親婚ってことになるの?
親同士が兄弟ということで、割と近い親族にあたる気がしますね。海外では結婚が禁止されている地域もありますが、いとこ同士のカップルの場合、いわゆる近親婚というものに当たるのでしょうか?
近親婚の定義は決まっていない
近親婚を親兄弟の一親等や、伯父伯母と姪甥の二親等あたる人同士の結婚を指す場合もありますし、四親等の結婚に対しても使う場合もあります。地域や宗教などによって、定義が違ってくるのではっきりとは決まっていないようです。
皇族や貴族にも多かった
実は古くから世界中の皇族や貴族など、一国の重大な役割を担う人々の中にも、いとこ同士で結ばれるカップルは多く存在していました。日本の皇族や貴族、武家などの歴史を見ても、珍しい婚姻形態ではなかったという事が分かります。
日本の皇族
例えば教科書によく出てきた後白河天皇や聖徳太子などの皇族を始め、20名以上がいとこを伴侶として迎えている事例が確認されています。今でこそ血縁が近しく無い方々との結婚が進んでいますが、昔の日本の皇族は、いとこと結ばれる事がむしろ多かったのです。
日本の貴族や武将
大伴家持などの貴族、北条貞時などの武将などもいとこ婚をしています。その時代は、男性が何人もの女性を妻として召し抱える事が可能でしたが、その中でもいとこにあたる女性は、彼らの正室として迎える事も多かったのです。
その他アジアの例
以前の中国を治めていた前漢の武帝を始め、様々な皇帝がいとことの婚姻を結んでいます。その他以前の朝鮮を治めていた新羅・高麗の王なども。タイでも事例が見られ、現代で言えばタイの前国王ラーマ9世と、現国王ラーマ10世もいとこと婚姻を結んでいます。
ヨーロッパやその他の例
ローマ皇帝やイギリス君、かの有名なルイ13世の息子、ルイ14世夫妻もいとこ同士のカップルです。こうやって世界の歴史を遡って見てみると、いとこ同士でカップルが成立する事が、世界的にも珍しい事例では無かったという事が分かりますね。
なぜ皇族や貴族は身内を選ぶのか
歴代の日本の皇族や、世界中の王族の歴史を見てみると親族との結婚が頻繁に行われていた事が分かります。古代エジプトでは、むしろ推奨されていた時期もあるほどです。なぜこのように親族との結婚をを進んで行ってきた歴史が、世界中にあるのでしょうか?
地位や財産を守るため
代々築き上げた地位や財産を、婚姻によって他の家に奪われないために、身内で結婚を進めたという説もあります。今はであまり考えられませんが、少し前であれば地位や財産目当ての政略結婚が、当たり前に行われていた時代もあったのです。
血統を守るため
自分の家の血筋が清いと考える人は、昔から多く存在しました。皇族、王族は血の純潔性を守るために、近親者との婚姻を進んで行ってきたようです。また、同じ地位もしくはそれ以上の家柄との婚姻を望む内に、結婚相手として相応しい家は、自分の親戚しかいないという結果になった様子。
出会いの場がなかった
現代では婚活パーティーや合コン、またはマッチングアプリなど異性と出会う為の場は無限に用意されていますが、古い時代はにもちろんそのような場所は提供されません。地位の高い人々は気軽に外出する事も叶わず、活動範囲は限られていた為、定期的に会える異性といえば近親者しかいなかったのです。
いとこ同士の恋愛や結婚はアリ?ナシ?
法律上は認められていますし、愛し合った2人が結婚をする事は、何も悪い事では訳ではないのです。とはいえ、かなり近しい血縁関係を持つ者同士の結婚は、あまり良く思わない人もいます。肯定的な人と否定的な人、それぞれどの意見をご紹介します。
いとことの恋愛や結婚できる派
- 法律上認められているので問題ない
- 幼い頃から一緒なので、信頼が出来る
- 親戚付き合いがラク
日本国内では法律上認められているので、恋愛や結婚をすることに対しては問題ないと考えられているようです。また、パートナーもその家族も、昔から知っている間柄の為、信頼感や安心感があるというメリットからも肯定意見が出てきている様子。
いとことの恋愛や結婚はできない派
- 近親相姦のように思える
- 周りに言いづらい
- 障害児が生まれるのではないか
法律で許されているとはいえ、いとことの恋愛は近親相姦をイメージしてしまう事から、嫌悪感を抱く人もいるようです。自分がそうなった時に、友人や家族に言いづらいのではないか、また結婚したとして生まれてくる子供に何か影響があるのではないかとの心配が大きい様子。
いとこと結婚した日本の有名人
日本人で大変有名な方の中でも、いとこを生涯の伴侶とした人はたくさんいます!昭和・平成の総理大臣を務めたあの方々や、有名な女優さんや漫画家さんなど、誰もがよく知る方々も、実はいとこ同士で結ばれている事が多かったのですね。
岸信介
56代、57代の総理大臣を務めた昭和を代表する政治家です。彼は1919年に、父方のいとこの良子さんと結ばれています。
佐藤栄作
61代〜63代まで総理大臣を務めた政治家です。彼は1926年に、母方のいとこ寛子さんと結ばれています。佐藤栄作と岸信介は実の兄弟でもあります。
菅直人
94代目の総理大臣です。彼は1970年に、父方のいとこ伸子さんと結ばれています。
木暮実千代
数々のドラマや映画に出演していた大女優。CM出演を果たした初めての女優でもあります。彼女は1944年に、20歳年の離れたいとこと結ばれています。
富永一朗
チンコロ姐ちゃんなど、ギャグ漫画を中心に描く漫画家。彼は1955年に、母方のいとこと結ばれています。
いとこと結婚した海外の有名人
世界に名を馳せるあの物理学者や、大統領、自然科学者など。正解中の誰もが知っている有名人も、実はいとこ同士のカップルだったのをご存知でしょうか。
アルベルト・アインシュタイン
ドイツの学者。べーっと舌を出した写真が有名ですね。彼は1919年に、母方のいとこにあたるエルザと結ばれています。また父親同士もいとこに当たるため、エルザとははとこの関係でもあります。
サダム・フセイン
イラク共和国の大統領、またイラク軍の最高司令官として世界に知られている人物です。彼は1963年に、いとこのサージダと結ばれています。
チャールズ・ダーウィン
生き物の進化論については、教科書でも学んだ事がありますね。世界的に有名な自然科学者です。彼は1839年に、いとこのエマと結ばれています。
結婚するメリット
古い昔では、地位や財産を守る為に、近親者と婚姻を結んでいた事も多いようです。ですが、現代人の私達にはいとこを生涯の伴侶とする事で、何か良い事はあるのでしょうか?