タチヨタカとはどんな鳥?
どうですか?この顔。こぼれ落ちそうなガラス玉みたいな目玉がうるうるしています。一体これは鳥?フクロウ?そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。鳥は鳥ですが、フクロウでも鷹でもないんです。これは「タチヨタカ」という鳥なんです。
タチヨタカの見た目はまるでキャラクター
瞳孔が閉じればこんななんとも言えないおもしろい顔にもなるタチヨタカはまるでアニメから抜け出してきたキャラクターのような顔をしています。まさに「アングリーバード」みたいな見た目をしたタチヨタカとはヨタカ目ヨタカ科に属する鳥の総称です。
タチヨタカの変顔がかわいい
こちらは敵や縄張りに侵入した相手に向かって背一杯威嚇をしているときのタチヨタカです。大きな口をガマグチの様に開けて真っ赤な色を使って威嚇しています。少し怖いですか?口を大きく開けて目を見開いていかにも「怒ってるぞ!」という様子が伝わってきます。今回はこんなタチヨタカをご紹介します。
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タチヨタカの種類は?
ガラス玉のような目玉と鋭いくちばし、そして開くと大きな口にふわふわの羽毛に覆われた体をもつおもしろい鳥であるタチヨタカ。タチヨタカは総称ですがいったい何種類から構成されているのでしょう?
タチヨタカ属の鳥は7種類
タチヨタカ属には現在確認されているだけで7種類あることがわかっています。大きさは20センチから50センチまで大小様々で見た目にも違いがあるものが多いです。その7種類を簡単にご紹介しましょう。
アンデスタチヨタカ
学名はNyctibius maculosusと表記されます。その名の通り、アンデス山脈を中心としたペルーなどに生息するタチヨタカで赤茶色と黒色が混ざった羽が木の枝そっくりの色合いです。
オオタチヨタカ
学名はNyctibius grandisです。タチヨタカの中でも大きいと言われる種で体長は60㎝ほどになります。重さは650gほどになり、メキシコ、中央アメリカ、ブラジルと広い範囲渡ってに生息しています。
オナガタチヨタカ
学名はNyctibius aethereus、英語名はlong tailed potooとあることからも長い尾羽が最大の特徴となる種です。南米アマゾンを中心とした熱帯地域の森の中で生息しています。
サビイロタチヨタカ
学名はNyctibius bracteatusと表され、学名のbracteatusはラテン語で「金箔」と意味します。日本名がサビイロとあるように他の種と比べて赤茶色の色をしているのが大きな特徴となります。
ジャマイカタチヨタカ
学名はNyctibius jamaicensisです。大きさは最大で45センチほどになり、オオタチヨタカに続く大型種といえるでしょう。メキシコやコスタリカなどに分布しており、最近は鳴き声の違いからタチヨタカとは別の種ではないかとの見方も出てきています。
ハイイロタチヨタカ
学名はNyctibius griseusとなります。南アメリカやアルゼンチンに分布していて大きさは35センチ前後とタチヨタカの中では中型種と言えるでしょう。その名の通り淡い灰色の羽毛が特徴です。
ハジロタチヨタカ
(画像引用:Netropicla Birds)
学名はNyctibius leucopterusです。アマゾンとブラジルを中心に分布しており写真をご覧いただいても分かるように羽に大きく白い箇所があるのが見て取れます。闇夜に浮かび上がる姿がきれいです。
タチヨタカの特徴は?
現在発見されているだけで7種が存在するタチヨタカたちですが、彼らの特徴をここからは改めてご紹介していきます。名前からも想像できるように大きさや羽の色、住んでいる場所に特徴があります。
タチヨタカの大きさ
全長は20センチから5,60センチとされています。オオタチヨタカが名前の通り大型種で最大で60センチとあります。カラスと同じくらいと想像するとわかりやすいです。体は鳥なので見た目より軽く、オオタチヨタカで650gというデータがあります。
タチヨタカの体色
体色は濃い茶色、白、黒、灰色、サビイロなどと数多くの色がありますが、いずれも共通しているのは木に擬態しやすい色になっているということです。住んでいる地域がアメリカ、ブラジル、ペルー、コスタリカなど広範囲にわたるためその地域の木に合わせた色にそれぞれが進化したのでしょう。森の中でじっとされていると見つけられないのもうなづけます。
タチヨタカは夜行性
タチヨタカは夜行性です。夜に食べ物となる虫を探し求めて移動しますが昼間はほとんど動きません。そのため、昼間は敵に見つからないように木に擬態してじっとしていいます。木に足して垂直にスッと立っているので「タチ」「ヨタカ」と名前がついたともいわれています。
鳥の骨の構造
オオタチヨタカは体調60㎝もあるにもかかわらず体重はわずか650gしかありません。人間と比較してみると、生まれたばかりの赤ちゃんの身長は約50㎝ほどで体重はすでに3キロほどあります。なぜこんなにも鳥は軽いのでしょう?その秘密は骨にあるのです。
軽量化されたしなやかな骨
この鳥の軽さの秘密は骨の構造にあります。鳥類の骨の壁は薄く、中は網目状の空洞になっていてこのおかげで体が軽量化され、空を自由に飛び回ることができるのです。空洞で軽量化されている上に、しなやかな繊維質も備わっているのであのような大きな羽ばたきの負荷にも耐えうるのです。
空洞を利用した羽のペン
よく映画などでみかける鳥の羽のペンはこの空洞構造を利用しているんです。インクを羽の先に浸すことで毛細管現象でインクが吸い上げられ、その骨の中にある空洞にインクが貯まるので一定の時間ペンとして書くことができるのです。
タチヨタカはどこに住んでる?
複雑な羽の色で木の色そっくりに擬態し、じっと動かない作戦をとって森の木に潜んで敵の目をやり過ごしている彼らは地球のどこに暮らしているのでしょう?彼らが暮らしている生息地を改めてご紹介します。
南米の森林に生息
主な生息地はメキシコ南部アマゾンからパラグアイにかけての中南米(西インド諸島を含む)とされています。一般に熱帯地域と呼ばれる高温多湿の森林に生息しています。フランス・ドイツでタチヨタカの化石が見つかったこともあり大昔はもっと広い範囲に暮らしていたと考えられています。