真言宗の開祖である空海により創建され、多くの重要文化財を有する寺社です。貴重な文化財が多く見られるなか、とりわけ有名な展示物が安土桃山時代に描かれた極楽地獄図です。地獄絵図の大きさは縦3.5メートル・横幅11メートルにも及び9つの掛け軸に分けて描かれており、全て揃って一枚の絵となる構図になっています。冥界への入口である賽の河原から、八大地獄、極楽浄土までを描きストーリー仕立てのような作品になっており、希望者には住職より地獄絵図の絵解きが行われます。
施設詳細
- 住所:奈良県天理市柳本町508
- TEL:0743-66-1051
- http://www.chogakuji.or.jp/
- 参拝料:大人400円
- 公開日:10月23日~1月30日
福岡県「東長寺」
奈良県の長岳寺同様、博多に渡ってきた空海によって創建された最も古い寺社で、九州八十八カ所霊場の一つでもあります。敷地内には福岡藩主の黒田家の墓所があるほか、日本最大級の福岡大仏や、高さ23メートルを誇る五重塔など文化財が多く存在します。福岡大仏の台座には「地獄・極楽巡り」と呼ばれる空間があり中へ入ることが出来ます。まず初めに精工な地獄絵図のレリーフが飾られており、その先は一寸先も見えない暗闇が広がります。その暗闇の中にある「仏の輪」と呼ばれる輪を掴むことが出来れば極楽浄土へ行けると言われれています。
施設詳細
- 住所:博多区御供所町2-4
- TEL:092-291-4459
- https://www.tochoji.net/
- 参拝料:無料
- 公開日:―
Contents
地獄絵図って海外にもあるの?
閻魔大王や餓鬼など古くから日本で知られるキャラクターたちが跋扈しているイメージの強い地獄ですが、そもそも古代インドから伝播した文化であることから、日本以外にも仏教が広く普及している国々では地獄を彷彿とさせる雰囲気の寺社は多く存在します。
海外にも地獄絵図を見られる場所はある?
ここからは海外に目を向けて、日本のお寺で見られる地獄絵図とは一風変わった地獄の世界観を間近に見ることができるスポットをご紹介します。
タイの地獄寺
3万軒以上もの寺院があるとされる仏教王国タイ。国民のほとんどが仏教徒であることから、仏像を参拝するなどの文化が国民全体に根付いており、日本の寺社参拝と似たような形式になっています。建物は日本のお寺とは異なり、金や派手な装飾で施された華美な様式です。ワットパイロンウアでは幾体もの仏像を見学することができ、極楽浄土を意味する菩薩像コーナーから、戒めを意味する地獄絵図コーナーまで死後の一連の流れを現しているような仏像が無数に飾られています。特に地獄絵図コーナーはグロテスクな像も多く、ワットパイロンウアの別名が地獄寺といわれる所以になっています。
台湾の地獄寺
宗教の自由が認められている台湾では仏教徒、キリスト教徒、道教など様々な信仰が根付いています。18世紀以降たくさんの寺院が建立され現地の人々の宗教観はいくつかの宗教が融合したものになっています。そんな他宗教が混ざった台湾らしい寺院の一つが、通称地獄寺と呼ばれている巨大な宗教テーマパーク石門金剛宮です。3階建ての広大な寺院で階数により極楽コーナー・地獄コーナーと分けられており、台湾独特の死生観を学ぶことが出来ます。
一時は品切れ続出!手に取れる地獄絵図・絵本「地獄」を知ってますか?
絵本というと子供向けというイメージがありますが、「地獄・絵本」は発売当時子供のいる家庭のみならず、読書家の間でも大変な評判を呼びました。インパクトのある表紙は子供のみならず大人でもぎょっとしてしまうおどろおどろしさがあります。普段目にする機会の少ない地獄の世界、気軽に覗いてみてはいかがでしょうか。
絵本「地獄」とは
千葉県にある延命寺というお寺に展示されている絵巻、地獄極楽絵図を元に制作された絵本です。18枚の絵巻を使って個別に描かれた作品で、現在に至るまで著者は不明とされています。全体像は横幅3メートル以上にも及ぶ大作です。極楽浄土と地獄絵図を一望しているような錯覚に囚われるほど丁寧に描かれた地獄絵図そのものの臨場感を絵本に写し、忠実に再現しています。物語の着想は大阪にある長寳寺に伝わる伝承から得ており、おどろおどろしい絵やストーリーは子供を怖がらせるためだけに作られたわけではなく、命の大切さや思いやりの心を育むために役立ててほしいといった意図があります。
絵本「地獄」のあらすじ
地獄を題材とした物語は多くありますが、そのどれにも共通している点は「悪いことしたら死後地獄に落ちる」という点です。この絵本でもそれは変わらず、主人公である五平は死後、三途の川を渡り閻魔大王による裁きを受けます。五平は地獄行きの判決を受けますが、ふいにお地蔵様が現れ五平をもう一度人間の世界に戻してくれるよう閻魔大王に頼みます。生前、川で溺れていた子供を助けた五平のことをお地蔵様は見ていました。お地蔵様の頼みを聞いた閻魔大王は五平に、人間界に戻る前に地獄を見学していくよう言いつけます。そこで五平が目にしたものは生きたまま体を切り刻まれるなます地獄、柱に縛り付けられ火に焼かれる火あぶり地獄など目を覆いたくなるような光景が広がっていました。
絵本「地獄」の口コミ
「海月姫」「タラレバ娘」で有名な少女漫画家、東村アキコさんが子育てに奮闘している際に、子供の寝かせ付けや躾の一環としてこの絵本を使ったというエピソードから認知度が高まり、同じように子育てに悩む親世代からの圧倒的な指示を得るようになりました。子供向けとは思えないグロテスクで残忍な描かれ方をしており、地獄で行われる様々な拷問も丁寧に描かれ、親より先に亡くなった子供は賽の河原で永久に石を積み続けなければならないなど、悪い事をしたらひどい目に合うという教訓を学べる地獄絵図本来の使われ方だと言えます。なかなか寝てくれない子供や反抗期の子供には効果絶大という触れ込みが今なお多く見られます。
地獄が舞台の漫画作品
古くから小説や図画など様々な表現方法で地獄の世界が描かれ世に出されていますが、興味があっても敷居が高そうというイメージはありませんか?そんなイメージを払拭する著者オススメの地獄漫画をご紹介します。
ほのぼの地獄ライフ 鬼灯の冷徹
広大な地獄の中に存在する八大地獄をはじめとした様々な小地獄の数々。閻魔大王の補佐を務める主人公の「鬼灯」はたくさんの部下を抱えながら地獄経営に毎日勤しみます。地獄の日常をコミカルに描いた人気シリーズです。
進撃の巨人のあのキャラは地獄の王がモチーフ?
大人気漫画「進撃の巨人」に登場する、調査兵団の一人ユミル。連載当初、名もなきキャラクターとして登場していた彼女の名前がユミルだと判明した時、ファンの間に衝撃が走った事をご存知でしょうか。何故なら、ユミルというワードが捕食しかしないはずの巨人から初めて発せられた言葉として既に登場していたからです。
「ユミル」とは
ユミルの語源の由来となっているのは地獄の王、閻魔大王に起因します。インド神話における人類の始祖とされる「聖王イマ」と同一の存在とされ、最も古い神であると共に、聖人イマは巨人であったとされています。現代で人気を博している漫画にも古代から続くエッセンスが息づいていると言えます。
恐ろしいけど、歴史や文化、思想が詰まった、奥が深い「地獄絵図」
マイナスなイメージで使われがちな地獄という言葉ですが、起源をたどってみると先人たちが残した奥深い思想や、地獄絵図が描かれた歴史の背景など様々な時代の姿が見えてきます。目で見て学ぶことの出来る地獄絵図の本当の意味を、ご自分の目で確かめてみて下さい。
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