少年誘拐の事件のように素人がホルマリン漬けを作っていたのでホルマリン液や漬ける対象になる生き物の取り扱い方法さえきちんとすれば、良い悪いは別として実際に作れることはできます。この章はホルマリン漬けを作る方法についてご紹介します。
ホルマリン漬けにする方法
漬ける対象物をきれいに洗い冷蔵庫に保存します。ホルムアルデヒドを必要な濃度にして瓶にあけ対象物を一週間程度浸けて硬直させます。その後エタノールで洗い75%のエタノール液に浸します。通常濃度は37%程度の水溶液を原液とし、さらに10~5倍の希釈液が固定液になります。現在は単純な水溶液よりも中性緩衡ホルマリン液が組織固定に多く利用されています。
ホルマリン漬けにする際の注意点は?
まずはホルマリン液の素ホルムアルデヒドについての注意点ですが、最初に触れたようにホルムアルデヒドは有毒性のある薬品なため個人で薬局で買えるものではありません。購入の際は然るべき医療機関や研究機関であっても取引の実績が必要です。個人で購入する場合は医薬部外品である中性緩衡ホルマリン剤が買いやすいかもしれません。
廃棄にも注意が必要
ホルマリン液は毒物になりますので捨てるのも規制があります。そのまま流すのはご法度。水で希釈するか焼却炉で噴霧焼却、または次亜塩素酸水溶液で分解する。いずれにせよ専門知識が必要です。刺激性が強いホルムアルデヒドは長期間暴露されると発がん性もあるため、専門家以外の人は取り扱いや廃棄する際はくれぐれもご注意ください。
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原爆資料館にもホルマリン漬けはある?
戦争の悲惨さや核の恐ろしさを後世に伝え平和の尊さを訴えるために存在する原爆資料館には目を背けたくなるような展示物が多数あり、幼い頃に訪れ夜にうなされた経験がある人も少なくないでしょう。でもこれはそう遠い昔ではない昭和の時代に現実にあったということを、ぜひホルマリン漬けを通して知ってください。
原爆資料館のホルマリン漬け
無脳胎児のホルマリン漬けが有名です。長崎の資料館で一時期公開されていました。被爆後出産された新生児の中には奇形児が多く取り上げられました。口唇裂、シャム双生児、兎唇、この世に生を受けたはずの貴重な命がこのような形でしか生まれることができなかったのです。戦争や核兵器がいかに非道であるかということがホルマリン漬けで見せることによって強く訴えかけていました。
ホルマリン漬け最古のものは?
ホルマリン漬けって一体いつの時代から存在しているのでしょうか?この章ではホルマリン漬けの歴史について触れていきたいと思います。知られざるホルマリン漬けの過去を遡ります。
ホルマリン漬けの最古のものは?
1700年代ですので今から300年以上も前に存在していました。最古のホルマリン漬けを作ったのはイギリスのジョン・ハンターという外科医でした。「実験医学の父」という異名のどおり近代医学の発展に多大な貢献をし、解剖教室ではたくさんの死体を調達し動物だけではなく人体もかたっぱしから標本にし、解剖学に心血を注いだとされています。
ホルマリン漬けの動物標本もある
実験や研究にはマウスやカエルなどが多く利用されています。病理学や薬物実験、医学の世界だけではなく私たちの身近な化粧品や生活用品にも動物実験は欠かせません。その事件のプロセスの一部としてホルマリン漬けにされています。
ホルマリン漬けの動物標本
水族館や博物館で動物の標本が多く見られますが最近のものは合成樹脂などでできた模型がほとんどです。人間と同じように動物の死骸もホルマリン漬けにして展示することもガイドラインに従う必要があります。ホルマリン漬けにする理由は医学や研究のためです。
ホルマリン漬けの動物標本を作った理由は?
医療業界での動物実験だけではなく生物学でもホルマリン漬けの動物標本は利用されています。その生物の餌や生育環境の調査や生態系の調査。ホルマリン漬けにすることでその生き物について深く研究し、食物連鎖を追及することで環境保全にも役立ちます。そして近年では学術的利用のみならず、現代アート作品としても生き物のホルマリン漬けがあります。ダミアン・ハーストの巨大ザメの作品が有名です。
ホルマリン漬けの生首がおどろおどろしい
生首丸ごとのホルマリン漬けです。非常にインパクトがありますが写真はもちろん作ったものです。でも実は実際に本物が存在します!この章ではおぞましい生首についてのご紹介です。
ホルマリン漬けの生首
この生首はポルトガルのリスボン大学医学部に176年間保存されているものです。そしてこの生首の主は当時の凶悪犯で3年たらずで70名以上殺害を繰り返し1841年に死刑になり、その後研究用にホルマリン漬けにされました。凶悪犯のもつ頭蓋骨の形状を調べることで凶悪犯の性質や犯罪傾向が読み取れるのだとか。
ホルマリン漬けの生首は保存状態が良すぎる
それにしても生々し過ぎます。176年です。濁りのないうつろな目つきがとてもリアルです。ホルマリンという薬品がいかに強力かということがわかりますね。日本にも死刑執行された有名な凶悪犯はかつていましたが、もしかするとこんな風にホルマリン漬けにされて瓶の中で存在している可能性も無きにしも在らずですね。
本物のホルマリン漬けを見にいこう!
ホルマリン漬けに興味がでてきましたか?決して恐い物見たさだけでなく、ホルマリン漬けの背景にこそ興味深い事柄が隠れていることをこれまで解説してきましたが、公の場で本物が所蔵されている場所をこれからご紹介しますので足を運んでみませんか?
本物が見れる場所【国内編】 目黒寄生虫館
学生も学習に訪れる有名なところです。そして意外にも休日にはデートで訪れるカップルも多いのだとか。寄生虫に関して専門に扱う貴重な研究博物館です。二階建てで一階は300点以上の寄生虫の標本展示がしてあり相当見ごたえがありそうです。二階は人体に関わる寄生虫についての展示があり、レアスポットとしてメディアでも注目されています。
開館情報
- 正式名称:公益財団法人目黒寄生虫館
- 住所:東京都目黒区下目黒4-1-1
- 開館時間:10:00~17:00
- 休館日:月曜日、火曜日※祝日の場合開館、直近の平日に振替休館
- 公式サイト:https://www.kiseichu.org/
イベント展示やミュージアムショップも常設されており、なんと写真撮影もOKですのでお気軽にお立ち寄りください!
本物が見れる場所【海外編】 シリラート死体博物館(タイ・バンコク)
なんと!微笑みの国タイにこのような博物館が存在します。タイ好きの間でもきっと知る人ぞ知るレアスポットであること間違いなしですね。こちらは主に人間です、人体、胎児、人骨、内臓、ミイラまで!しかも本物です。それもそのはず、この博物館は病院内にあり、主な来館者は医学生や医療関係者になりおそらく観光で訪れるのは日本人くらいではないでしょうか?
とにかく点数といい内容といい見ごたえ十分です。微笑みの国タイでこんなシュールなスポットがあったとはアジア好きでなくてもわざわざ訪れる日本人も少なくないでしょう。
開館情報
- 正式名称:Siriraj Medical Museum
- 住所:2 Prannok Rd. Bangkoknoi Bangkok 10700(チャオプラヤー川対岸トンプリー地区シリラート病院内)
- 開館時間:9:00~16:00(12:00~13:00は昼休み)
- 休館日:日曜日 年末年始 祝祭日
- 紹介旅行サイト:バンコクナビ
今流行りのハーバリウムはホルマリン漬けの進化形!?
ドライフラワーやプリザーブドフラワーに共通する要素はホルマリン漬けにも通じるそのままの姿で保存することです。そしてドライフラワーらは日に当たると徐々に色あせもでてきますが、それをオイルの瓶詰にすれば色あせも防げるとばかりに生まれたハーバリウムは見た目もホルマリン漬けそのものですね。
ハーバリウムは専用オイルにつける
今女性の間で大人気のハーバリウムはさすがにホルマリン液は使いません。安全な専用オイルを利用するので誰でも気軽に作ることができますね。素材や器もバリエーションに富んでいます。生花も美しいですが生花とはまた違う美しさを堪能できるハーバリウムはやはり美少年をホルマリン漬けにしたい心境に通じるものがあります。
ホルマリン漬けは実に様々な種類や年代のものが存在した
いかがでしたか?ホルマリン漬けは単なる恐い物見たさなグロテスクなだけではなく、実に多様で背景や歴史も様々で興味が湧いてきませんでしたか?この機会にぜひホルマリン漬けを見に行くのもいいですね。実際に作ってみたいという方は専門家の適切な指導のもと挑戦してみてください。