マグロの中落ちとは?
丼ものや軍艦巻きなどの名前に使われることの多い「中落ち」という言葉。美味しいことは何となくわかっているけど、実際はどの部位を指しているのか知らない人も多いと思います。ここでは普段何気なく耳にするその言葉の意味を掘り下げていきましょう。
中落ちの部位はどこ?
中骨の周囲、または骨に直接くっついている身のことを「中落ち」と呼んでいます。これはマグロのみに該当する名前ではなく他の魚でも使われる言葉です。ほぼ赤身ですが口どけもいいことから、多くのファンがいる部位です。
中落ちは希少部位
1匹から取れる量は限られており希少価値が高い部位ともいえます。がしかし、値段は大トロなどに比べるとそこまで高くありません。すし屋で中落ちの軍艦を注文しても2個で100円で提供する店もあるほどです。ただし値段の差はマグロの種類にもよるところが大きく、本マグロだとなかなか良い値段で出されることがほとんどです。
ネギトロに中落ちが使われているって本当?
今やスーパーの惣菜コーナーでも当たり前のように見かけるようになったネギトロ。しかし一昔前はマグロを1匹丸ごと仕入れるようなすし屋でのみ食べることのできる贅沢なメニューでした。一体どういうことなのかということを解説していきます。
高級すし店などでは使われている
本来のネギトロとは中落ちと皮の裏側にある脂身などを混ぜ合わせたものを指します。つまり部位単体で仕入れる店では仕込むことのできないメニューなのです。一方で丸ごと1匹を仕入れるような高級店では現在も中落ちを用いた従来の作り方で仕込んでおり、本物のネギトロを提供してくれます。
赤身に油などが混ぜられているのが一般的
安さが売りのすし屋や、スーパーの惣菜コーナーなどのネギトロは本来の作り方ではないものが当たり前のようにあります。ビンチョウマグロやキハダマグロといった元々値段の安いマグロの赤身に植物性や動物性の油脂や調味料、着色料を混ぜて作られていることがほとんどです。
極端に白かったりするのは多くの脂が混ぜられている証拠でもあるため、選ぶ際はマグロの身が粒立っていて、かつ本来の赤色をしているものを選ぶようにしましょう。すべてとは言い難いですが、中には大量の添加物が含まれているものも多いので注意が必要です。
マグロの中落ちの取り方は?
最近、飲食店では調理されたもの提供するだけではなく、骨つきのままテーブルに持ってきてお客さんに身を剥ぎ取るところから楽しんでもらおうとエンターテイメントの要素を絡めて中落ちを出すお店もちらほら見かけるようになりました。では、どのように身を取ればいいのでしょうか。ここではその方法について解説します。
スプーンやハマグリの殻でこそげ落とす
一般的にはスプーンを使います。特別に力を入れる必要もなく骨に沿って身をかき出すようにスプーンを滑らせるだけで簡単に身が剥がれます。また、店によっては雰囲気を重視してスプーンの代わりにハマグリの殻を使用するところもあります。以下の動画もご覧ください。意図も簡単にこそげ落としているのがよくわかります。
マグロの中落ちおすすめレシピを紹介!
どんな風にして食べるのかを考えたときに、ネギトロを思い浮かべる人は多いと思います。が、実は他にも食べ方はたくさんあるのです。ここからは刺身編とアレンジ編に分けて、様々なレシピを紹介します。マグロの中でもおいしいと評価の高い部位を楽しくいただきましょう!
マグロの中落ちのおすすめレシピ①刺身編
シンプルにワサビ醤油でそのまま食べたり、ネギトロにしたりなど、ここでは代表的な食べ方以外のレシピを中心に紹介します。普段と違う、ちょっと変わった感じで味わってみたい人におすすめしたいメニューばかりです。
マグロの中落ちおすすめレシピ:刺身編①「韓流で食べよう!」
マグロの中落ちユッケ風
韓国料理定番のユッケを作ってみましょう。甘辛味噌やごま油、ニンニクを使ったスパイシーなタレは柔らかい身にとてもよく絡みます。ご飯に乗せて「丼もの」にしたり、ビールのおつまみにいかがですか?卵の黄身を落として混ぜ込めば、まろやかな風味も加わって一層美味しく食べることができます。
材料 2人分
- マグロの中落ち 100g
- コチュジャン 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- ニンニク 一欠片
- ごま油 適量
- 小ねぎ 適量
- 卵黄 1個
料理レシピ
- ボウルに醤油とコチュジャンを入れ混ぜ合わせます
- すりおろしたニンニク、ごま油を加えます
- 中落ちを入れてよく和えます
- 最後にネギを入れ、皿に盛ります
- 中心を軽く凹ませ、卵黄を落とします
調理のポイント
コチュジャンは韓国の辛味噌ですが若干甘みもあるため、辛党の人はここに少し豆板醤を入れてると辛味がアップし引き締まった味になります。ただしその際は塩気が強くなるのでコチュジャンの量を減らして味の調整をしましょう。
マグロの中落ちのおすすめレシピ:刺身編②「ネトっとした柔らかさ!」
マグロの中落ちの漬け丼
繊維質が少ない部位なので元々が柔らかいのですが、漬けることで味が染み込みさらに食べやすくなり、丼ものに最適です。また漬けることでねっとりした歯ざわりとなり、その食感がクセになります。刺身ほど厚みもないのでネギトロ丼を食べているように軽快に食べることができます。
材料 2人分
- 中落ち 100g
- 醤油 大2
- みりん 大1
- 酒 大1
- 大葉 適宜
- 焼き海苔 適宜
料理レシピ
- みりん、酒を鍋で一煮立ちさせアルコールを飛ばします
- 醤油を入れて再び煮立たせます。その後ボールに移し冷まします
- ボールに中落ちを入れます
- 10分ほど漬けます
調理のポイント
漬ける時間の長さで「味の浸透具合」と「色味」が変化します。長ければ味はしっかり入りますが、色は赤黒く、逆に短ければさっぱりとした味付けで、本来の鮮やかな赤身の色を保つことができます。この辺りのバランスは好みにもよるので味付けや仕上がりのイメージを持って漬ける時間を決めるといいでしょう。
マグロの中落ちのおすすめレシピ:刺身編③「豪快な漁師料理で!」
マグロの中落ちのなめろう
青魚や白身魚を用いて調理されることの多い料理です。香味野菜や味噌と一緒に身をたたくようにして混ぜ合わせていくことで独特の粘りがでます。ネギトロも同じように作られるため「たたく」調理法は美味しさを引き出す意味で大変合っていますし、実は味噌とも好相性です。ご飯に乗せてぜひ召し上がってみてください。
材料 2人分
- 中落ち 100g
- 味噌 適量
- ねぎ 適量
- 大葉 適量
- 生姜(すりおろし)適量
料理レシピ
- 生姜、大葉は千切りに、生姜はすり下ろします
- 両手に包丁をもち、身を細かく叩き切りにします
- ある程度細かくなったら味噌と香味野菜を加えます
- 包丁で混ぜながらさらに叩きます
- ツヤや粘りが出たら出来上がりです
調理のポイント
たたきながらも途中で混ぜ込む作業をすることで味のムラが出にくくなります。なめろうにする際の味噌は赤味噌よりも淡色のものの方が一般的で刺身にも合ってるとされていますが、ストックがない場合は食べ慣れた味噌で構いません。
マグロの中落ちのおすすめレシピ:刺身編④「人気の組み合わせ!」
マグロの中落ちとアボカドのタルタル
フランス料理で生肉を調味料や野菜とともに細かく刻んで食べる「タルタルステーキ」からヒントを得て作られたレシピです。味付けをしたマグロの身とアボカドをそれぞれ細かく刻みます。アボカドほど野菜の中でマグロと好相性な食材はなく、口の中で合わさった時のとろけるような一体感に思わず笑みがこぼれてしまう、そんなレシピです。
材料 2人分
- マグロの中落ち 100g
- アボカド 1個
- 塩 適量
- コショウ 適量
- マヨネーズ 適量
- ごま油 適量
- ニンニク(すりおろし)適量
- レモン汁 適量
料理レシピ
- アボカドを5〜8センチほどの角切りにして塩、コショウ、マヨネーズ、レモン汁と混ぜます
- 中落ちを叩き切りにして塩、コショウ、ニンニク、ごま油を入れて混ぜ合わせます
- 1と2を皿に好みの感じに盛り付けます
調理のポイント
セルクルという底のない型を持っている場合はここに1と2を入れて盛り付けると層ができ、見栄えが大変良くなります。ミニトマトなどを散らすだけでもさらに華やかにあります。また、ごま油の代わりにオリーブオイルを使うと洋風に仕上がります。
マグロの中落ちのおすすめレシピ:刺身編⑤「ヘルシーで栄養満点!」
マグロの中落ちサラダ
シャキシャキした葉野菜の食感を楽しみながらサラダ感覚で食べることができるヘルシーなメニューです。メインになるほどの量がない場合や、ちょっと違った感じで食べたい場合におすすめです。ほとんどの野菜が合うので、冷蔵庫の整理にも一翼を担ってくれるメニューといえます。
材料 2人分
- マグロの中落ち 100g
- 水菜 1束
- 生ひじき 20g〜30g
- 黄パプリカ 1/2個
- ミニトマト 5個
- 白ワインビネガー 大3
- 塩 適量
- コショウ 適量
- オリーブオイル 大3
料理レシピ
- 野菜は食べやすい大きさにカットします
- 生ひじきはザルにあけ水洗いします
- 白ワインビネガーと塩、コショウ、オリーブオイルを混ぜてドレッシングを作ります
- 野菜と生ひじき、中落ちをボールに入れてドレッシングと和えます
調理のポイント
今回はもっとも一般的といえる味付けにしていますが、オリジナルで中華風、和風、トマトベースのドレッシングを使った洋風など、楽しみ方に幅のあるメニューです。その日の気分で独自のアレンジで楽しんでください。また生ひじきの代わりにワカメなどもよく合います。
マグロの中落ちのおすすめレシピ②アレンジ編
刺身以外のレシピを中心にお届けするアレンジ編では煮物やそぼろ丼、ハンバーグを紹介します。ちょっと生食するには日が経ち過ぎたかなという時にぜひ活用してください。魚の匂いが苦手なお子さんなどにもおすすめです。