深海生物ってどんな生き物?
深海生物と聞いてどんな生き物を思い浮かべますか?最近はテレビでも取り上げられることも増えて不思議な姿をしていることも知られるようになりました。この記事ではそんな不思議な生き物たちについて詳しくご紹介します。
水深200mより深い海域に生息
定義としては水深200mより深い場所にいる生き物を深海生物として分類しています。普段、陸上で暮らしている私たちによっては陸上が世界のほとんどと思いがちですが、地球の大部分(なんと7割)は海なんです。さらにはその大部分を占める海の内、200m以上の深さを持つ海域の割合は9割を超えます。
深海魚は約2,000種類以上
地球上の大部分を占める海。そしてその海のほとんどが200m以上の深海魚たちの暮らせる海域です。そんな理由から深海魚は約3万種いると言われている魚類の内の約1割を占める2000種以上が深海魚です。
ですが、水深200m以上がすべて深海魚のフィールドと考えると2000種ではまだまだ少ないともいえるでしょう。そう。人がいけない深海の世界にはきっともっと多くの未発見の深海魚たちが暮らしているに違いなのです。まだまだ謎に満ちた神秘の世界に暮らす不思議な生き物たちなのです。
海の深さは最大1万9000㎞!
海溝と呼ばれる海の谷のようなものが地球上にはいくつか存在します。地球は数々のプレートが組み合わさってできているのでそのプレートが重なり合うところなどが海溝になります。地球上に存在する最大の海溝はマリアナ海溝のビジャージ海淵でその深さは1万9000㎞以上にもなります。
ココが面白い! 深海生物の生態
現在、発見されているだけでもその数は2000種を超え、まさに前人未到の世界に暮らす彼らの謎に満ちたおもしろい生態をご紹介しましょう。いくつかの種に触れながらその面白さをお伝えします。
多くの種類が“発光”する
陸上に暮らす我々人間からすると体が光るなんてとんでもなく珍しいことの様に思いませんか?しかし彼らは違います。なんと多くの種類が発光することが知られています。推察されている理由としては1.餌をおびき寄せるため、2.パートナーと効率よく出会うため、3.敵から逃れるためがあります。
7色に輝く「クシクラゲ」
近年、クラゲブームが続いているので水族館などで見かけることも多いと思われる「クシクラゲ」も深海で発見されることがあります。クラゲと名は付きますが生物学的にはクラゲとは別の生物です。体の中に櫛のような組織を持っており、それをなびかせるようにして泳ぎます。
美しい7色の虹色に輝いているように見えますが、クシクラゲそのものが発光しているわけではなく、ライトや自然の光がなびいている櫛状の組織にあたって反射するため光っているように見えます。
全身が“透明”な種類も!
全身がまるでゼリーのように透明になっている種も数多く存在します。透明である理由ですが深海にすむため太陽光(紫外線)によるダメージを受けるリスクが少なく、皮膚を守るための色素を持つ必要がないため、深海では光が届かないので色が見えないため、などの理由が考えられています。
頭から尾まで透明な「サルパ」
生物学上はホヤの仲間であるサルパの透明な体を持っています。海面付近で目撃されることもありますが深海での目撃例もあります。主にオキアミなどを捕食しており巨大な群れを作ることもあります。体が透明のため食べたオキアミが透けて見えることもよくあります。
光るタンパク質GFP
クシクラゲは光りませんが、自身で発光するクラゲもいます。その名前はオワンクラゲ。この光る秘密がタンパク質にあると突き止めたのが2008年にノーベル化学賞を受賞された日本人・下村脩先生です。そのタンパク質はGFP(Green Fluorescent Protein)と名付けられのちの様々な研究に広く生かされました。
見たい分子にこのGFPタンパク質の遺伝子をつけることで目的の分子だけを光らせることができるのです。細胞内で目的の分子がどのような順序で進んでいくのか、どの組織に取り込まれるのかといった今まで見ることができなかったものを見えるようにしたのです。
面白フェイスが“キモかわいい”と話題!
続いてはルックスに特徴がありまさにキモかわいい種を紹介していきます。深海生物と聞くとどれも不思議な形をしていてグロテクスなものというイメージがありますが、実はこういったキモかわいい種は少ないんです。
泳ぐ姿もかわいい?「ダンボ・オクトパス」
どうですか?一度見たら忘れられないようなまるでアニメーションで作ったようなかわいい見た目をしているこちらはダンボ・オクトパスといいます。深海300~400m付近に生息しています。まさにダンボのような耳に見える部分はヒレでこのヒレをパタパタと動かしながら泳ぐことからこの名が付きました。
3Dのような顔が衝撃「ニュウドウカジカ」
世界一醜い生き物、なんてかわいそうな評価をされてしまったこともあるニュウドウカジカですがとろけるような体と小さな目、なんだか情けない口元もかわいいと思いませんか?深海700~1000m付近での目撃が多く日本の水族館での展示もありますがやはり深海魚、長く飼育することが困難で試行錯誤が続いています。
脳内が丸見え「デメニギス」
亜寒帯以降の寒い海で生息しており、水深400~800m付近を中心に目撃されるこちらはデメニギスです。頭部が透明でまるでSF映画にでも出てきそうな見た目が大きな特徴です。透明な頭部を持つことで水面からわずかに届く光を受け取りやすくなっています。
一見、目に見える黒い点は目ではなく、本当の目は頭部の中にある緑色のドームのようなところから突起状に飛び出しているチューブ状の部分なんです!ここに目を持つことで頭上の光を集めやすくさらには獲物などが泳いでいるのを察知しやすくなっています。おまけのこの目はチューブ状にぐるぐると動かせるというのですから驚きです。
深海生物コーナーが充実している水族館はどこ?
色々と面白い種を紹介していきました。こうなると実際に見てみたいと思いませんか?日本では深海生物を展示している水族館は数多くあるんです。イルカや熱帯魚などを見るのももちろん楽しいですが、深海の生き物を見るのも違った世界に行ったような気持ちになれておすすめです。
沼津港深海水族館~シーラカンス・ミュージアム~
日本でもっとも有名な深海魚を展示している水族館といえるでしょう。静岡県・沼津市にあるこちらは深海魚に特化した水族館です。というのも静岡県の駿河湾は海に出てすぐになんと最深で水深2500mの海域が広がるまさに海の絶壁なのです。
生きた化石シーラカンスの展示があります。5体も展示されており、そのうち何と2体は冷凍の個体でその肉感はまるで目の前で生きているようです。日本で見れるのここだけ。これからもおそらくそうでしょう。他にも深海生物に直接触れることができるイベントも開催されており、水族館の周辺のお店では深海魚を使った料理を食べることもできます。
施設詳細
- 静岡県沼津市千本港町83番地
- 電話番号 055-954-0606
- FAX 055-954-0607
- 料金 大人1600円 子供800円 幼児400円
生きる化石ラブカについて詳しく知りたい方はこちら
新江ノ島水族館
続いては湘南、江ノ島にある新江ノ島水族館です。江ノ島も沼津同様、近くに深海域が広がる相模湾があるため深海魚の研究に熱心です。国立研究開発法人海洋研究開発機構との共同研究による長期的な深海魚の飼育に取り組んでおりまさに最先端の現場に立ち会うことができます。
施設詳細
- 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
- 0466-29-9960
- 料金 大人2400円 子供1000円 幼児600円
伊豆三津シーパラダイス
こちらも駿河湾を持つ静岡県の水族館です。海とつながっているプールでのイルカやアシカショーが有名ですが深海魚の展示もあります。サクラダイや近年大人気のオオグソクムシの展示もあります。深海大水槽によるタカアシガニの展示やタッチングプールもあって子供たちに大人気です。
施設詳細
- 静岡県沼津市内浦長浜3-1
- TEL.055-943-2331
- 料金 大人2200円 子供1100円
沖縄美ら海水族館
大水槽のジンベイザメの展示が有名な沖縄美ら海水族館ですがこちらも深海生物に会えることができます。70種もの深海生物の展示がされており沖縄の海域で捕獲されたものが多くを占めます。他にも深海の正解を体験できるシアターなどの設備も充実しています。
施設詳細
- 沖縄県国頭郡本部町石川424
- 0980-48-4748
- 料金 大人1850円 中人1230円 小人610円
海遊館
最後は大阪の海遊館です。その生き物たちの生活している様子がわかるやすい行動展示をもっとも最初に行った水族館ともいえる世界的にも有名な水族館です。アリューシャン列島、パナマ湾、モンタレー湾など世界のそれぞれの地域の環境を再現しながらの展示を楽しむことができます。