噛まれると死の危険性がある猛毒や、毒に侵されて懐死した肉体の様子など、これまでの説明で本蛇の恐ろしさを知って頂けたかと思います。しかし、南米に存在する恐ろしい蛇はテルシオペロだけではありません。他にも生命を脅かすほどの猛毒を持った危険な蛇は、たくさん存在しています。
ブラジルサンゴヘビ
赤・白・黒色の縞模様が特徴的で見た目は小さく可愛らしいですが、その可愛らしさとは反対に非常に強力な神経毒を持っており、その神経毒の強さは蛇の中でも一番だと言われています。派手な見た目は、ある意味で危険信号の証なのかもしれません。
カイサカ
非常に気性が荒く攻撃的な性格であり、人の多い地域を好む傾向にあるため、中南米における咬傷被害のほとんどはこちらの蛇によるものだと言われています。動きも素早く、強力な出血毒を持っていますので、非常に危険な存在だと言えるでしょう。
フェルデランス
南米ハブと呼ばれ、ブラジルでは最も危険だと呼ばれる毒蛇の一つです。非常に強力な出血毒を持っています。この蛇に咬まれた人を治療していた人物が、小さな手の傷口から蛇毒が侵入したことで死に至った事故もある程です。
番外①!世界で最も多くの命を奪った「ブラックマンバ」
アフリカ東部から南部にかけてのみ生息するブラックマンバは、世界で1番の大きさを誇るキングコブラに次ぐ巨大な蛇です。口の内部が黒いことから名付けられました。その神経毒は強力で尚且つ量も多く、しかも回りも早いため、即効性があり危険です。研究が進んでおり血清があるにも関わらず致死率が高いため、世界でも危険視されている蛇の一種です。
番外②!世界最強サイアク猛毒蛇「内陸タイパン」
世界に存在する毒蛇の中でも最も毒が強く危険な蛇が、オーストラリアの内陸に生息する内陸タイパンです。その神経毒の威力は、なんとマムシの800倍と言われています。さらに動作が機敏なうえ非常に攻撃的な性格をしている点が厄介であり、現地の人々から大変恐れられる存在です。
日本にいる猛毒蛇ランキング
アメリカを中心として世界的に危険な蛇をご紹介してきましたが、猛毒蛇が存在するのは海外だけではありません。昔から日本にも危険な蛇は存在しています。私たちが日常で遭遇する可能性のある、身近な猛毒蛇をランキング形式でご紹介します。
3位「ハブ」
沖縄を中心とした22島に生息が確認されている、日本固有種の蛇です。出血毒のため激痛を伴い、テルシオペロ同様に懐死を引き起こすケースもあります。他の蛇に比べるとそこまで毒は強くありませんが、攻撃的な性格と、噛まれると一度に大量に毒を注入されることから、第3位にランクインしました。
2位「マムシ」
先にご紹介したハブ同様出血毒ですが、その成分はハブよりも強く強烈です。噛まれた直後は箇所が焼けるように熱く、30分程経つと腫脹となり皮膚が赤黒く変色し、水疱瘡ができます。腫脹が進むと知覚障害等を併発し、放置すれば壊死を引き起こします。しかし、比較的大人しい性格ですので、こちらから刺激しない限りは襲ってきません。
1位「ヤマカガシ」
こちらも出血毒ですが、牙が上顎の奥の方にあり長さ0.2cm以下と短く、毒腺の筋肉も弱いため、毒が注入されないことも多いです。そのため昔は有毒の認識がありませんでしたが、1974年に噛まれた子供が死亡したことで有毒種として知られるようになりました。最も身近にいながら死の危険性もあり、その猛毒性は1位に君臨する程でしょう。
腫れや痛みはないものの、毒に侵されることで血液凝固作用が働き、フィブリノーゲンという血漿タンパクと血小板が大量に消費されます。その結果止血作用が働かなくなり、血が止まらなくなるという事態に陥ります。同時に皮下出血を引き起こし、毒量が多い場合には二次影響で頭痛が起こることもあり、重症化しがちです。
蛇以外も!猛毒生物危険度ランキング
地球上には蛇以外にも、哺乳類から軟体動物まで様々な毒のエキスパートが存在しています。日本を含め世界に存在するあらゆる生物において、最も危険な猛毒を持つとされている生き物を3種類ご紹介したいと思います。
3位「アンボイナガイ」
主にインド太平洋に生息する、イモガイ科の巻貝です。奄美群島以南の沖縄でも発見され、ハブガイとも呼ばれるほど強力な毒を持っています。同じ科に属する貝の中で最強とされる麻痺毒を持ち、口の中にある歯舌という器官を突き刺して、対象に毒を注入します。歯舌はウェットスーツですら切り裂く鋭さがあり、ダイバー達からも恐れられています。
2位「キロネックス」
殺人クラゲとして現地で恐れられているキロネックスですが、正式名称はオーストラリアウンバチクラゲです。主にインド洋の南部から、オーストラリア近海に生息しています。無数の触覚には約5000個の袋状の毒針が存在し、人が触れると激痛に始まり懐死や呼吸困難といった症状が表れ、数分で死に至ることもある非常に強力な毒です。
1位「マウイイワスナギンチャク」
ここまでやる必要があるのかと言いたくなるくらい、非常に強力で恐ろしい猛毒を持っているのがこちらです。所持する毒は神経毒であり、その威力はなんと青酸カリの約8000倍とされています。ハワイのマウイ島付近に生息しており、群れの上を泳いだだけで痙攣や倦怠感を覚えるといった影響力を与える、とんでもない生き物です。
毒蛇に噛まれた時の対処法
いくら注意していたとしても、海外旅行やアウトドア時に毒蛇に襲われる可能性もゼロではありません。毒の対処は迅速に行わなければいけませんが、一瞬の判断ミスが命に係わってきますので、誤った方法で処理しないように十分注意が必要です。
全身に毒が回らないようにする
毒蛇に噛まれた場合、まずは全身に毒が回らないように対処する必要があります。噛まれた箇所よりも心臓側を紐や布などで軽めに縛って、安静にします。驚いて慌ててしまうかもしれませんが、激しい動きをとると血流が良くなり毒が回りやすくなるので、落ち着いて行動しましょう。
毒を外に出す
次に、血を絞り出すようにして傷口から毒を排出します。もし水のある環境であれば、傷口を洗浄しながら実施して下さい。よく映画や漫画等では口で毒を吸い出す描写がありますが、口の内外に傷や虫歯があったり歯茎が弱っている場合は二次感染の恐れがあります。危険性を考慮すると、口で吸い出す処置はしない方がよいです。
速やかに病院へ
上記の方法は、あくまでも緊急時の対処法です。可能な限り早く救急指定病院での治療を行いましょう。噛まれてから時間が経つと症状は重症化しやすくなり、命を落とす危険性も高くなります。噛まれた時点では症状が軽いからといって、受診しないなんてことは絶対に止めましょう。
猛毒テルシオペロには接近注意!
成人男性ですら数十分で死に至るという恐ろしい猛毒性のあるテルシオペロは、たとえ死に至らなくとも毒の作用で肉体が懐死して大変な後遺症を残すといった非常に危険な存在です。万が一発見した場合には、絶対に軽々しく接近しないようにしましょう。
そして中南米を生息地としているのであまり関係ないと思いがちですが、日本にも危険な猛毒蛇は複数存在しています。特にヤマカガシは身近に存在する毒蛇の中でも非常に毒が強く、大変危険な存在です。毒蛇の被害は決して他人事ではありませんので、十分気を付けましょう。
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