これがウニ?かわいいタコノマクラの生態と特徴解説!

タコノマクラという海の生物、みなさんご存知ですか?名前からは、どんな生物なのか想像もつかないですね。お饅頭のようなふっくら山型の愛嬌のある名前に負けないユニークな形をしています。タコノマクラはウニの仲間です。姿やネーミングがとてもユニークで不思議な魅力がいっぱいつまったタコノマクラをご紹介します。

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アウトドア一家に生まれ、子供の頃からバーベキュー、キャンプ、釣りに親しむ。ついつい、道具も増えがちですが、子供も生まれたので、おしゃれにお手軽に自作する趣味も増えました。ランタンを見るとついつい手が伸びてしまいます。いきものがとにかく好き。小学校の頃はいきものががりでした。
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タコノマクラとは

タコノマクラ目タコノマクラ科に属するウニの一種です。棘皮(きょくひ)動物門という大きな分類に属しており、ヒトデやウニも同じ仲間です。

スカシカシパンとタコノマクラの違い

タコノマクラに5つ穴が空いたような個体をみかけます。こちらは、スカシカシパンといい仲間ではありますが、タコノマクラとは別種です。スカシカシパンは名前のとおり、5つのすかし模様がはいっています。画像真ん中の大きなものがスカシカシパンです。中川翔子さんが、ギザカワユスといってスカシカシパンの歌を作っていたことでも有名になりました。

タコノマクラの名前の由来

タコノマクラはニックネームでもなく、正式な名称です。名前の由来としては、詳しくは分かっていませんが、タコが枕に使うからなど、タコ絡みの諸説がいくつかあります。江戸時代より、タコノマクラと呼ばれていましたが、ウニの仲間のカシパン類、ヒトデなどを含めた名前でした。明治時代になり、教科書に現在のタコノマクラ単体を示す名称として掲載されました。

タコノマクラの特徴

タコノマクラは、マクラという名前からも柔らかくてふわふわなイメージがありますが、生体はびっしりと1ミリほどの細かな棘が生えています。外殻は硬く、滑らかですべすべした感触をしており、円に近い五角形、中心部が盛り上がった山型のお饅頭のような形をしています。中心部の厚さは約3cm、大きさは大きいもので10センチほどの手のひらサイズです。5枚の花びら模様がくっきりとついているのが大きな特徴です。

タコノマクラの棘の秘密

タコノマクラはウニの仲間ですが、一般的なウニのように長いとげを持たないのは、まだウニのように砂の上や岩場の上で暮らしていた時、トウカムリという、貝の仲間の一種に捕食されていた歴史があり、身を守るために、砂の中へ潜れるように短いとげを持つようになりました。砂の中に隠れて生息し、砂や貝殻や海藻類などのゴミくずを身体の上に乗せて岩などにカモフラージュし、身を隠しています。体にいろいろのせていますが、隠れきれていないところはご愛嬌です。

タコノマクラの花びら模様の秘密

タコノマクラの特徴的な花びら模様ですが、花びらは必ず5枚と決まっています。ヒトデやウニやタコノマクラなどの棘皮動物の仲間の体の構造は、5を基本に出来ています。ヒトデも5本の足があり5角形を基本とした星形ですし、ウニも棘を剥がすと5つにわかれています。

タコノマクラの神秘的な口

ウニの口器は、アリストテレスの提灯と呼ばれています。タコノマクラの口器も他のウニ類同様です。とても神秘的な構造をしており、その中には歯が5本生えています。この口で岩についたコケなどを削り取ったり砂の中の腐敗物や海藻などを食べています。

タコノマクラの生態

表面に1ミリほどの小さな棘がたくさんついています。浅いところから、20mあたり砂泥地に多く見られます。繁殖期は6月下旬から8月上旬に、放精、放卵し、海中で受精します。タコノマクラの口は花びら模様の中央にあり、口の裏側の平らな部分にある穴が空いているところがおしり、排泄孔です。腐食物や砂泥中の有機物を食べ大きくなります。

タコノマクラの分布と生息地

房総半島以南、本州、四国、九州沿岸に分布しています。水深は15mから30mの岩礁域付近の砂底や、砂泥底に生息しています。砂泥地に多く見られます。漁業網に引っかかることもありますが、食用にはなりませんので、そのまま海に捨てられたり、肥料として利用されることもあります。

タコノマクラの活動時間帯

タコノマクラは、昼間は砂に潜ったり、体に海中のゴミをまとい、岩などに擬態して、じっとしていますが、夜になると餌を食べるために砂の上を這い回ります。動きはウニよりは遅いですが、ウニの仲間ですので、吸盤のある菅足を持っており、ウニのように動くことができます。岩場を垂直に這い上がることもできます。

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