これがウニ?かわいいタコノマクラの生態と特徴解説!

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タコノマクラは食べられるの?

江戸時代、タコノマクラは、ふくっらとしたお饅頭のような形からきんつばや、饅頭介などとも呼ばれていました。なんだか美味しそうな名前やウニの仲間というところから食べれそうですが、残念ながらタコノマクラは殼が分厚く、中は鍾乳洞のようなたくさんの柱があります。ウニであれば、食用になる卵巣・精巣がとても小さく、茹でると独特のカビ様の臭気を放ち、中身も溶けて無くなってしまいます。

タコノマクラはビーチコーマに人気

タコノマクラの外殻は、すべすべでとてもかわいい姿をしています。まるくユニークな外殻が貝殻や、シーグラスを収集するビーチコーマにとても人気です。旬といった特に見つかりやすい時期は特にありません。年中、潮汐スピードについていけずに帰れなくなったものや、うちあげられたものがいるのですが、外殻が現れたものはもろく完璧に姿を残しているものが少ないため、なかなか見つけることができない珍しいものとされています。

ビーチコーミングでタコノマクラ見つけるコツ

タコノマクラは死んでしまい、波に打ち上げられることもあれば、潮汐スピードについていけずに海に帰れなくなり、砂浜に残ることがあるので、波の後に残ったゴミ溜まりで見つけやすいです。砂浜に残った波跡や、ゴミ溜まりを中心に探してみましょう。干潮時がもっとも見つけやすいので、干潮時刻を調べてから出かけましょう。

タコノマクラをインテリアに

生きているものは濃淡さまざまな、赤色や茶色をしており、死んだり傷が付くと体液がでて、緑色に変色します。中身が抜け、外殼がでてすべすべしているものは、そのままや、漂白をしてコレクションにできますが、棘皮(きょくひ)がついたままだったり、内臓などの中身が残っていたり、コケなどついているままだと腐って匂いがでますので、棘皮や中身を除去してから漂白しましょう。タコノマクラを漂白すると真っ白になり、美しい海洋生物の標本になります。すべすべの美しい外殻はインテリアにしても素敵です。タコノマクラを漂白して外殻の標本をつくってみましょう。

タコノマクラの標本作製の手順1

棘皮(きょくひ)や中身が残っている場合は、タコノマクラを水につけ、水が濁ってきたら水を換えます。水が濁らなくなるまで続けます。この時、腐敗臭がでますので、換気を良くしておきましょう。その後、いったんしっかりと乾かしてから、タワシやヘラでこすると表面の細かな棘が取れやすくなりますが、漂白を繰り返すことでも取れていきますので、壊さないように丁寧に取り扱いましょう。

タコノマクラの標本作成手順2

タコの枕の外殼を漂白剤につけるとカルシウムが溶け出ため、もろくなりやすいので、丁寧に焦らず、慎重に行いましょう。真っ白になるスピードは遅いですが入れ歯洗浄剤は比較的、外殻へのダメージが少ないです。酸素系、塩素系などの漂白剤の濃度が濃くなりすぎないよう、様子を見ながら漂白します。時々、タコノマクラを洗浄し液を換えながら好みの白さになるまで繰り返します。

漂白に失敗しても自然の造形美が楽しめます

もし、漂白中に割れてもがっかりしないでください。タコノマクラの中には先ほどご紹介した、アリストテレスの提灯と呼ばれる美しい口器や複雑な鍾乳洞のような美しい造形が楽しめます。白く複雑な構造は、二度と同じ物はなく、この世のどんな建築物より美しいと感じられます。

鳥羽水族館でタコノマクラの標本が人気

伊勢海老網漁の際に、伊勢海老や必要な魚以外は魚屑として捨てられますが、その中にタコノマクラがいることがあり、生体は飼育展示、死んでいる個体は職員の方が丁寧に標本にし、通信販売として販売をしています。とても人気があります。数に限りがありますので、運が良く購入できた方はきっと宝物になりますね。

タコノマクラの化石

タコノマクラは化石にもなっており、なんと、ジュラ紀から存在していることが分かっています。ジュラ紀といえば、ステゴサウルスやブラキオサウルスなどの恐竜がいた時代です。人間よりもずっと昔から地球に住んでいます。タコノマクラはとてもユニークな形をしていますが、その時代よりほぼ、形を変えずに生き残っているということは、生きるために考え抜かれた極限の優れた形であるとも言えますね。ちなみにタコノマクラ化石の模様は現代のものと少し違い、丸い花びら模様ですが、化石のものは少し星型に近い尖り気味の花びら模様が特徴です。

タコノマクラの飼育

タコノマクラは海水環境を用意すれば難しいですが、飼育は可能です。餌は砂の中の有機物や腐敗物を食べているため、単独飼育ですと、水質管理や給餌がとても難しいです。魚と一緒に飼い、餌の残りを食べてもらう方法が良いでしょう。ライブロックなどにつくコケ類も食べます。なるべく大きな水槽で飼育が望ましく高水温が苦手であるため、水槽クーラーも必要です。磯遊びや、ダイビングなどでの観察、飼育展示している水族館での鑑賞がおすすめです。

タコノマクラの赤ちゃんが観察できる

ウニは受精後、成体とは全くことなるプルテウス幼生という姿で赤ちゃん時代を過ごします。天使のような姿を観察することができます。お茶の水女子大学湾岸生物教育研究センターでは海からの贈り物と題して、教育機関、小中高を対象に教育支援を行なっています。ウニの受精観察、発生の実験材料として、冷蔵庫で保存できる卵と精子を提供しています。受精観察後、別コースを申し込めばさらに、プルテウス幼生から稚ウニに変態するまで観察をするために必要な飼育器具類を貸与してくれる制度を行っています。タコノマクラは、6月下旬~8月上旬に研究材料を一部利用者負担にて提供されています。

まとめ

ジュラ紀から今と同じ姿で生き抜いてきたタコノマクラは、人間より遥かな先輩であり、その生態は不思議でとても神秘的でかわいい生き物です。晴れた日は、ビーチコーミングに出かけてタコノマクラを探してみましょう。タコノマクラに初めて出会った人は、ウニの仲間であることを知れば驚かれるはずです。スカシカシパンと一緒にされてしまいがちなタコノマクラですが、とても美しく魅力的な生き物です。タコノマクラの自然の造形美を楽しみましょう。インテリアやアクセサリーにして楽しむこともおすすめです。