八百比丘尼の伝説をもとに不老長寿を考える。日本の人魚も紹介

日本の不老長寿・不老不死伝説として知られる八百比丘尼の伝説をご存知ですか?彼女は人魚の肉を食べたことで800年の時を生きたと言われています。八百比丘尼の伝説と人魚の肉にまつわる不老長寿の伝説は日本各地に存在するのでまとめてみようと思います。

この記事をかいた人

暑がりで寒がりですがアウトドアが好きなライターです。興味を持って読んでいただけるわかりやすい記事を心がけています。
Array

八百比丘尼とは?

福井県の小浜市を中心に愛知県の春日井市など全国各地に伝わる八百比丘尼とは一体どんな人物だったのでしょうか?その地方により言い伝えられてきた内容に多少の違いはありますが、その人物像に迫ってみたいと思います。

人魚の肉を知らずに食べて、望まぬ不老長寿となった女性

LeandroDeCarvalho / Pixabay

元々は昔の若狭の国に暮らす、ごく平凡な漁師の娘だったと言われています。ある日漁師が採ってきた魚が人魚の形をしていたため、庚申様に供えるとご利益があると信じた村人がその肉をお供えとして祀っていました。そこにたまたま遊びにきていた女の子が人魚の肉とは知らず食べてしまったことが、不老長寿になった原因と言われています。

800年もの間生き続けた

the_steve_cox / Pixabay

期せずして不老長寿になってしまった娘は成長して美しい女性になりましたが、それ以降は全く歳を取らなくなってしまいました。村の男性と結婚するも、夫だけはどんどん歳をとっていき先に亡くなります。

そんなことを繰り返しているうちに村人からは気味悪がられ、悩んだあげく村を出て尼となり諸国を巡りながら800年間生き続けました。全国を巡ったあげく800歳になった頃には故郷の若狭に再び戻り、小浜の洞窟に入り入定(位の高い僧が死ぬこと)したと言われています。

八百比丘尼のその後は?

sammi-jake / Pixabay

小浜の洞窟に入ってからの八百比丘尼を見たものは誰もいません。洞窟の近くに白い椿を植えてから姿を消したという説や、洞窟に入って行ってからしばらくの間は念仏が聞こえていてそれきり、などさまざまな話が伝えられています。

1000年以上生きた話もある

Free-Photos / Pixabay

彼女は1000年の寿命があったと言われています。しかし800歳になり故郷の若狭に戻ってきた頃、若狭の国のお殿様が重い病に侵されていることを知りました。そのことを悲しんだ彼女が残りの命をそのお殿様に譲ったため、800歳で亡くなったという話も一説ではあります。

日本の人魚

LifeScienceTeam / Pixabay

人魚の伝説は世界各地に見られるが、その容姿は伝えられている国や地域によりさまざまです。ヨーロッパに伝わるものは上半身が人間で下半身が魚の形をしてる、いわゆるマーメーイドと呼ばれる若い女性で、日本人にも馴染みのある容姿です。では日本に昔から伝わる人魚とどのようなものであったのでしょうか。

古くは日本書紀に登場する

JordyMeow / Pixabay

日本で人魚の存在が記録されている一番古いものは、619年の日本書紀と言われており、川に生息している人とも魚ともつかないものとの記述が残っているようです。日本に伝わる伝説の中には人魚は恐ろしいものと見るものもありますが、その正体は深海に棲むリュウグウノツカイだとも言われています。

そして、その容姿については鎌倉時代までは「人のような顔を持った魚」と表現されていましたが、江戸時代も後期ごろになるとなぜかヨーローッパに伝わっているような上半身は人で下半身が魚という表現が変わってきています。

八百比丘尼伝説のように人魚の肉に不老長寿の効果が語られる伝説

2234701 / Pixabay

諸説ある中でも八百比丘尼が誤って食べてしまったのは、ジュゴンやオットセイの肉であったという説もあります。古来からオットセイの肉は若返りや不老の食べ物と信じられており、戦国時代に徳川家康も妙薬として口にしていたという話もあるのです。

アイヌや朝鮮半島でも似たような伝説がある

mydaydream / Pixabay

人魚の肉の不老長寿伝説は昔の若狭の国や愛知だけでなく全国にあるようですが、アイヌ民族が暮らしていた北海道やお隣の朝鮮半島にも同じような話が伝わっています。それらはどんな伝説だったのでしょうか。

アイヌに伝わる伝説

北海道ではアイヌ民話に人魚のような伝説の生き物の話が出てきます。その生物は北海道の内浦湾に棲んでおり、アイヌソッキという名前で呼ばれていました。文献によっては人魚の別名としてアイヌソッキを紹介しているものもあります。

朝鮮半島に伝わる伝説

現在でいう中国東北部にあった高句麗の都である平壌にも、人魚にまつわる似たような伝説があります。海に出た漁師が美しい女性に竜宮に誘われ、帰り際にもらった土産が不老長寿になる食べ物であったという言い伝えです。これを食べたこの漁師の娘が300歳以上生きたとされており、日本に伝わる伝説もここから伝わってきたのかもしれません。

八百比丘尼以上に不老不死として語られる人物

werner22brigitte / Pixabay

ヨーロッパには不老不死だったのではないかと噂されている、サンジェルマン伯爵という人物がいました。彼がなぜ不老不死になったのかその原因はハッキリしていませんが、亡くなったとされる年以降にも目撃証言があるなど神秘のベールに包まれていた人物であることは間違いありません。

サンジェルマン伯爵

skeeze / Pixabay

1691年にスペインの王妃マリー・アンヌ・ド・ヌブールと貴族の間に私生児として生まれたとされています。化学や錬金術などあらゆる分野に精通しているとともに一流の音楽家でもありました。フランスの社交界で活躍していたのが1758年以降でその頃の年齢は70歳近かったはずにも関わらず、40歳前にしか見えなかったと言われています。

彼自身もまわりの人々に対し「霊薬を食べているので食事は必要ない」と語っていたそうです。1784年にドイツのヘッセンで亡くなったとされています。しかしそれ以降もフランスのナポレオンやイギリスのチャーチル首相が、彼から助言を受けていたなど数々の目撃証言もあり生涯のほとんどが神秘のベールに包まれていました。

サンジェルマン伯爵に関する記事はこちらからも

不老長寿の研究について

jarmoluk / Pixabay

以前はアンチ・エイジングという言葉をよく耳にしましたが、現在世界中で競って研究されているのが「ストップ・エイジング」すなわち老化を止めてしまおうという試みです。今世界の専門家たちが研究している不老長寿の一部をご紹介します。

現代も本格的に研究されている

DarkoStojanovic / Pixabay

不老長寿は現代においては最先端の医療研究になっています。日本では元京都大学准教授であった久保田信氏が、生命の危機に陥ると若いからだに生まれ変わるというベニクラゲを基に、そのメカニズムの解明に取り組んでいます。

NEXT 現代も本格的に研究されている