八百比丘尼の伝説をもとに不老長寿を考える。日本の人魚も紹介

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人とクラゲは全く異なるように見えますが、遺伝子の構造はほとんど変わらないため研究が進めば不老長寿のヒントがつかめるかもしれません。海外ではイギリスのケンブリッジ大学のブリー・デグレイ博士が老化現象の7つの原因を揚げ、それを全て潰していくことにより20年後には不老不死が実現できる、といった持論を基に研究を重ねています。

不老長寿は古くから人間の夢

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あらゆるものを手に入れることができた時の権力者にとって、唯一手に入らないものが不老長寿であり不老不死でした。それはその権力を永遠のものにしたいという望みであったり、女性であればその若さと美貌を永遠に保ち続けたいといる強い望みでもありました。そんな昔からの人間の夢を追い求めた歴史上の人物も多く存在します。

始皇帝

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古くは中国の始皇帝が永遠の命を追い求めことは有名な話です。不死になる薬を探すよう部下や地方政府に対し命令を出したとされています。無理な命令を押し付けられた部下たちは不死の薬を作ろうと錬丹術を試みましたが、もちろんそんな薬が作れるはずはありませんでした。

そんな中で作られたのが水銀を原料にして作った「辰砂」という丸薬でした。結局それを飲んだ始皇帝は猛毒で死亡してしまい、無理な願いが災いし、かえって死期を早めるといった皮肉な結果に終わっています。始皇帝はまた、死後の世界で自分に仕えさせるために、兵士や戦車など8000体もの陶像を始皇帝陵の地下廊に作らせてもいました。

ファラオ

ファラオとは古代エジプトの歴代君主につけられていた称号で、有名なクレオパトラもファラオでした。歴代のファラオは永遠の命を追い求めることに固執したと言われており、そのために生涯のほとんどを費やしたそうです。何千何万人という奴隷を強制労働させ建造したピラミッドはその象徴です。

ピラミッドは王の墓とし建造されたという説が有力ですが、それ以外にも王の死後、永遠の命を得るための旅に出ている間にその遺体を安全に保管する場所として造られたという説もあります。いづれにしても歴代ファラオが永遠の生命を追い求めていたことからくる説といえるでしょう。

楊貴妃

世界三大美人にも数えられる中国の唐の時代の皇妃です。非常に才色のあった女性、で傾国の美女ともよばれていました。容姿端麗だったとされれている彼女はその若さと美貌を保つために、毎朝母乳を飲んだり若い女性の生き血を愛飲するなど、あらゆる努力を惜しまなかったと言われています。

その母乳を提供するために宮中には女史が控えていたそうです。そのほかにも若さを保つために少年の睾丸を食べていたといった話も伝わっており、彼女の不老に対する並々ならない情熱が伝わってきます。また彼女が食べた不老不死の桃として「蟠桃」は有名であり、今でも国内を始め中国やその他の海外などで生産されています。

中国に古くから伝わる不老不死の太歳に関する記事はこちら

八百比丘尼に見る不老長寿の意義を考える

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古来から世界中の権力者たちが追い求めた不老長寿や不老不死。八百比丘尼の場合、知らずに人魚の肉を口にしてしまったために意図せずそれを手に入れてしまったわけですが、はたして幸せだったのでしょうか。

冒頭の解説にも書いたように、不老長寿になることは大切な人、愛する人が年老いて亡くなっていく姿を何度も見ていくことになります。少なくとも意図せずその力を手に入れてしまった彼女にとっては、村人に疎まれ尼になり村を出てしまったことを見ても幸せなことではなかったのでしょう。

ヨーロッパの人魚

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日本の一番古い記録に出てくる人魚は、顔が人間に似たどちらかというと人面魚のような容姿だったのは前述の通りです。それに対しヨーロッパの伝説に出てくるものは、上半身が人間で下半身が魚という現代のわたくし達に馴染みの深い容姿だったようです。

そしてその肉を口にすることによって、不老長寿や不老不死になるといったような話も伝わっていません。では、ヨーロッパに伝わる人魚はどのような存在だったのでしょうか。伝説からもう少し詳しく見てみましょう。

ローレライの伝説

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日本でも比較的馴染みのある伝説で、名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ドイツのライン川に現れる美しい人魚で、その歌声で通りかかる船の漁師を惑わし死に導くというような伝説です。もとは実らぬ恋に絶望しライン川に身を投じて亡くなった乙女が、水の妖精となって現れたものだと言われています。

メロウの伝説

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こちらはアイルランドに伝わる民話に出てくる半魚人です。ローレライのように人を死に導くといった恐ろしい存在ではなく、人間と婚姻することもあったようです。緑色の髪を持ち、男性の人魚も存在するのが他の伝説とは異なっています。人と結婚して子供をつくることがあるものの、帰巣本能のためか何年かすると海に戻ってしまったようです。

不死の存在と言われる吸血鬼伝説の発祥は?

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ヨーロッパを中心に伝わる民話や伝説に出てくる吸血鬼も、不死の存在と言い伝えられています。吸血鬼は一度死んだ人間が何らかの理由で蘇った姿とされ、生きている人間の血を栄養源として吸い生き続けます。これらの伝説は古くからあり、古代ギリシアや古代バビロニアの時代にはすでに存在していたと言われています。

伝説の発祥には諸説あり、カタレプシー(蝋屈症)になった人間を死んだと信じ埋葬したももの、棺桶の中で蘇生してきたのを見たのが不死の存在の噂になったという説があります。他にも当時流行したペストに感染したネズミを吸血したノミが、人を吸血することにより人々の間に蔓延していったことから噂になったなどという説もあります。

今も生きているのであれば八百比丘尼は何を考えているのか?

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故郷の村を出た後、諸国をまわり貧しい人々を救いながら巡り巡って800歳になったころ故郷に戻ってきた八百比丘尼。そこで入定したと言われていますが、もし現在も生き続けていたとしたらどんな気持ちでいるのでしょうか。

もし今もなお若さと美貌を保って生きていたとしても、まわりの人々が寿命を全うし亡くなっていくなかで自分だけが取り残されていく気持ちに耐えられず、人と接することのない生活を送っているのではないでしょうか。もし不老長寿が手に入るとしたら、あなたならどうしますか?

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