秋の味覚として有名であるとおり、さんまの旬は9月~11月です。この季節になると毎年スーパーや魚屋さんで大々的に広告されたり、漁獲量がニュースになったりもします。なぜ秋のさんまはこんなにおいしいのでしょうか?その生態を見ていきましょう。
さんまはなぜ脂が多い?
南の方で生まれたさんまは黒潮の流れに乗って北上し、夏に北海道周辺の海でたっぷりえさを食べて成長します。その後、産卵のために再び南下してきます。このときの北海道や三陸で獲れるさんまは養分をため込んでいるためよく肥えており、脂が乗っておいしいのです。他の季節より、脂の乗りが倍ほども違うと言われています。
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さんまは謎多き魚
さんまは養殖が難しい魚と聞いたことはありませんか?養殖が難しい理由には産卵期が特定できていないということがまず挙げられます。回遊の範囲が広いので、どこで産卵するのか、いつ産卵するのかがはっきりとわかっていないのです。また寿命が短く、何歳で卵を産むのかもわかっていません。身近でありながら謎が多い魚です。
さんまは内臓もおいしい
さんまは身だけでなく内臓まで食べられることも有名です。一般的には通が食べるものといわれていますが、新鮮なさんまなら他の魚のような生臭さや苦さは少ないので、すだちや大根おろしで臭みを隠せばほろ苦さもおいしく食べられます。
さんまは胃袋をもたない
さんまには胃袋がなく、消化器官は胃のように発達した腸のみです。そのまま肛門に繋がっているので、えさを食べてから消化、排せつするまでは約数十分しかかかりません。鯛のように胃袋を持つ魚は消化までに数時間かかるので、それらと比べるとかなり短いです。
内臓に苦みがない理由
さんまは昼間に活動してえさを食べます。その餌もすぐに消化されてしまうので夜にはさんまの胃の中は空になっています。さんまは夜に漁がおこなわれるので、水揚げされるさんまの体内にはえさがほとんど残っておらず、えぐみが少ないのです。
さんまは夏も楽しめる
さんまは秋が旬の魚ですが、実は7月からも漁が行われます。旬の前に獲れるさんまはまだ脂が少ないですが、一部では「本当の旬は夏」と言われることもあります。その理由は何でしょうか?夏のさんまについても見てみましょう。
身が締まってさっぱりした初物さんま
7月はじめ頃に獲れるさんまは「初物」と言われ、さっぱりした味わいです。脂が少なく身も少ないため塩焼きには向いていませんが、刺身や酢締めにするとさんま本来の味わいが楽しめるとして人気があります。
本当の旬は夏?
さんまの本当の旬は7月の終わりから8月頃という説もあります。これは、さんまが北海道でえさをた食べ、南下が始まる前でエネルギーを消耗していない時期だからなのです。この時期に北海道で獲れたさんまは最も脂が乗っているといえます。
なぜ旬は秋なのか?
ではなぜ最も脂が乗る夏ではなく秋の魚として有名なのでしょうか?夏のさんまは獲れる量が少ないため、東京などの都市になかなか流通されないのが理由です。最も多く獲れるのが南下の始まる秋口であることから、秋が旬の魚とされています。北海道でなら最も脂の乗った夏の新鮮なさんまを食べられるので、是非行ってみてください。
さんまの名前の由来
現代で使われる、「秋の刀のような魚」という意味の「秋刀魚」という漢字は、実は大正時代から使われ始めたものなのです。それ以前は「サイラ(佐伊羅魚)」や「サマナ(狭真魚〉」といった感じや読み方が使われていました。有名な夏目漱石の「吾輩は猫である」では「三馬」と書かれています。
見た目が名前の由来説
「さんま」と呼ばれるようになった由来は2つの説があります。一つはその長細い見た目からつけられたという説です。さんまの語源は「さまな(狭真魚)」であり、それが「さんま」と呼ばれるようになったといわれます。「さ(狭)」には細いという意味があり、「まな」は「真魚」、つまり細長い魚という意味でつけられたそうです。
習性が名前の由来説
もう一つの説は、さんまの習性を元にしているという説です。さんまは群れで泳ぐので、群れを意味する「さわ(沢)」と魚を意味する「ま」が組み合わさり、「さわんま」となり、それが「さんま」と呼ばれるようになった、ともいわれています
さんまは含まれる栄養が豊富!
旬のさんまは脂が乗っておいしいというだけではありません。身体に必要な栄養素もたっぷり含まれており、健康や美容にもよい魚なのです。中には体内で生成できない栄養素もあります。どんな効果があるか見ていきましょう。
美容によいビタミン類
さんまにはビタミンAやビタミンD、ビタミンB2といったビタミン類が豊富に含まれています。これらのビタミンは皮膚や粘膜を丈夫にして肌をきれいにしてくれたり、脂肪を燃焼しやすくしてくれたり、アンチエイジング効果が期待できる栄養素です。さんまを食べるだけで美容に大きな効果があるのです。
骨や歯を丈夫にするカルシウム
カルシウムといえば骨や歯を丈夫にしてくれる栄養素です。骨粗鬆症を予防してくれたり、またイライラや睡眠不足の改善にも役立ちます。普段の食事では不足しがちですが、さんまを食べることでカルシウムも十分補えます。小骨ごと食べればより多くのカルシウムを摂取できます。
良質なたんぱく質
さんまの身に含まれるたんぱく質は必須アミノ酸が含まれた良質なものです。身体をつくるために重要な栄養素ですが、中でもさんまのたんぱく質は体内で利用される割合が高く、非常に有効なたんぱく質源ともいわれています。
血液をサラサラにするEPA、DHA
EPAやDHAはあまり聞きなれない名前ですが、体内で生成できない重要な栄養素です。EPAは血栓を溶かす働きがあり、動脈硬化を予防してくれるほか、血液の詰まりが原因で起きてしまう心筋梗塞や脳梗塞の予防にも役立ちます。
魚を食べると頭がよくなる?
魚を食べると「頭がよくなる」、「記憶力がよくなる」などと聞いたことはありませんか?前述したとおり、DHAには脳細胞を活性化させ、情報の伝達をスムーズに行えるようにする働きがあります。そのため記憶力や学習力を向上させることができるのです。
さんまと大根おろしは最高の組み合わせ
大根おろしに含まれるジアスターゼやビタミンCが脂の多いさんまの消化を助けて栄養の吸収を良くし、胃もたれを防いでくれたり、焦げに含まれる発がん物質を押さえてくれたりしています。またEPAやDHAは酸化に弱く、酸素に触れると栄養が逃げてしまいます。大根おろしに含まれるビタミンがこれらの酸化を防いでくれるのです。
すだちも相性抜群!
魚の臭みや内臓の苦みを抑えてくれるすだちですが、味の調節だけでなく、ビタミンCが含まれるため大根おろしと同じようにさんまの消化吸収を助けてくれます。おいしいだけでなく、こういった薬味にもきちんと役割があるのです。
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さんまの食べ方をマスターしよう!
いかがでしたでしょうか。骨を取っておくことでぐっと食べやすくなり、出かけた先や人前でもきれいに食べられるため食べ残しを気にすることもなくなります。また、さんまを食べる際は箸を上手に使わないときれいに食べられないので、箸の使い方の練習にもなります。是非食べ方をマスターしておいしい秋の味覚を楽しみましょう。
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