津山三十人殺しの真相に迫る!犯人都井睦雄が起こした日本犯罪史上最も凶悪な事件とは

Activedia / Pixabay

静岡県上野村村八分事件:1952年に静岡県上野村で起こった、不正選挙の告発を行ったことをきっかけに始まった人権侵害事件で、告発者及びその家族が村八分にされました。田植えの手伝いもなくなり、朝夕の挨拶もなくなるなどの仕打ちを受けることとなり、その顛末はのちに映画化され公開されるなど世間に多大な影響を与えました。これらの事件はこのように、いつの世も掟や連帯感を絶対視する狭い共同体において人間は非常に冷酷になってしまうことがあるという事実を我々に突きつけています。

津山三十人殺し事件現場の今

LUM3N / Pixabay

この凄惨な事件が起きた現場は現在どのようになっているのか。当時穏やかな山村であった集落この地の様子を知る人も少なく、今日事件を知る証人も大部分が鬼籍に入り、残された記録によってしかその詳細を知ることが出来ません。事件後70年以上が経過した集落の状況を見ていきます。

のどかな山村の限界集落

SplitShire / Pixabay

事件現場の集落、特に貝尾集落は山際にあり、周辺の山々は緑に溢れ、季節の草花が咲き乱れており、この場所で世にも恐ろしい大量殺人があったとは想像出来ないほどのどかな風景が広がっています。当時貝尾集落では20数世帯100人程が生活していたといいますが、2010年の国勢調査では13世帯37人程に減少しており、そのうち単身世帯が4軒と限界集落化が進んでいます。

昭和十三年五月二十一日と書かれた墓石群

tazzanderson / Pixabay

村の墓地には昭和十三年五月二十一日と書かれた犠牲者たちのものである墓石が散見されます。静かなこの地域でかつて凄惨極まりない事件が実際に起こったことであるという証拠を今に残しています。

犯人都井睦雄の墓

NeuPaddy / Pixabay

この事件の犯人都井睦雄の墓は貝尾部落から18㎞ほど離れた加茂町倉見にあります。彼の姉がのちに立派な墓を立てて欲しいと希望したといいますが、他の遺族は「決してここに睦雄の墓があると知られてはならない」と言ったといいます。倉見は都井の祖母の嫁ぎ先であり、生家近くの両親の墓の隣に彼の小さな無名墓碑は今もひっそりと佇んでいます。

津山三十人殺し事件は八墓村のモデルとなる

Free-Photos / Pixabay

この津山三十人殺し事件は作家である横溝正史が1971年に刊行した『名探偵・金田一耕助シリーズ』の長編推理小説である『八つ墓村』のモデルとなっています。戦時中岡山に疎開していた著者が事件の概要に触れたことで刺激を受けたのでした。刊行後、映画化もされこの事件の名を全国に知らしめるきっかけとなりました。

物語の中の八墓村32人殺し

12019 / Pixabay

戦国時代の寒村に逃げ延びた尼子氏の家臣だった8人落ち武者を村人たちが皆殺しにし、彼らの持っていた財宝を手にします。武者大将は「七生までこの村に祟ってみせる」と言い残し絶命しました。祟りを恐れた村人たちは粗末に埋められた落ち武者たちの遺体を手厚く葬り、村の守り神としました。これが「八つ墓明神」になり、いつしか村は「八つ墓村」と呼ばれ始めました。

PDPhotos / Pixabay

大正時代、落ち武者殺しの首謀者の子孫である田治見家当主要蔵は粗暴かつ残虐な性格で妻子を持つ身でありながら井川鶴子を監禁し、手籠めにしてしまいます。鶴子は辰弥という子供を出産しますが、その子供は鶴子の想い人亀井陽一との子ではないかという噂を聞いた要蔵は憤慨し、鶴子と辰弥を折檻します。危機感から辰弥とともに親戚宅に身を寄せたまま帰らない鶴子に業を煮やした要蔵は発狂し、村人たちを次々と殺害し山へ消えます。

八墓村との共通点

janeb13 / Pixabay

八つ墓村の要蔵と犯人都井睦雄の犯行時の出で立ちはとてもよく似ています。懐中電灯を鉢巻きの左右に差すところや、日本刀と猟銃を持って犯行に臨むところなど見た目の特徴はまさに津山事件を参考にしたことがわかります。さらに要蔵が殺害した「32人」という人数も実際の事件に近いものとなっています。

「津山三十人殺し」を題材とした書籍

AnnieSpratt / Pixabay

津山三十人殺しに関する書籍は八つ墓村のほか、多数出版されています。世の中を震撼させた事件であり、大衆に与えるインパクトが大きかったこともあるため、書き手のインスピレーションを刺激するのでしょう。ここではその著作の一部をご紹介します。

ノンフィクション

fscredy2018 / Pixabay

ノンフィクション作品は『津山三十人殺し-村の秀才青年はなぜ凶行に及んだか』筑波昭著、『津山三十人殺し 最後の真相』石川清著、『津山事件の真実(津山三十人殺し)』事件研究所著など、その他様々な考証や解説を施した著作物が近年も出版されています。資料的価値も高いため、事件の概要について詳しく知りたいという方は是非ご一読ください。

フィクション

Mysticsartdesign / Pixabay

津山三十人殺しにインスパイアされ、一部設定を盛り込んだ作品は多くみられます。現在この事件を題材にしたフィクション作品は数多くありますが、その中でもよく知られているのが『夜見の国から~残虐村奇譚~』池辺かつみ著です。

コンプレックスが生む悲劇

GoranH / Pixabay

前代未聞の大量殺人事件である津山事件ですが、犯人都井睦雄の犯行動機からは病身のため男子として兵役に就けないこと、女性からの拒絶などから端を発する底知れぬ劣等感や屈辱感がみられます。それらが誇大妄想や自己顕示欲を掻き立て、やがて事件へと発展したのでしょう。現在ここまでの規模でなくとも、通り魔事件や残酷な殺人事件なども絶えません。しかし、このような事件を教訓とし、のちに起こるであろう事件も未然に防ぐべきです。恨みの種は人の心の中で着々と育ち芽を出します。皆さんは心当たりがありますか。

猟奇的殺人に関する他の記事はこちら

村八分に関する他の記事はこちら