残念ながら、このふじみや旅館は2012年の2月で廃業しています。観光客や長期滞在の客が減ったことと女将の高齢化により経営が難しくなったことが理由です。しかし建物自体や案内図にはまだ名前が残っており、夏などには大勢の観光客が訪れているようです。
ビートたけしが金嬉老事件を実写化!
金嬉老事件は日本や韓国で様々な小説や映画になりましたが、有名なのは金嬉老事件をもとに書かれたノンフィクション小説である「私戦」を原作としたドラマで、ビートたけしが金氏を演じた「金の戦争」です。この映画のことは金氏も知っており、金氏からビートたけしへ手紙が送られています。
なお、金が日本で服役中の1992年には、本田靖春のノンフィクション『私戦』をドラマ化した『実録犯罪史 金(キム)の戦争』がビートたけし主演で放送され、大きな反響を呼んだ。金は日本を離れる前に成田空港からたけし宛てに手紙をしたため、そこには「演じてくれてありがとう」と書かれていたという。引用:文春オンライン
実写化ドラマの見所をご紹介
当時の一方的な報道のように安易な差別糾弾や金氏をただ英雄視する作りではなく、この事件が起きたきっかけである時代背景や金嬉老の人格を客観的かつ冷静に描いたストーリーが魅力です。そのため、当時の事件について真に迫るものがあります。また金嬉老の怒りや葛藤を熱演するビートたけしの演技も見どころです。
何故ビートたけしは殺人者を演じるのか?
ビートたけしは「金の戦争」の他にも多くの犯罪者や殺人者をの役を担い、犯罪を犯す人間の苦悩や変貌していく様子などを見事に演じています。その人物になりきるのではなく、素で演じる中でその役柄が出てくる、という演技だからこそ、こうした複雑な背景をもつ人物を演じているのだと感じます。
また、たけし自身、まだ俳優よりお笑い芸人としてのイメージが強かった時代、自分の出てきたシーンで爆笑が起きたことにショックを受けたといいます。そこで、善と悪両方のイメージを持たせるために、悪人も演じるようになったそうです。
金嬉老と静岡県掛川市の深い関係が!
金氏の生まれは静岡県清水市でした。殺人事件を起こしたのも同じ清水市で、監禁事件を起こしたのは榛原郡です。実は事件前には掛川市に住んでおり、金氏の母親も掛川市に住んでいました。掛川市も金氏と深く関係していたのです。
掛川市とはこういう所だった
金氏の幼少期は戦時中で、韓国が日本の植民地となっていた時代であり、来日する朝鮮人も少なくありませんでした。いつ金氏の一家が清水から掛川に移り住んだのかは明らかになっていませんが、掛川には軍需工場があり、飛行機の工場を建設していたことからそこに動員されていたと考えられています。
金氏の母親について
金氏の母親は東京で金氏の父親と結婚し、清水市に移り住みました。金氏の父親が亡くなってからは女手一つわずかな稼ぎで生計を立て、金氏ら4人の子どもを育てました。のちに再婚し、金氏の服役中は掛川駅前で韓国料理屋を経営していたといいます。掛川市で亡くなり、墓も同市にあります。
金氏の遺骨は掛川市に納骨されている
金氏は亡くなる直前、遺言で火葬を希望し、遺骨の半分を釜山影島沖に撒き、もう半分を掛川市にある母親の墓に納骨してほしいと希望したそうです。2010年3月28日に葬儀ののち火葬され、遺言の通り掛川市に納骨されたとのことです。