とはいえ常に前だけを向いているわけではなく、時にはミッフィーたちは後ろを向くことがあります。ですが基本的に後ろ姿のミッフィーはグッズでしか見られません。しかし描かれているということは、後ろ姿はOKだということです。
正面しか向かないというポリシーから生まれた像
ディック・ブルーナの故郷ユトレヒトでは、そのポリシーから画像のような360°どこから見ても正面を向いている像が存在します。しかしここまでくると、本気なのかネタなのか判別がつかないようにも思われるかもしれません。
ミッフィーの闇を感じられるシュールなグッズについて書いたことを覚えていらっしゃるでしょうか。そうです。ミッフィーとは公式も中々に本気なのかどうなのか一瞬判別に困る行動をしてくるのです。しかしそれも、作者の真摯な姿があってこそなのだといえます。
Contents
ミッフィー雑学②ミッフィーの名前
記事のはじめの方で、ミッフィー、うさこちゃん、ナインチェ、呼び名は様々ありますが…と記したことを覚えていらっしゃるでしょうか。このセクションではいよいよそのミッフィーの呼び名について説明させていただきます。
ミッフィーの名前は後付け!最初の名前は「うさこ」
ミッフィーの呼び名の中でも一番有名なものは「うさこちゃん」でしょう。1964年から刊行し続ける福音館書の絵本は一様に「うさこちゃん」で統一されており、途中1979年から他書店やメディアにて英語表記のミッフィー・バニーと呼ばれ始めたものの、刊行されている中で話題に上る絵本は圧倒的にうさこちゃんが多いです。
ミッフィーのオランダ名
また「うさこちゃん」という名前の由来は、彼女の母国での本来の名前「ナインチェ・プラウス」からきています。というのも、このナインチェというのはオランダ語でうさちゃんという意味を持ち、作家石井桃子がその響きと意味から「ふわふわ うさこちゃん」と名付けたことがはじまりでした。
ミッフィーのおとうさん・おかあさんにも名前があった!
当たり前と言われれば当たり前なのですが、ミッフィーのおとうさん・おかあさんにも名前があります。おとうさんはファデル・プラウス(オランダ名)、ふわふわさん(日本語名)で、刊行当初は眼鏡をかけていたのですが、1963年に改訂され、現在のデザインになりました。
おかあさんはムデル・プラウス(オランダ名)、ふわおくさん(日本語名)で、ミッフィーのよき理解者として彼女のためにお化けごっこの衣装を作ってくれたり、先ほど書いた「うさこちゃんときゃらめる」の時には毅然とした態度で彼女を諭す一面をのぞかせます。
ミッフィー雑学③6色で表されるミッフィーの世界観
作者ディック・ブルーナの強いこだわりについてしばしば書かせて頂きました。ほかにも彼のこだわりはいくつか存在しますが、今回は彼のシンプルさに由来する有名な「ブルーナカラー」について説明させていただきます。
ミッフィーで使われるのは6色のみ
ご存知でしょうか。ミッフィーの世界観は厳選された六色のみで構成されているのです。パステルカラーはひとつもなく、かなり強い色調です。ですがそこは流石厳選されつくした色。どの色が隣り合ってもそれぞれの色味を損なうことはなく、それどころか、お互いの良さを引き立たせる色なのです。
それぞれの色の意味
- 赤は喜び。楽しさ。温かさ。
- 青は悲しみ。静けさ。よそよそしさ。
- 緑は安心。安定。自然。
- 黄色は明るさ。また楽しさ。
- 茶色は落ち着きの色。
- グレーはバランス。
このように、色味は一つ一つ吟味され、どれをとっても無駄な色など存在しません。これがディック・ブルーナのひとつのシンプルの正体であり、また色調の分野において非常に大きな影響を与えました。
ミッフィーの色彩「ブルーナカラー」
その色調への影響への配慮はさることながら、意味にまで深く考え抜かれた色。それこそがミッフィーの世界観の全てとされる「ブルーナカラー」なのです。注意深く見てみると、絵本は勿論、キャラクターやグッズなど、ブルーナカラーで構成されていることに気付くはずです。
ミッフィー雑学④びっくり!黄金のミッフィーが存在した!
さあ「ブルーナカラー」を紹介したら同じくご紹介しなければならないものが、そのこだわりのカラーから大きく外れたミッフィー像についてです。あれだけ徹底的に考え抜かれた色、それどころか、世界観の全てとまで言われる色を無視する像とは一体どんなものでしょうか。
ブルーナカラーを無視する黄金のミッフィーとは
ユトレヒトの「ディック・ブルーナ・ハウス」では黄金のミッフィー像がお出迎えしてくれます。これは50回目の誕生日の記念に作られたもので、オランダにとって50歳の誕生日は特別で盛大に祝うもの。それゆえに作られたものなのです。
ミッフィーの博物館「ディック・ブルーナ・ハウス」
「ディック・ブルーナ・ハウス」はユトレヒトにあるミッフィーの博物館です。大人から子供まで楽しめ、歴代の絵本、原画は勿論のこと、様々な作品が集められています。日本人の観光客も多く、日本語表示もあります。
オランダ「ユトレヒト」はミッフィーだらけ!
ディック・ブルーナの生まれ故郷ということもあり、オランダ「ユトレヒト」はとにかく街中はミッフィーだらけ!様々なミッフィーがいますが、その中でもとっても可愛らしいミッフィーをご紹介致します。
ミッフィー信号
まずはこちらミッフィーの信号。赤信号、青信号の両方を見たいがために皆立ち止まり見入る人ので、地元民にはすぐ観光客とわかります。このミッフィーの信号機はデ・バイエルンコフ百貨店前です。
ブルーナカラーの横断歩道
またミッフィー信号機の目印として一番わかりやすいものといえば、こちらブルーナカラーの横断歩道です。こちら信号機も横断歩道も、ユトレヒトにたったひとつ、つまり世界にたったひとつだけなのです。是非、オランダに行った際には行ってみてください。
ミッフィーと伝統文化のコラボグッズ
今や世界中に愛され、二つの丸に一つのバッテンだけで「ミッフィー」と認識されてしまう、超有名キャラクターのミッフィー。勿論グッズは山のようにありますが、その中でもこれは!と思わされるようなグッズを集めてみました。
参拝のお供に!「御朱印長」
少し前から御朱印集めが流行っておりますが、その波に乗ってか、この度ミッフィーの御朱印帳が登場致しました。御朱印とは簡単に言うと、参拝した証に授与される印。元は写経を納めると頂けたのですが、近年は参拝だけで頂けるようになりました。和柄がとても可愛らしく、大人でも合うと好評です。
受け継がれる伝統技法「熊野筆」
熊野筆といえば広島県に伝わる伝統の筆。経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されており、その条件の中の「100年以上の歴史を有し、現在も継続しているもの」で、これがいかに長く人々に親しまれているのか、おわかりいただけるでしょう。メイクブラシとしてたくさんの女性の心を鷲掴みにしました。
さりげない可愛さ「九谷焼」
そのはじまりは明暦初期(1655年頃)、その後わずか100年たらずで廃窯し、紆余曲折を経て文政六年(1823)に再開された…といった並々ならぬ歴史が詰まった伝統工芸品です。伝統的でありながら、どこかモダンで、若い人にも手に取りやすい絵柄が特徴的。さりげないミッフィーの眼差しが優し気です。
芸術家ディック・ブルーナ
さて、ミッフィーへの評価というのが、これで概ねわかったのではないでしょうか。世界中に愛され、伝統を支えるキャラクター。では生みの親ディック・ブルーナ、彼のアーティストとしての面を見ていきましょう。
アンリ・マティスとの出会い
それまでゴッホやレンブラントなどの画集に親しんでいた彼は、レジェやピカソ、取り分けマティスの抽象的なシンプルな形や単一の色彩に衝撃を受けました。なめらかでよどみのない線を自分のものにしようとしていましたが、彼は当時のことを「模倣ではなく、彼になろうとしていた」と振り返ります。
「ミッフィー」にたどり着くまでの道のり
マティスに線を倣い、レジェやピカソの最小限の色彩での表現に彼の創作意欲はどんどん掻き立てられていきます。そしてヘリット・リートフェルトに出会ったことで、ミッフィーの絵本の特徴的な正方形が生まれたのです。これら様々な画家との出会いで、ディック・ブルーナはミッフィーを構成する知識、技術を獲得しました。
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ディック・ブルーナから学ぶ「個性」の正体
昨今は「個性」というものに重きを置く風潮があります。シンプルなデザインというのは、特に個性が強く出なければその個人を認識できません。ディック・ブルーナは線、色彩、強弱、濃淡あらゆる要素を画家たちから倣い、差別化することで個性を獲得しました。
個性というと「たった一つの要素」で決まると思われがちですが、ディック・ブルーナを見ると、個性は「あらゆる部分を差別化し総合的に見た結果」のものだとわかります。複数の知識と技術からミッフィーは生まれたのです。
ミッフィーの口にまつわる都市伝説。可愛いだけにシュールすぎた!
おどろおどろしい都市伝説や、可愛らしさとはうらはらな、シュールなエピソードとグッズ。意外なミッフィーの魅力には大人でも、否、大人だからこそ惹きこまれてしまうのかもしれません。今後も彼女は世界中から愛され、そして人々を魅了し続けていくのでしょう。
今回、ミッフィーの基本情報や豆知識、日本の伝統文化とのつながりなどご紹介致しました。特にグッズ関連についてはこんなものまで!と思うものまでたくさんあります。興味がある方はネットショッピングサイトなど覗いてみると楽しいかもしれません。
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